さてさて、勢いそのままにマサがMCも兼任。
「改めましてサッポロ・トランジット・オーソリティです。
皆さん、楽しんでいますか。
我々は結成18年を迎えてもなお、頑固一徹ブラスロック街道を邁進し続けています。
STAのことをすでにご存じの方はニンマリ、はじめて観た方は圧倒されていることでしょう。
大所帯バンドの宿命ゆえにほぼ毎月ライブを行っているのですが、その都度微妙にメンバーに変動があります。
人数やパートも変則的。
で、今日は驚いたことに、STA浅草橋ニューフェイスが6人もいます!
メンバー紹介をしますので、盛大なる拍手をどうぞよろしくね!!。
誰からいこうか・・・・。
オン・ドラムス・・・泣く子も黙るいぶし銀のモッチン
パーカッション・・・・ダンディなラテン系ユーちゃんです。
テナーサックス・・・・バカテクで有名な若手のマッツ!
アルトサックス・・・・ウッドウィンズのマルチプレイヤーはウパちゃん。
ギターは・・・ショックスのベルボトムジーンズ男コバちゃん
そして・・・・・(上手に控えし歌姫を手招きする)
サッポロ界隈では才色兼備で最近メキメキと頭角を現しはじめてきたソウルフルシンガー、アイちゃん!
(ここでアイちゃんが颯爽と再登場。
マイクを持つ姿が絵になるねえ。
全身から発せられるオーラが半端ない。
神々しくって眩しいくらいさ。)
アイちゃんが率いるアイ・ソウル・シブリングスでも素晴らしい歌声を聞かせてくれるんけど、STAでも目いっぱいに期待していいよ。
せっかく、彼女の歌声を披露するんだからということで、アイちゃんコーナー設けました。
どんなジャンルでもあっさりとこなしちゃうから、全くタイプの異なる5曲を用意しました。
ジックリとご堪能ください。
これまでの濃厚な迫力シーンから気分転換・・・・
次の曲でちょっと熱冷ましをしたいと思います・・・・
知っているかな?
まずはSTA唯一の名バラードを・・・・・・。」
当然拍手喝采だ!!!
さあ、誰もが固唾を飲んで注目していた場面がいよいよ始まった。
STA史上最強の歌姫降臨の瞬間だ!
妖艶なるルックス、ファッショナブルないで立ちとインパクトは絶大。
セクシー部門担当のアイちゃんが、ここで心を込めてしっとりと歌いあげます。
彼女も今回は3回きりのスタジオリハだった。
でも昔取った杵柄とばかりに意気揚々、中央フロントへとゆっくり歩み寄る。
シカゴ初の全米1位に輝いた珠玉の金字塔。
邦題は・・・愛ある別れ・・・・・原題はイフ・ユー・リーブ・ミー・ナウ(演奏は昨年の5月15日、日曜日STA企画リブレーションでのスターライト以来だ。
STAはE♭キーの故ジョン・オバニオン・バージョンでずっと演奏してきたのですが、アイちゃんはピーター・セテラのキーでスマートにさらっとこなしてくれました。
しかも、とびっきりな歌声でね!
やっぱり元キーでなきゃあ。
伝わるものが全然違う。)
スタジオリハでは紆余曲折を経た後、 メンバー達も即座に曲の本質を理解してくれて(相当に大変だったと思うよ)、本番では美しい成果を遂げていました。
コバちゃんはカポを使用。(STA初の出来事!!)
ナチュラルなギタープレイヤーに変身。
ハードからクリアなトーンまで、なんでもござれだ。
スタジオリハ時では多角的に、いくつものコードを提示してくれて数段も曲のレベルがアップした。
「それいい!エロっぽい!」と、皆から微妙にみょうちくりんな賛辞を与えられていたし(笑)
本人は「世界一コードを知らないギタリスト」と自負していたけれども、いやはやなんともどうしてどうして。
ライブ当日にも「未練がましく、こんなギターを考えてみました」と、STAラインに早朝から音源をポロロ~ンと流してもくれました。
マサも感銘を受けた次第。
現在の編成上、歌詞から練り上げた構想をコバちゃんは、それまでの彼とは一線を画するメリハリあるプレイに織り込んで没頭しています。
足元に設置してあるエフェクターのスイッチを踏み込んで深めなディレイ&リバーヴを加えたサウンドのソロも、マサのアドヴァイスで1オクターブ上げて、より曲のツボを引き出すことに大貢献。
グッと抑え気味のコバちゃんは、アルペジオとさりげないハーモニックス効果でジックリと持ち味を発揮。
よりドラマティックなる効果を狙い、サスティーン音色を膨らませての装飾。
中間部でのバッキングによるコード進行もバッチリと体得したから、水を得た魚のようにノビノビと演出しています。
そして、もちろんユーちゃんも、大人の魅力で渋い佇まい。
ウィンドウチャイムやトライアングルの音色が澄み渡る。
