早いもので、もうトリ前のバンドが満を持して登場です!はい、「北運河の夜 第70回」ライブ・レポートPART,3のはじまり。
9、20:30~21:00
SO-EN
燻し銀のサウンドを展開してくれた、男性ばかりの4人組。
STAマサとはこの日一番懇意にしているバンドですね。
編成は・・・・VO(ツカモトさん)、BASS(ナカジマさん。5弦ジャズベースをフィンガーピッキングでプレイ。ナチュラルボディ。メイプル指板)、DR(スミヤマさん)、GT(マエさん。ストラトキャスター。サンヴァーストカラー。メイプル指板)。
超渋めのソウルフルなオリジナル・ロックを目一杯に聞かせてくれました。
このバンド名は私をはじめ会場のお客さんも、サッポロの地名「桑園」から命名したものと信じて疑わなかったのですが、実は「演奏」を逆にしてロックっぽくアルファベットに並べた言葉遊びなんだそうですよ。
これに気付いた人って、よほど読みの深い鋭い感性の持ち主だとおもいます。
「アイム・ソー・クライング」で豪快なる幕開け。
全身全霊振り絞って魂の熱唱が心を打つ。
両膝ついたり、両腕を思い切り伸ばして仰け反ったりと、ツカモトさんのステージアクションにも目を見張るものがあります。
前評判どおり・・・いやそれ以上の迫力。
さすが昔とった杵柄とばかりに、的確で安定したタイトなバッキングは筋金入り。
それらが一体となったグルーヴは説得力満点。
ガラッとムードを変えてミディアム・テンポの「あいつとあのまち」
ここでもパンチのきいた強烈なる雄叫びの一語一句が、こちら側のハートへとストレートに突き刺さってきます。
頑固一徹、骨太な男気に満ち溢れたダイナミズムに誰もが酔いしれています。
うまい酒が飲めそうだ。
ツカモトさんお気に入りのコダワリでもあるシュアー通称・骸骨マイクとマイクスタンドも俄然目を引くね。
これらを駆使しての爆発的声量がハンパない!
こいつは鬼に金棒だ。
ちょっと斜に構えた懐かしめの和製大人のロックなんて、今では貴重な存在だよ。
もちろんマエさんのギター・テクニックは以前から折り紙つき。
「どうもありがとう!SO-EN3年ぶりに復活しました!
ゴールド・ストーンは約5年ぶりとなります。
この綺麗なステージに帰ってこれて嬉しいです!・・・・・STAY !!」
バリエーション豊富に、今度はディスコ調のノリノリなリズムの応酬でバッチリと決めてきたからこいつはたまらない。
憎い演出効果にワクワクだ。
ツカモトさんもアクセントのメリハリごとに腰振りダンスを披露。
当然、歌に対する感情移入も鋭く攻め立ててきます。
「光と影」に突入。
全身黒ずくめで帽子姿のマエさん&ツカモトさんとの落ち着き払ったコンビネーションにも身震いするほどの熟練の技が垣間見えてきます。
正確無比なるバックビート、ポーズの1つ1つが説得力あって勉強になります。
「どうもありがとう!え~やっぱりいいもんだよね~!じゃあ、うちのギターのマエがメンバー紹介をします!」
先ほどまでのシリアスな表情から一変、ここからはひじょうにコミカルなやりとりにほんのりと癒されます。
「俺か!?するのか、本当に・・・・?
おばんでございます(笑)
ベースのナカジマは、なんと遠路はるばる苫小牧からやってきました。拍手!!
そしてドラムのスミヤマは17年ぶりにバンドへ帰ってきました!北広島から来たんだっけ?いや白石区の北郷??
喋りはじめると止まらなくなるので、今日はこのへんでやめておきます。」
観客「桑園から来たの?(ほら、やっぱりね!)」
「違う、違う・・・演奏という言葉をただ逆読みにしているだけだよ。
ところで我々は今年で結成27年目を迎えて、もうちょっとで還暦に手が届くほどになりました。
あ!CDもあります。16曲入り、2枚でなんと1000円です!・・・ラスト・ソング・・・・いつまでも!!」
飛び切りのファンク・チューンをここにもってきたのかい!締めくくりにはもってこい。
切れ味鋭いパーカッシブな勢いのベースライン全開。
エネルギー大噴出の本編に雪崩れ込み。
ツカモトさんによるガッと大股開きの構えも指差しアクションも様になっているよ。
力強い極上のロックが満開だ。
マイクスタンドの捌き具合もよく心得ていて、無駄のない美しき弧を描く。
とにもかくにも一時たりともジッとせず、拳を延々と客と共に突き上げてのコール&レスポンスで完全燃焼!
10,21:15~21:45
THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY(S・T・A)
さあ、いよいよこのブログの主人公でもある、オオトリSTAが満を持しての登場。
頑固一徹結成以来14年に渡ってシカゴを中心とした硬派なブラスロック一筋、それを基本コンセプトに掲げて毎月ライブを敢行(もうじき160回を迎えます!)。
活動拠点はバンド名が示すとおりに札幌なのですが、今回は小樽です。
まあ、小樽という坂の多い港町は、皆お気に入りなので毎月でもやって来たいくらいですよ。
大所帯ゆえの宿命ではありますが、恒例ともなったメンバーの顔ぶれに今回も入れ替わりあり。
ご他聞に漏れず若干のパート変動もあります(今回は4人が管楽器メンバー!)。
なんたって最大の話題といえば、新規参入のクルさんとユミ嬢です。
御両人共にサッポロ音楽シーンの全てを見つめ続けてきた生き証人。ジャンルこそ違えど、酸いも甘いも噛み分けた大御所。
さすがのテクニシャンゆえに短いリハーサル期間でも一切の不安要素なしで、一発目の音からエンジン全開でノリまくっています。2人に「そうとう一人で鍛錬したんでしょう?」と尋ねてみたところ「真剣勝負!楽しみます」と不敵な笑み。
案外、専門分野の活動から一旦距離を置いて心身共にリフレッシュしたのが好を奏したのかもしれませんね。
とにもかくにも、頼もしい存在だ。
そしてもう一人、STA史上最年少の現役大学生として気を吐いているトロンボーン奏者のカミソウくんが先月モダンタイムに引き続き合流したのです。
彼は驚いたことに、つい先月のライブ直前にスタジオ2回のSTA練習で参加が決定したという怖いもの知らず(ロビーにて初めて音源を聞きながらスコアとニラメッコをしたという離れ技を披露したという恐いもの知らず)。
それまで我々とは全く面識も縁もユカリもなく、ブラスロック、シカゴを知らないビッグバンド命の青年だったのが、運命とは面白いものですね。
よほどの自信とやる気と度胸と高度なテクニックが備わっていなければ、こんな無謀な決断は下せないでしょう。
これで、またまたSTAの平均年齢が大幅に下がったよん!