モッチンのワイヤーブラシが、程好いアクセントを生み出している。
繊細なる刻みも味わい深い。
何も言う事なし。
文句の付けようもない。
さらには今回ホーンセクション達の連携で、いつもとはまた違った神秘的な音作りに挑戦してみました。
全体を覆うように見事なまでのホーンアンサンブルが、叙情的なタッチで采配をふるう。
特にウパちゃんが、ここでフルートを構えて厳かに吹き込む姿には感銘を受けるほど(これもSTA初!)。
和音の構成音というファンタジックな特性が、一番発揮された曲なんでしょうね。
奥が深い…とひたすら勉強になった。
控えめに体をくねらせながらのホーンセクションが、思い切り咽び泣いて盛り立てる。
特にマッツのテナーサックスが、刺激的な色合いでムード倍増。
そして最大の功労者はアキちゃん。
何か月も前から多角的に検証を重ね、この曲を仕上げてきた。
より原曲の魅力を損なうことなく、いかにして壮大なサウンドを響かせられるか。
そりゃあ、涙ぐましい時間と体力を浪費していた。
煌びやかなる壮大なオーケストレーション・パートがストーリー映像を描きあげるのですが、そこはアッキーの独壇場。
細心の気遣いでドラマティックに決めるところなんて、中々にやるもんだねえ。
痒いところに手が届く、とは正にこのこと。
八面六臂の大活躍。
幻想的な異空間に浮かび上がるSTAの面々。
さすがシカゴ・ミュージックのノウハウを究極に熟知している猛者達だけのことはある。
アイちゃんもサビのコーラス部分で「こうかなあ??・・・」とか、何度も探りを入れてみたりして繰り返しダメ出しを言い続けた。
一番時間かけて、てこずっただけあって完成度もすこぶる高い。
これは堂々と自信を持って言えること。
(でも本人曰くこの歌も難しい・・・との弁)。
マイクを手に、とろけるような哀愁に満ち溢れた甘いボーカルで言葉に表せないほど切ないくらいの感情移入。
ハードからAOR、ソウル系からミディアム・ナンバーにいたるまで何でもこいの頼りになるスーパーレディ。
さすがモッチン、アキちゃんやマサが絶賛、太鼓判を押して惚れこんだシンガーだけはあるね。
アイちゃん、どうだい?
気持ちよく歌えたかな?
モッチンによる絶妙なるハーモニーも後押しして、いい味を出している。
この曲は、数えきれないくらいのライブテイクを重ねてきたんだけど、全く納得のいく内容にはならなかった。
もはや絶望的だったところにアイちゃんが颯爽と現れて、あれよあれよという間に素晴らしい運びとなったのさ。
STAとは運命の結びつきなのか、音楽の女神と意気投合したようだね。
そして今回、益々磨きがかかっていたのは、火を見るよりも明らかだ。
STAメンバーはもとより、観客、対バンからも「ブラボー!」と称賛されていた。
「ウ~~、ママ・・・・♬」
エンディングでのメンバー一丸となっての連結プレイは、芸術の域に到達しちゃいそうなくらいに練りこんだもんね。
メドレーで「アイ・ウィッシュ(回想)」
スティーヴィー・ワンダー名曲中の名曲。
1976年11月リリースのファンキーなヒット曲。全米シングル&ソウルチャートで1位を記録。
シングルエディットは3分37秒。
アルバムバージョンは4分12秒。
「キー・オブ・ライフ」に収録。
ナイスなタイミングを見計らって、間髪入れずにマサが珍しくベースで、イントロの16ビート・リフ・ラインを淡々と奏でながらも歩みを止めない。(モッチンが、この曲ではドラムのそばでプレイして、とリクエストしてきた。
リズムアンサンブルをより重視してのことだろう。
職人肌のドラマーは、言うことが一味も二味も違うね)
前曲とは全く毛色の違う曲調。
この曲、もういつSTAで演奏したのかを念入りに調べてみたら、今年1月221日の土曜日、小樽ゴールドストーンでプレイしていた。
もちろんアイちゃんがヴォーカル。
それこそ、コロナ真っただ中の頃さ・・・・)
何度も散々な目にあったので、もう、すっかりうんざりしてしまい、封印したという,いわくつきの可哀そうな曲。
でも今のメンバー達ならば問題なく楽勝。
本来は数人の重厚なるコーラスが入っているんだけど、STAは本家本元ライブテイクをお手本に、持ちうる限りの団結力で乗り切った。
コバちゃんのギターは、繊細だけどやや控えめに小技を披露。
マサ&ウパちゃんは2か所のコーラスもバッチリとこなした。
ユーちゃんは要所要所で、ありとあらゆるパーカッションで彩を添えている。
紆余曲折の末、遂にここへと辿り着いた。
マイクを手に勢いよくアイちゃんが、ステージ中央フロントへと駆け出した。
この日は最初と最後はマサで、中間部分のボーカルはアイちゃんが担当するという筋書き。