先月はシンセブラス導入など紆余曲折色々とありましたが、遂に正式に本格的STAデビューですね。おめでとう!
もはや病み付きになること請け合いさ。
ざっとメンバーの詳細について触れてみますと・・・・マサ&ヤスがド迫力のロックリズムセクションとして屋台骨を支える。トランペット講師やFMラジオDJや自らのバンドも率いるファニー、小樽の矢沢永吉カバーY-PROJECTを代表してミキティ、山下達郎カバーバンドの古株プライム・ルースからはイヨちゃん、ラテン系グルーブのカリスマはサワケン親分、ビッグバンド界からの新星カミソウくん、サッポロフュージョンシーンのご意見番AXIAバンマスのクルさん、サッポロジャズ界隈での姉御肌として燦然と君臨しているユミ嬢、STAとしてはゴールドストーン最多出演数を誇る売れっ子の人気者ジュン。
久し振りの2桁人数で10人編成。
それもただ多いのでは芸がない。1人1人がクセモノ、ツワモノぞろいだっていうんだから期待に胸がわくわく。テンションマックス状態。それがメンバー各自も同じ心境だっていうのだから面白い。
面倒なる垣根を軽く超越して、多方面の分野からSTAコンセプトに共感した奇跡の集合体がここに誕生したわけです。
さあ、どのような化学反応が勃発するか?!予測不可能。そこがまた音楽の魅力でもありますね。
そして特筆すべき点は、ほぼ毎月のように「北運河の夜」を開催してきたサワケンさん。
ゴールドストーンの社長とのコラボで、これだけの規模にて運営してきたのですから理屈抜きに頭の下がる思いです。
いろいろと苦労も多かった事とは思いますが、未来のスーパー・スター登竜門としての輝かしい足跡を確実に刻み続けています。
今後も益々プロデュース・ワークに手腕を発揮してくださいね(今回マサは初めて挨拶を交わしまして、グッと親しみが湧いてきましたね!)。
実を言いますとSTAが初めてゴールドストーンの舞台を踏んだのがこの「北運河の夜」なのです。
ずっと出演したいと思っていたのですが、何のツテもないため、マサ自ら直接電話を入れての交渉。その際に親切丁寧に対応してくれたのがカウンター嬢のオンちゃん。
それ以来の付き合いです。
今回もその時の事をお互いに思い出して感慨深い想いにふけっていました。
でもマサはこの「北運河の夜」はゴールドストーンが主催しているものと思い込んでいたのです。
サワケンさんが企画運営していると知ったのは、かなり後のこと。
まあ、初ゴールドストーンの時は、リハに管楽器は新人アルト・サックスの若い女の子のみ。
トランペットもトロンボーンも欠席。彼女は1人で本番も吹くものと思い込んじゃったらしいです。
で、ライブ直前にトロンボーンが出演不可能となり2管編成で乗り切った・・・という苦いお披露目でした。
で、話を戻して同姓同名という縁で今回ライブの橋渡し役を担ったのが、STAのムーチョ・サワケン。
彼のゴールド・ストーンに賭ける気合の入れ方は言葉で言い表せないほど気迫に満ちたものでした。
まずは専用のSTAデザインを自ら制作(トップ画像参照)。
更にはホープのカミソウ君、次いで有名人ユミ先生を誘い入れることに成功。
それだけに満足せず、FM小樽のラジオ番組「涼北みなちゃんの・・・私のお気に入り」に出演決定。
どうですか!このアクティブなるフットワーク。
ライブ当日には数台のカメラマンも招いての撮影も実現しちゃいました!
このたびのライブイベントはアイドル女子から、レディースロック、妖艶なるセクシーシンガーから熟女にと、女性が占める割合がめちゃ高く恥ずかしくて、あまりコミュニケーションは取れなかったけど、こういう雰囲気も中々に悪くはないね。
***SET LIST***
1、INTRODUCTION・・・CHICAGO
2、MAKE ME SMILE(ぼくらに微笑みを)・・・CHICAGO
3、~SO MUCH TO SAY,SO MUCH TO GIVE(言いたいことがたくさん)・・・CHICAGO
4、~TO BE FREE(今こそ自由を)・・・CHICAGO
5、~NOW MORE THAN EVER(愛はかぎりなく)・・・CHICAGO
6、IF YOU LEAVE ME NOW(愛ある別れ)・・・CHICAGO
7、SPINING WHEEL・・・BLOOD SWEAT&TEARS
8、VEHICLE・・・IDES OF MARCH
9、GET IT ON(黒い炎)・・・CHASE
10、GET AWAY・・・CHICAGO
11、25OR6TO4(長い夜)・・・CHICAGO
===ENCORE===
12、ON FINE MORNING(ある晴れた朝)・・・LIGHT HOUSE
***MEMBER ***
MASA・・・B VO CHO PER WHISTLE
YASU・・・DR
FUNNY・・・TP FLUGELHORN
YUMI・・・KB
MIKITY・・・AS RECORDER
JUN・・・TS VO CHO
KAMISOH・・・TB
IYO-CHAN・・・PER CHO VO
SAWAKEN・・・PER
KURU-SAN・・・G
さてさて、STAメンバー一同は迫りくる本番のため、ステージサイドに集結。
準備体操をしている者、リラックスしながら談笑している者、互いのコスチュームを比べっこしながら自慢している者、ジッと精神統一に没入しえいるもの・・・・と様々。
真っ赤なスポットライトを全身に浴びながら大熱演中のSO-EN。
ラスト・ナンバーのエンディングで華やかにフィナーレを迎えました。
入れ替わりに「お疲れ!と言葉を交わしあいSTAいざ出陣!
10人編成だけにセッティング一つをとっても大作業。
ユミ嬢のキーボードは若武者カミソウくんが運搬。
スタッフ主任のツダくんはマサが闇の中でワイヤレスシステム、ベースのツマミ調整に四苦八苦していたものでペンライトにて照らしてくれました。大助かりだ。
前回もボリュームの目盛りで相談にのってくれたので、今回もトーンをひねると「おお!マサさんはドンシャリ系が好みですね!」
大所帯ゆえに時間がかかる。立ち位置決め、チューニング、アンサンブル・ウォーミング・アップ・・・。徐々に賑やかにありつつあるステージ上。
ミキサーからの指示に従って各パートごとに音出し。
この時、多忙の中、「世界のマッツ」がギリギリにマサのもとへと駆けつけてくれた。
マサは闇、サングラス、そしてマッツがスーツ姿、しかも来れない・・・と聞いていたので最初、まったく気付かなかった。
いずれにしても、これは心強いことだ!大いなる励みになるよん。
初STAのギターとキーボードサウンドがバリエーションが新鮮に響く。
即座に、公開リハとして曲のさわりだけを演奏。
さあ、準備万端整いましたよ。「オーケー!ゴーゴー!!いいですか!?」
ミキサーからも「いつでもいいよ」のサインが送られてきた。
BGMストップして鮮やかなる照明がいっせいに焚かれる。
事前に綿密なる打ち合わせをしたとおりに、まずはマサの指示でユミ嬢によるスペイシーかつ幻想的なる壮大なシンセサイザーサウンドが会場全体へ轟きわたる。
「シュワアア~~~~!!」
次いでマサがすかさずヤスへと手拍子でテンポのメッセージを送るとハイハットが正確無比に刻みで応える。サワケンのコンガがサンタナばりのラテン色で彩を添える。
早速うねりまくっての追随。
それに便乗するかたちでクルさんも剃刀のごときミュート・カッティング。
プレイが待ちきれないという様子でギターのグリッサンドで「ギュィーン!!」
この辺で早くも期待に胸躍る雰囲気作り大成功。
これから繰り出されるS・T・Aワールドに興味深々のオーディエンス。
マサによる洒落た落ち着き払った口調での・・・・・・ナレーション開始。
「はい、たいへん長らくお待たせしました。いよいよビッグイベントはじまりますよ!今回はなんとサワケンさん独占企画 名物第70回北運河の夜。
バラエティに富んだ全10バンド。あっという間にオオトリの時間となりました。(拍手があちこちから打ち鳴らされる)
華々しくこれから開演です。
濃厚なる我が大所帯バンドが登場します。
北国唯一無二の札幌発ブラスロックバンド!
最後だから賑やかに、ド派手に、締めくくってみたいと思います。
ド迫力ホーンセクションの熱きサウンドを心ゆくまでドップリとご堪能ください!メンバー一同この日この時この瞬間を心待ちにしていました!それではヨロシク!THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY~!!」
マサは腰を低く落としてスタンバイ。
ジャストなタイミングで「1・2・3~!!」
波状攻撃へ、火蓋が切って落とされました。
猪突猛進の狼煙を上げる「イントロダクション」。
さすが、この人数だけに迫力が桁違い。
いつもの倍近い勢いを感じます。それは気のせいではなかったようで友人のバンドマンらにも同様の感想をいただきました。
プレイしている我々でさえ自分たちの音にエキサイトして、アドレナリンの噴出が止まらない。
普段はクールなヤスもスティックを手にスィッチが入ると、ドラム・ビーストに豹変するのです。
彼の今回のいでたちはTシャツを基本として、スポーティに動きやすい全身を渋くシックなロック系で統一。
4月にマサが東京で観て来たCTAの土産話が相当に感動的だったらしくて、今だに刺激を受けている御様子。如実にドラミングの随所にそのダニー・セラフィン成果が現れていますよ。!
ヤスのツイン・ペダル連打が、速射砲のごとき爆音で後方から襲いかかってきます。
イントロが飛び出した途端にマッツとスバルちゃんがドドッとステージ前方へ雪崩れ込んできて全身リズムの権化となっています。
皆さん、この変拍子の連続やコロコロ変わる変態的なリズムに、よくもまあピッタリとあわせてくれますねえ・・・と舞台上から失礼ではありますがしばし見とれてしまいました。
もうどれだけの回数この曲をオープニングでプレイしてきたことでしょうか。メンバー一同愛して愛してやまないじゃじゃ馬のような曲。その中でもこの日ほど圧倒的完成度を誇ったことはなかったのでは?!出色の出来と自画自賛。
しかし、何度も言いますがメンバー全員、あの少ないリハ期間で、よくもまあここまで纏め上げたものだ。
各自は多くを語らないけれどね。
特に初参加の大御所クルさん&ユミ嬢はさすが何の遜色もなく打ち解けているよ。
もう何年もSTAでプレイしている古参のような佇まいを醸し出してもいる。
多分この日ギリギリまで各人念入りストイックなまでに詰めへと没頭していたのだろう・・・・痕跡がビシビシと伝わってきます(本当にそうだったらしい)。
STA2度目ライブのカミソウ君は、すでに風格さえ漂わせています。
モニター・スピーカーに片足乗せて、マサが野獣のごとく吠える。ユミ嬢はアグレッシブなる腰振りダンスで、お色気も振り撒いています。
エフェクターも駆使して周到に計算されつくしたクルさん独特なるシャープなセンス良き音色のギターバッキングが、ヤスの冴え渡るパワフルなドラミングに絡みつく。
看板ともいえるホーンセクションのリフは、益々厚みを増してきましたね。
舞台両サイドからの弦楽器達による絶え間ない猛追。後方サイドからは、ドラム&パーカッションが遠慮なしにボトム構築しながらの進撃展開。
会場をまるごと覆いつくすかのような、ホーン隊による異次元空間模様の高鳴り。なんという高揚感であろうか。
鉄壁を誇るホーン・アンサンブルが稲妻のごとく吹き荒れて、全体をリズム・セクションが引き締めるという構図が今回のおおまかなる課題。
さてさてライブの魔物はどこに潜んでいるのかな?・・・・今回は一体全体何を仕掛けてくるのか??
縦横無尽で、空間を縫うように駆け巡るユミ嬢のキーボードは天下一品。
さあ、第一関門の地獄にガッシリと突入だ(2番の歌詞をエディットする本番は先月に続いて2度目のチャレンジ)。
先月共々に見事クリア。手堅く突破した後に待ち受けていたのは、ブレイクによる一瞬の静寂。ウインドウチャイムに導かれての、切り込み隊長カミソウ君による卓越したトロンボーン・ソロで場面転換。
STAライブにおいて2度目のトロンボーン・ソロを、見事にこなしたのです。
しかも、やる気満々のガッツポーズで構える。
大した度胸の持ち主だ。本当に19歳なの!?