男顔負けのストロング・ヴォイスは、ライブで更に遺憾なく発揮された。
やわな男どもが束になって挑んでも、到底叶わないよ。
即座にぶっ飛ばされることでしょうよ。
そのくらいに強靭なる喉の持ち主。
そしてエモーショナルだ。
特筆すべき点は中間部分に差し込まれるかっこいいハミング。
実を言うと、今までのシンガーでこれを再現した者は皆無。
というか、歌えなかったのさ・・・・(-_-;)
それを初めて、思いっきり忠実にこなしていたもんだから、感動の果てに涙腺がウルウルしてきちゃったさ。(´;ω;`)
それら全てを含め、バックを務めている皆だって驚愕しているくらいだ。
勿論、観客席の誰もがやられていたご様子。
それが証拠に、ライブ・フォトほとんどがアイちゃん中心だった。
本領発揮のアイちゃんはさすがだ。
これが力量の差。
歴然だね。
派手なところばかりにスポットが当たり気味だけど、陰では並々ならぬ努力をしているのだ。
だって数週間で完璧に歌詞を覚えてきて、堂々とふるまっているんだよ。
良く分かっていらっしゃる。
いつまでたっても歌詞カードを当たり前のように譜面台へ置いて、何の思い入れもなく事務的にカラオケ気分で歌う輩とは大違い。
歌詞のストーリーも把握して飲み込んでいるし。
涙ぐましき努力の成果が花開いた。
アイちゃんはスティーヴィー・ワンダーの大ファン。
この曲には思い入れがひと際強い。
生き生き伸び伸びと輝いていたよ。
エンディングでの変態的な連発ブレイクもスリリングにバッチリとハマっていた。
テンションもマックス状態で恍惚の領域に達していたさ・・・・。
「(ペットボトルに入った水をグイッと一飲みしてから・・・)ありがとうございます!
え~~、じゃあそんな感じで・・・・・そろそろ、いいかなあ。
さっきも言ったとおりに、今日は全くジャンルの異なるバンド達との競演と相成りました。
そういうわけでして、コテコテのブラスロックのあとは、ちょっとまた我々も刺激的でパーカッシブなファンク・ナンバーをぶちかましてみたいと思います。
あれ!?・・・こんなとことにホイッスルが!!??((´∀`*))・・・(と、首から下げているホイッスルを咥える。
ワイヤレスマイクはうるさすぎるから遠ざける)
クール&ザ・ギャング・・・・ファンキー・スタッフ!」
MTV時代のポップス路線のものではなく、1970年前半のディスコでもてはやされた作品ですね。
2019年1月20日にヴィ二ーズバーでのラッパ祭りで披露して以来だ。
これがここでのラストライブで、閉店しちゃった・・・・
店長のクボタくんは現在ソリッドの店長とドラマーとして忙しい日々を送っているよ。
あ、この日も「収縮ちゅーぶ」で叩いていたっけね((´∀`*))
一種独特なひねりのカウントから、耳がつんざくほどのマサによるホイッスルがけたたましく轟く。
ベースとバスドラムのシンクロするグルーヴが肝。
地べたを不気味に這いずり回るがごとく、ボトムが唸りをあげる。
コバちゃんも、ワウペダルを踏み込んで多角的に彩を添える。
今回一番の鬼門とも言える曲。
纏め上げるのにメチャクチャ苦労した、本来ならば単純明快そのものともいえるほとんどがEで占められた3分足らずの曲。
スタジオ・リハでも真っ先に取り組んだ代物。
不安要素てんこ盛りだったもので・・・。
全員かなりテンパッていたけど、本番がはじまった途端スムーズに馴染んだようで、自然と体も動いてアイちゃんはアドリブのフレーズやフェイクも連発。バックとの掛け合いも絶妙に発しています(ここでのユーちゃんはタンバリンの打ち鳴らし。痒いところに手の届く、心配りの行き届いたメンバーだね。
だって彼は以前にも他のファンク・バンドで演奏経験があるそうだよ)。
本当ならば複数のボーカリスト達で派手に賑やかな演奏を繰り広げてやりたいところなんだけど、そこはそれでアイちゃん、アキ、ウパちゃんの3人で責任もって背負っていました。
こいつら、やはり只者ではない。
アキはマサ提供のスライド・ホイッスルを嬉々として「ピュー~~・・・ピュー」吹き込んでいたさ。
大したものだ。
実質ホーンはミツとウパちゃん、マッツのみなんだけど、彼等も頑張ってスコアと睨めっこしながら、必死に食いついていましたね。
結果、この曲を今までにライブ・プレイした中でも出色の完成度(幾分怪しき箇所もありだけど・・・・協力しあって牽引)を誇るまでに。
けっこう頑張ったので、少しはグルーヴィーでファンキーに聞こえたのでは!?。
それまでのSTA版「ファンキー・スタッフ」は正直な話、論外だったもので。