さすがに中学生からビッグバンドで揉まれた百戦錬磨の若き達人だからこそ成しえる技。何事もなかったかのような表情で振る舞っていたよ(ヤスによる縁の下の力持ちも忘れてはいけない)。
さりげなくジャジー・フレイヴァーのアドリブを散りばめているところも、彼の凄いところ(ジュン談)。
能あるタカは爪隠す!とは昔の人はうまいことを言ったモノだねえ!
あふれ出る意気込みが全身からビシビシと伝ってくるようだ。
そしてマサいわく「STAのバディ・リッチ」と言わしめた手数王から、リム・ショットに切り替えてのヤスが猛然と先導しつつ、お次はファニーの出番。
彼のトランペット・ソロは熟練の極致なので、大船に乗った気分に浸れます。
本人いわくあまり体調思わしくなくふがいない・・・と語っていたけれど、そんなこと微塵も露呈していなかったよ。
安定感抜群で、時折ヒステリックでエモーショナルなハイノートなどもヒットしてニンマリ。
バッキングによる強弱のサポートも効果覿面で鳥肌が立ちっぱなしだ。
もうこのあたりにたどりついた時点で会場中の空気は一変。
なにやら恐ろしいことがステージで起こっているぞ・・・てな感じですでにかぶりついている。
そして第3の男、クルさんのギターが火を噴いた。
いきなり過激なサスティーン・ピッキングが導入部分で一気呵成に飛び出して、益々進化したアヴァンギャルドなるソロを、これでもかあ!と言うくらいにぶちかます(よくもまあチューニングが狂わないねえ)。ただひたすらにテクニカル。
序盤はテリー・キャスに敬意を表して、ラインを忠実に再現。
へヴィーなサウンドは、これだけにとどまらずフィードバックにより加速。
音数がドンドンと増していき、とどまることを知りません。身をのけぞらせての恍惚状態。
チョーキングなどを交える際にはギターを揺さぶって身をよじる。あれだけのプレイだけでも引き攣るところなのに、エフェクター操作でも効果もすこぶる大きい
テリー・キャスのギター・ソロをリスペクト込めてほぼ忠実にコピーしちゃったんじゃあないのかい!?ビブラート、グリッサンドに至るまでバッチリと再現しているよ。
極めつけは第2期JBG時代のコージー・パウエル直伝によるヤスが、力漲る究極の稲妻フィルインで拍手喝采。
サンキュー!
マサもヤスのドラムセット手前にまで駆け寄って煽りまくる。
いつもは沈着冷静なるヤスもノリノリな様子で、このヒトトキを満喫している様子。すっかりと脳天ヒューズはスパークしちゃったみたいだ。
エンディングにおける冴え渡るベルトーンも、キーボードのユミ嬢を筆頭に見事な連携で流れるような繋がりをみせた。
クルさんからホーンセクションへとバトンを手渡す。ここで繰り出したクルさん入魂の1音がジミヘンのようにウォームで破壊力があって戦慄が走りました。これぞまさしくロックの原石。いかなるアクロバティックなテクニックをひけらかすよりも、「ギュウイ~ン!」一発でひれ伏させるほどの衝撃と説得力。
マサが右手を天井高く掲げてグルグルと回転。ヤスと呼吸合わせて、トドメのフィニッシュ。
あるミュージシャンに言われた事があります・・・・・「マサとヤスは何かにとりつかれているようだった」と。
めくるめくSTAのスピーディなる音像シャワーを一身に浴びまくって酔いしれている観客達は身をゆだねるのみ。
ただただ目が点状態で放心・・・・。
「イエー!サンキュー。改めましてTHE SAPPORO TRANIT AUTHORITYです。
皆さん、楽しんでますか!?」「YEAH!!」
どこからか、興奮した観客がけたたましくホイッスルを吹き鳴らす。
「今日はなんとサワケンさん独占企画北運河の夜ということで、久し振りに参加できて嬉しいです。
こんなにもいかした会場とオーディエンスとタイバンに恵まれた中で、STAがプレイできることをとても喜ばしく思っているわけです。
S・T・Aはどこで演奏しても浮きまくりなんだけど、今日のお客さんたちの反応はとても励みになるよ。大体この手のジャンルに熱狂してくれる人達って昭和30年代の生まれなんだよね(笑)。
9月からずっと地震、そして最近は遅れている雪も心配していたんだけど、そんなもん、俺たちのブラスロックでぶっ飛ばしてやるから!(笑)。
我々は100%ブラスロックをお届けしていますが、これ以上ないほどに豪華絢爛の盛りだくさんな内容でお送りしていきたいと思います。
そんなわけで最後まで楽しんで盛り上げていきましょう!残り時間、派手にお送りしていきたいと思います。じゃあね、俺からリード・ボーカルをパーカッショのイヨちゃんにバトンタッチして、傑作を・・・・・・よろしくお願いします!
シカゴ初期の大ヒット曲なんだけど、実はこれはバレー・フォー・ア・ガール・イン・ブキャノンという7楽章からなる組曲なんですよ(おおおっ!!)。
でね、時間の関係も考慮しまして、今日は4つの楽章のみでプログレッシブに編集していきたいと思います。
邦題はぼくらに微笑みを(第1楽章)・・・・原題は・・・・MAKE ME SMILE!!・・・・メイク・ミー・スマイル!」
ヤスによる軽快なるハイハット4カウント。
この曲もドテッパラに炸裂する一撃が狂おしいくらいに激しく、やはりイントロが常に豹変、それでいてごり押し感なくスッキリとスマートにまとまっているところがやたらと痺れます。
実はね、この曲、小樽でSTAがライブのたびに会場にいる外国人の方達からことあるごとに「MAKE ME SMILE !」とリクエストされていたのですよ。
あちらサイドのほうにウケがいいみたい。
でもいろいろとややこしい事情があってしばらく封印していたんだけど、この度めでたくそれも解除されてフレキシブルに日の目をみたというわけ。
無駄のないパーフェクトな曲ですよね。
最近のS・T・Aはけっこう、こいつに馴染んできたよ。
この曲ではリード・ボーカルを最近イヨちゃんに受け渡し、マサはバッキング・ボーカルに専念。
ダンディーなイヨちゃんは、なかなか堂に入った喉をソウルフルに発揮。
バッキングは疾走感漲った塊のようなブラスロック代名詞でグレードアップをはかる。
パーカッション・チームは、ここでも千手観音のごとく相変わらず虎視眈々と大奮闘の猛進。
エンディングではクルさんによるマシンガン・ピッキング・ギター・ソロで聞くものを金縛り。
クルさんの研ぎ澄まされたギター音って、ちっとも耳障りだったりうるさく感じないんだよね。これってやっぱり巧みなる音作りの技。
ブラス隊による緻密に構築されたアレンジの妙が、更なる完成度と緊張感を増幅させる。
血沸き、肉踊る現象とはまさにこのこと。
それにしてもパーカッション・コンビは相変わらず多種多様の分野にまたがって八面六臂のフル稼働。
タンバリンの連打からウィンドウ・チャイムで、第1楽章を終了。
メドレー部分は入念にスタジオで打ち合わせたとおり、クルさんの流麗なるソロとヤスによるデリケートなトップ・シンバルのカップ部分による装飾音、シンセ、ウインドウチャイムなどが奏でる残響音とホーン隊の揺らめき余韻で幻想的な哀愁を漂わせる。
第2楽章はヤス怒涛のフィルインから図太きミディアム・テンポ「言いたい事がたくさん」
延々と踏み続ける光速ツインペダル音が不気味に爆発。
実験的要素満載なチャレンジ・ソング。
恋人との出逢いから、想いが交錯して悩むストーリーを多分に含んだ展開が秀逸。
マサとバックコーラス(イヨちゃん&ジュン)とのコントラストがミュージカルの様相をも呈しています。
厳かなる重いピアノタッチに、ベースがメロディアスだけれどもごく控えめに奏でられます。
前半の暗い曲調から一転、霧が晴れたかのような心象表現の役割分担にも良い仕事しているなあ。
後半ドラムとバック陣によるいきなりのブレイク・アイディアも、荒削りながらたいしたトラブルもなく難関突破でクリア。
本来ならば第3楽章~第5楽章まで演奏されるのですが、ここでは大幅に割愛。
マサが間髪入れずに「1・2・3・1・2・3!!」のカウントと共に第6楽章の「今こそ自由を」
1分ちょっとの超変態的リズムを誇るインストルメンタル。
この流れが今回のライブ全員にとっての鬼門。
ついにここへとたどり着いてしまった。
序盤の想像を絶するアクセントはクルさんの指摘していたけど、最大のトラップ。
テンション漲るシーンだ。
とにもかくにも、複雑に入り組んだ展開が生半可な気持ちでトライしたならば一筋縄ではいかないのだ。
コロコロと景色の変動に忙殺される、正直な話が予測不可能な曲。、
究極の場面は後半に訪れるベースとトロンボーンによるユニゾンライン。
これをカミソウちゃんはものの見事にやってのけたのだ!
スタジオではどうもシックリと噛み合わなかったんだけど、相当に鍛錬を積んできたのでしょう。
バッチリとパーフェクトに乗り切ったよ。
一緒にプレイしていてもそのカッコイイ姿に戦慄が走ったものです。
ここさえ乗り切ればもうこのライブはいただいたも同然。
次々に襲い掛かってくる難関を、大船にのったつもりで、突破していこう。
まだまだ続くデンジャーゾーン!
メドレーで最終楽章も1分少々の「愛は限りなく」だ(第7楽章)。
初めて聞いた人達ならば誰もが口々に「なんじゃ、こりゃあ!!」と思わず驚愕の雄叫びをあげちゃう拷問のような、それでいて癖になるアート・ロック。
地響きのごときボトムサウンドを打ち砕くようなヤスのフィルインでメインテーマに戻り、想像もつかないくらいのマーチへ一丸となって渾身のプレイ。
最後の一音まで気を抜く暇を全く与えてくれない、ひじょうにやりがいのある曲。
大役をこなしきった清々しきメンバー達の満足そうな表情が神々しい。
ここで一部関係者達からのコメント
スバル「STAと出会ってから丸4年が経つけど、やっぱりかっこいいなあ!!」
サワケンさん「迫力ある素敵な演奏を見聞きできてシアワセな気持ちでした!」
SO-EN(ツカモト氏)「サッポロの名だたるテクニック集団演奏素晴らしく、スペシャル感がハンパないです!選曲もツボでした。許されるなら踊りたかった!!」
O.TONE(編集ヤマシタ氏)「かっこよかったです。たのしかったです!!」
小娘(マネージャーさん)「小娘のマネージャーをやる前の時代にSTAライブをジックリと拝見させていただいたことがあります。
私も管楽器をやっていたので、本当はSTAを見たかったのですが、子供達の門限とかがあり残念ながら見れなかったのですよ・・・・」
話をライブ本編へと戻しましょう。
マサMC「たった今、これらの組曲を妥協なきプログレッシブ・ジャズ・ブラスロックと命名しちゃいます(笑)。
こんな感じで濃厚なるシカゴが続きましたので、次はヒトトキのオアシスとしてSTA唯一のバラードをお届けしましょう。
シカゴ初のナンバー、1に輝いた珠玉の金字塔・・・イフ・ユー・リーブ・ミー・ナウ!」
セクシー&ダンディ部門担当のジュンがここで本領を発揮。
心を込めてしんみりと歌い紡ぎます。
この曲はオリジナルとは違うキー(故ジョン・オバニオンのテイク)でSTAはプレイしているという珍しくも曰くつきのモノ・・・・。
でもクルさんもユミ嬢は即座に曲の本質を理解してくれて(相当に大変だったと思うよ)、本番では美しい仕事を果たしてくれました。
遊び心とオリジナリティなども加味してね。
キーボードによる壮大なオーケストレーション・パートがストーリー映像を描きあげるのですが、現在の編成上、歌詞から練り上げた構想をクルさんは、それまでの彼とは一線を画するメリハリあるリバーブ・プレイに没頭して演出。足元に設置してあるエフェクターのスイッチを踏み込んでアルペジオでのディレイ効果を加えた控え目なるナチュラルトーンのソロも、より曲の魅力を引き出すことに大貢献。
チラッと高中っぽい装飾もまぶしてくれました。
曲全体を包み込むようにユミ嬢のピアノがしっとりうっとりと叙情的な鍵盤タッチで描きあげてくれます。
自己陶酔のジュンはマイクを手に、甘美なまでにとろけるボーカル。
「ジュンちゃ~ん!」と声援が飛ぶ。
マサとイヨちゃんによる繊細なるコーラスも後押しして、いい味を出している。そしてヤスのワイヤー・ブラシ&リムショットとサワケンのパーカッションが目立たないながらも最高の隠し味。
もちろん、体を軽く揺らしながらのホーンセクション(ファニーがトランペットから持ち替えたフリューゲルホーンを筆頭に)の響きが咽び泣いている。
ミキティによるアルト・サックスの音色もドラマティックな色合いでムード倍増に奏でる。
グッと抑え気味のサワケンも、タンバリン効果で持ち味を発揮していて自己主張。酔いしれるほどに大人の魅力で光を放つという、今までの中でも最高の演出。
やっぱり「STA史上最強のメンバー達」と呼ばれるのは伊達じゃあない。
ところで、今回のライブに向けて最もはしゃいでいた女性2人の話題はといえば「ステージ衣装」
ユミ嬢は並々ならぬ力の入りようで、わざわざ服を購入してきて写真に撮ってきた画像をミキティと見せ合い。
どうやら豹柄に決定したようでして、その様子を横でちゃっかりと聞いていたマサも便乗しちゃいました!(笑)。
よって3人が豹柄。
ユミ嬢は帽子とミニスカートを!スパンコールのセーターもダンスプレイでけっこう落ちちゃったらしいです・・・。
それだけハッスルしていたんだ!という証拠ですな。
ミキティは豹柄のドレス・ファッションでまとめてくれました。襟元もポイント高い。
いずれにしても御両人の脚露出度が凄い!
マサは女性用のコートを数年ぶりに着こんでみました(ミキティはことあるごとに「それ頂戴!」とおねだり。「何処で着るんだよ!?」と聞くと「もちろんライブで!」と言い切った)。
というわけでしてSTAはじまって以来初めて豹柄が3人もステージに立った記念すべき日でもあります。
ええっと・・・また話をライブに戻します!
「ありがとうございます!
さあ、黄金期のシカゴ一直線でお送りして参りましたが、次のバンドも、もはや伝説と化したブラスロック三羽烏に数えられるであろう決定版です。
シカゴの強力なるライバルとして常に比較もされていた彼等の、バンド名や曲目名を知らなくてもブラスセクションのフレーズ一発で、あ!あれだ!!と皆さん、わかると思います。当時ウィークエンダーのテーマリフにも起用されていた・・・・ブラッド・スェット&ティアーズのスタンダードから・・・スピニング・ホィール!」
「オオオ!!」と会場のあちこちから感嘆の声が聞こえてきたよ。そうだろうねえ。これを取り上げるロックバンドって今時いないと思うよ。
それが狙いなんだけどね。
ヤスがナイス・タイミングで高々と掲げたスティックでカウント4つ打ち。
イントロからガンジガラメなクセモノ。
入り組んだブレイク構成にいつも冷や汗タラリ・・・。
ここでも御大イヨくんにボーカルを託す。
彼のボーカルはセッキーはじめ周囲の人々に高評価を得ていました。それも当然のことで、以前にもSTAコーナーで紹介したとおり札幌で長年活動している山下達郎のカバーバンド「プライム・ルース」のメンバーなのですよ。
入り口部分のボーカル音取りに苦慮していたイヨくんだけど、そこはそれで本番に強い男。アップテンポなバッキングにのってバッチリ堂々と歌いこなしていたよ。
歌いだし部分に入るカウベルも、バッチリと力強いアクセントで駆使していたね。
さすがだ。
ファニーのトランペットも嘶きまくり。しかし何度演奏してみても、個性的な傑作です。
決めの箇所に差し掛かるたび、心配そうに各メンバー達が周囲を見回しながら合図を送るので次々と難所もクリアできます。まさに手に汗握るシーンだ。
決してごまかしのきかない曲ばかりだもんね。一旦躓いたら総崩れになること必至。
オーディエンスも、あの一番有名なフレーズが炸裂する箇所に差しかかると一緒に腕を突き上げる。
しかしユニークなアレンジが目白押し。
先の読めないスリリングな進行具合が癖になりそう。
一番脚光を浴びる100%ジャズに場面転換する中間パートへ突入。ジャズ畑のルー・ソロフばりに、ファニーの血液逆流しそうなほどのけたたましきトランペット・ソロ。
それを的確に支えるバック陣も、プレイが冴え渡る。
カミソウくんもところどころに出没するトロンボーンによるアクセントや、難解この上ない楽曲をスムーズなアプローチで完全克服。
食い入るように見入っている観客達。
この山場を乗り越えたら、メンバー達もかなりリラックスしてきたね。肩の荷が降りて楽になった気分に浸ってる?いや、STAトラの穴はそれほど甘くないのであった。
ミキティの必殺リコーダーが可愛らしく吹き鳴らされるエンディングでは、マサが口笛を吹きながら伝家の宝刀マラカスをシェイク。ユミ嬢モコミカルなオルガンにシフトチェンジ。サワケンはじめ他のメンバー達もそれぞれにルーズな雰囲気そのまま和やかユーモラスに機転をきかせてまるでオモチャ箱をひっくり返したようなムード漂うアドリブ・フェイドアウト。
「OH YEAH!FEEL SO GOOD!!」
とにもかくにも、メンバー達がオリジナルにはないおかずやフレーズをストイックに投げかけてくるので、その実験的精神に互いが感化されるのです。
コピーだけではつまらない・・・それプラスアルファを常に追求する姿勢が潔し。
追い求める水準が並みじゃあない。
マサが希望提出していたアドリブ合戦にいつのまにか誘われているという、趣向が見事にはまっていたね。
期待以上の効果を盛り込んでくれました。どんな注文もなんのその。
こんな事くらい説明不要!とばかりに、このメンツならばお安い御用かな。
STA初参加ライブ2人の振る舞いが初々しく映って、古株の我々にとっては眩しいくらい。
苦節14年にして最強のメンバー達がここに結集してお披露目の図といった塩梅だ!
長き旅路の紆余曲折を経て、ついにここへととたどり着いたのだ。
ヤスのカウントが、静寂を打ち破るエディット・バージョンのダンシング・チューン。
パーカッシブなテイストの極め付けとばかりに、血液逆流しそうな炎のグルーヴ目白押し。
文句のつけようもないくらいに、ヒップなアタック感を抽出。
伊達男ジュン、ここでもテナー・サックスとボーカルの二刀流。
十八番だけに、まるで自分のオリジナルソングのように捲くし立てる。
アグレッシブなボーカルが優雅で圧巻。
熱唱に次ぐ熱唱。
トレードマークの腰振り歌唱スタイルも健在。
今回のライブはマサとジュンとイヨちゃんとでボーカルを振り分けるという贅沢この上ないシステム。
ホーン隊もそれに負けじと、渾身の吹き込み。
マサは大股開きのままで、ネックをグルグルと上下にひねり回してのピッキング。
後ろを振り返ったり、クルクルと回転。
前後左右にと行き来しながら、一時たりともジッとしていません。ロックバンドのライブはやっぱりこうでなきゃあね。
それだけにとどまらず、しょっちゅうドラムセットにまで駆け寄り右足をバスドラムに乗せてシンバルを蹴りまくる。
時折ヤスとマサが向き合っての、火花散るインター・プレイも微笑ましい。
時代を反映してか、サイケデリック臭を狙ったクルさんのギター・ソロは確実に的を得ているね。
この手の曲でも、的確なるコードワークと伸びやかなるフィンガリングで場を盛りたてる。
新生面のギター・リックも一際異彩を放ちつつ、独自の解釈論で獅子奮迅。
マサとユミ嬢がミュートピッキングと、跳ねる音でテンションを高めます。
決めのブレイクタッチ・フレーズでは、メンバー達が繰り返し渾身の力を込める。
観客の中にはプレイ・スタイルを真似ている猛者も出現。
エンディングにおける一瞬の空間を突き破るがごとく、目一杯にタメをきかせて喉を振るわせる官能的でブルージーなジュン絶叫ソロボーカルパートでは気持ちよさそうに自己陶酔!
このひとことで観客達が「ヒューツ!!」と大歓声。
プレイしている我々でさえも、手前味噌ながら震えがくるほどの高評価を下したくなるほど。
皆が皆一様にエキサイトしています。
わずか3分ほどの曲なんだけどね」
目前に佇むマッツが「いいぞ!最初からやれやれ~!!」とはやし立てる(笑)。
「ありがとうございます。残りの曲もやかましいくらい暑苦しくもバラエティーに富んだメジャーなところを厳選しながらお届けしていきます。
その方が皆さんも喜んでくれることでしょう!
本当はまだまだトランペットが必要な曲なんだけど、そこはそれでブラス・セクションが鉄壁の吹き込みで頑張ってくれます。
俺たち独自のアレンジを施してプレイに挑みます。
次の曲はブラスロック界における重要なるターニング・ポイントと言われています。
シカゴ、BS&T、アイズ・オブ・マーチときたからには、このバンドをやらないわけにはいきません。
ブラック・ビスケッツ風(爆笑)リフ一発で皆さん、わかってくれると思いますよ。
またまたイヨちゃんが情熱込めて歌います・・・・燃え上がってください(と、ここでイヨちゃんの方を指指すと大きく手を振り返す)。
皆、聞いてね!邦題は・・・黒い炎・・・チェイスで・・・・ゲット・イット・オン!!」
ヤスが、待ってました!とばかりにスティック・カウントで・・・1・2・3・4(マサも)1・2・3~!
アグレッシブな「黒い炎」が帰ってきた。
歌詞の内容は卑猥そのものだけど、火傷しそうなくらいのヴォイス攻め。
このようなやさぐれたボーカル・スタイルのイヨちゃんを聞けるのも激レア。ハードロックも歌いこなせる器用なシンガーには脱帽だ。さりげない仕草が板についてるね。
会場内では大きく手をあげて手拍子を打っている人々の姿が見えてきてハッピーですよ。
ホーンセクションの4人も、吹き出す直前まで観客に向けて手拍子の要求。
クルさんは冷静沈着なるエキセントリックなプレイ。マサも常に半身のポーズにて横に居並ぶホーン隊と対峙しつつも、暴れまくりながらのプレイが鮮烈だ。
空間を切り裂くようなホーンセクションが絶え間なく鳴り響いてきて、益々の活況を呈しています。
ファニーのヒステリックで乾いた金属音ハイノートは特筆モノ。バック陣も腰を抜かすほどの威力を確立。
メイナードファーガソンか、はたまた本家ビルチェイスを彷彿とさせる超絶悶絶なるトランペット。
脳天がメラメラと炎上しているようだ。
イヨちゃんがファニーとの共演を熱望していたのも納得だね。
マサは調子にのりすぎて足元に設置されていたドリンクをスキップの途中でステージで倒してしまいました。
「ウオー!」とアイドルタレントに対する声援にも似た図太い声が、どこからともなく沸き起こる。
タイバンの連中も食い入るように凝視しています。
ジャズのエッセンスをたぶんに含んだ超絶技巧ワウワウ・ペダルのバッキングもドライブしていて光っている。
これがあるとないとでは雲泥の差。
後半、転調後のダメ押しに至っては、レッドゾーン振り切れギリギリ。
普段はポーカーフェイスな佇まいのヤスもビシバシと要所要所でしのぎを削るかのよう。
ファニーを筆頭にホーンが競い合ってピッチを上げるところなんか、ぶっ倒れるんじゃないか?と、心配になってしまうほど。
スタミナ消耗率が激しい・・・・わかってもらえたことでしょう。
でもミキティちゃんやカミソウちゃんも一種独特なるSTAワールドに手ごたえを感じているはず。
それだけにやりがいがあり、一度味をしめたら脱出不可能なジャンルであります。
驚愕なのは、オリジナルに隠し味のように取り込まれているコンガが(これ、意外にも知っている人が少ない)STAの「黒い炎」に今夏から初めて導入されたこと。
なるほど・・・と目から鱗が落ちるほどに、世界観がガラッと変化したのです。
サワケン親分、昔取った杵柄がここにきても燻し銀の光沢を放っていたのでした。
ユミ嬢のやんちゃなる真価がここでも炸裂した!
スリリングなキーボード・ソロがイキイキ躍動感ではじけまくってるのです。
ファニーも彼女にスポットライトを当てるべくビシッと右手で指し示す。
ナカちゃんから絶賛されたマサのベースラインも縦横無尽に疾走。
決めのエンディングでは更なる進化を遂げたヤスが、目一杯にタメをきかせて美味しいトコ独り占め。
マサとのリズムコンビネーションも阿吽の呼吸でピッタリさ。
ブラス隊含めて全員が残響音を轟かせる中、息も絶え絶えな暴れん坊。
燃え盛る炎で焼き尽くされて真っ白な灰になったかな・・・?
まあ、いずれにしても勇壮なる直撃弾逆落としに対して言葉を失ってしまったオーディエンス!
この日繰り出された曲のどれもが、今までの中でも群を抜くほど出色の完成度を誇っていますね。
本来あった理想とも言える形が実現した瞬間が連発だ。
熱狂の余韻そのままに、ユミ嬢によるクラシカルな繊細なる旋律が指先から発せられる。
スタジオではサワケンが担当していたオーケストレーション鍵盤2つ押しは、なんとカワソウくんが受け持つ事に・・・・。
満を持して漢ヤス入魂のリズムが発せられました。
俄然地鳴りをあげて、ジャストなタイミングでダニー・セラフィン直伝、伝家の宝刀フィルでドラムセットを破壊するほどに応戦。
スティーブ・ルカサーのギター歪みをクルさんが好演してのストレート・ロックンロール「ゲッッタウェイ」に雪崩れ込んで捲くし立てるS・T・A。
この曲もある事情によってしばらく棚上げにされていたんだけど、このたび晴れて封印が解かれたという曰く付きの隠れた名曲。
数回過去に披露したことがあったんだけど、あろうことかキーボードとギターがキーを間違えてとんでもない事に・・・。
まともにできたことがなかったという苦い思い出のあるかわいそうな曲だったんです。
でもこの日、そんなくだらない事を払拭するほどの感動を与えてくれました。
ブラス隊一体となりながら、リズムにあわせ体をくねらせて吹き鳴らすプレイ・スタイルは何度も見慣れていますが、やっぱり様になっていますね。
追い討ちをかけるようにマサ&イヨちゃん&ジュンの3人がロックンロール・シンガーよろしく迫真の叫び。
絶頂に達した瞬間、不意をついたかのようなブレイクも立派に達成。
「終わり!(笑)!!皆さん、満足してくれてますか?」「イエ~ッ!!」「はい、残すところ1曲です・・・・・・・わかってるだろうなあ。
ありがとう!正真正銘これで最後です!いきます!盛大に盛り上がっていきましょうー!HEY!!見事に締めくくってみたいと思います!」「YEAH!!」
「ぶちかまし!アー・ユー・レディ!!ロック至上永遠に輝く極上のミッドナイト・ソング
・・・・・・25O6TO4!!!」
マサは前傾姿勢で、モニター・スピーカーに右足を乗せたまま、クルさんを左手で指差すと、ギター・スライディングから
「ガガガガガーン!」
メンバー全員が「ヘイ!ヘイ!」と腕を突き上げてのコール&レスポンス。
ギターが、これ以上ないほど、ファンキーで過激に叩き込む。
マサもメインリフを弾き始めると、打楽器勢もパーカッション類総出で
それに便乗する形にてなぞってくる。
疾風のごとく耳をつんざくホーンの狭間に、リズムの鬩ぎ合い!
あるバンドは「STAはスーパー・スペシャル軍団」
あるギタリストいわく「ニュー・ギタリストは、いい音を出していますね~!」
あるパーカション奏者いわく「STAはレベルが高い」
あるトランペッターいわく「STAはブラス殺しのナンバーばかり・・・・」
あるミュージシャンいわく「STAは歴史と伝統あるバンド!」
マサは1フレーズごとにステージフロント右から左に並べられているモニター・スピーカーに左足をのせながら移動。
そして左サイドのフロントにて仁王立ち。この躍動感あるロックなコントラストが長年の理想形だったのさ。
メンバー達の拳を突き出すタイミングが絶妙。
誰言うともなくホーンセクションが合間を縫って
「イェーッ!!」観客も「イェーッ!!!」のコール&レスポンスで半狂乱。
もうこれが本当にラストだと察してか、全員グチャグチャでどこもかしこも沸点に達しています。
マサはヤスのドラム台に、更にはユミ嬢のところにまでホップステップで駆け寄って、コミュニケーションをはかる。
両膝をついて、ヘッドバンキングにて気迫のヴォーカルを続行。
クルさんは、虎視眈々、隙間という隙間をびっしり雷鳴のごときエッジの立ったソロで埋めつくすほどに我を忘れて、ギターの鬼と化しています。
でも、起承転結のメリハリはバッチリで、うかつにも聞き惚れてしまっちゃうほど!!!
締めはエフェクターボード内に設置された秘密兵器を踏み込んでの艦砲射撃。
逆方向ではウォルター顔負けなテナー・サックスで対等に渡り合うジュン。
マサが3番を歌いながらベースのネックを観客方向に突き出す。
これもライブでなければ味わえないハプニング。
メンバー達が色めき立ってきた・・・この状況。
どいつもこいつも、ビックリするぐらいに凄い奴らばっかりだ。
コワモテの職人サワケンも痒いところに手が届くカウベルの連打プレイ。
ユミ嬢のオルガンもプロフェッショナルなんだよね。一体どれだけの引き出しを持っているんだろうか。
久し振りのロック体現に、並々ならぬ意欲でトライしているのでしょう。
何が飛び出して、どんな展開になるのか。我々にも皆目見当がつきません。
まぁ、こういったスリリングな崖っぷち綱渡りパターンもSTAトラの穴(クニ曰く)ならではの持ち味であり、魅力のひとつだね。やはり役者が違います。
時間の関係でエディット・バージョンだけどそんなこといっさいがっさい関係なし。
エンディングではマサが自分の楽器を垂直に突き上げて揺すりまくるの図。
尚もクルさんのソロは止まらず、ホーンセクションは管体が破裂するんじゃない!?と、思えるほどの気迫プレイをクローズ・アップ。
照明もSTAのメンバー達を追うのが大変な作業だ。
エンディングではベースギターを天井高くに突き立てホップステップしながら、ベースギターを肩からはずし、片足上げのまま思いっきり床に振り下ろした。一礼して、マサがジャンプ一閃でTHE END!!!
~~~STAのライブ・レポート本編はこれにて終了・・・・と言いたいところなんだけど、実はアンコールがかかったのだ!
まだまだ続くよ!
よろしくね!!~~~