ヴィニーズ・バーにて開催されたS・T・AマサPRESENTS「リブレーション」
ライブレポート続編ですよ。
5、20:10~20:40
アンクル キャッツ
STAとジョイントしたバンドの中でも、このバンドほど常に当たり前のようにご一緒しているところはないでしょう。
その回数たるや群を抜いていて、他を圧倒してもいます。
もはや説明不要の存在のアンクル・キャッツ。数年前の食事処・桃太郎でのライブが初対面でしたね。紆余曲折を経て今回はニューフェイスを含め6人編成で歌謡曲を中心としたステージを、いつものように目いっぱいはじけまくり展開してくれました。
リーダーのフクさんはギター(白のドングロッシュUSAストラトタイプ。メイプル指板)&コーラス、すっかりバンドに馴染んできた感ありのエレキダさんもギター担当(フェンダーUSAカスタム。3トーンサンヴァーストのローズ指板)。ムッちゃんはベース(ミュージックマン・スターリング。ナチュラルボディ。ローズ指板)&コーラス、ご存知ホンマちゃんはドラムス。新加入のオサムくんは3曲のみ参加のキーボーディスト(コルグN5EX)。そしてファン続出人気絶頂のフミオくんがヴォーカル。
さあ、このメンツでのライブを観るのは初めてですよ。
「デザイアー(中森明菜)」でのオープニングは、もはやお約束のパターン。
あいかわらず、クリアで伸びやかに気持ちよく通る歌声が見事なフミオくん。
今回は時間があまりなくて衣装にはそんなに手の込んだことはできなかったそうですが、そこはそれ。通常の人に比べれば十分に見栄えするいでたちに見とれてしまいます。
珍しくGパンをはいて黒のハット姿。金のアニマルプリント・ストールでコーディネイト。いつもならばこれに自らミシンや裁縫テクニックを駆使してヒラヒラの羽を纏っているのですが、それはまた次回のお楽しみということでお預け・・・・。
「ありがとうございます!もう乾燥した空気で大変です・・・(とここでペットボトルの水分を補給)。次の曲は・・・・・宙船(TOKIO)。」
毎度毎度のことながらも油断して気を抜いていると、ウットリ聞き惚れてしまいそうになるヴォーカル。
何度も言うけれども、女心の情感を歌わせたらフミオくんの右に出る者は、少なくともここ札幌にはなかなかいないでしょうね。
そして新メンバーを迎えて、更なるグレードアップを図るアンクル・キャッツ。
格段の飛躍年となることでしょう。
その中でも常に中心的メンバーとして熱きスポットライトを一身に浴びているフミオ君は、いついかなる時にでも喉のケアを怠りません。
だからこそ素晴らしい歌声を送り届けていられるのですね。大切な商売道具ですから、当たり前と言えば当たり前の話ですが。
ただ、そのストイックな性格が災いして今回このようなことがありました・・・。
フミオくん「宙船の早口でまくし立てる箇所がしんどいのですよ。うまく歌えていたかなあ??・・」観客「大丈夫ですよ!」フミオくん「本当!?嬉しいなあ」観客「心配いらないよ。でも風邪ひいているの?ライブ中もマスクを首のところにつけているからさあ」フミオくん「え!ええ!??知らなかった!すっかり忘れていた!教えてくれてありがとう!なんか歌っていて顎に違和感があったんだよね。口の戻りが早いなあ・・・ってさあ。」会場大爆笑の渦!!フミオくん、あたふたと慌てふためきマスクを外してステージ・サイドのPA上にとりあえずマスクを置きます。
「ええっと・・・こんなバンドです(笑)。ありがとうございます・・・・・・いちご白書をもう一度(バンバン)」
セットリスト中、唯一のフォークソング。
ミニ知識****まだ松任谷前、荒井由実時代の彼女が提供した1975年作品。
2人組ばんばん5枚目のシングルで、ばんばひろふみの相棒でもある今井ひろし氏は札幌東区にある喫茶店の御子息。
オリコンにて唯一1位を獲得したスタンダード****
温故知新、なだらかに流れる珠玉の一品。若い人々にはちょっと馴染みが薄いかもしれませんが。
フクさんによる入魂のメロディアス・ヴァイオリン奏法イントロとエレキダさんのエレキでのナチュラル・コードストロークがいい味を醸し出しています。
古き良き70年代へ一気にタイムスリップさせてもらいました。
フミオくんは、洋楽、J-POPから4畳半フォーク、果ては演歌までと何でもござれの器用シンガー。
そして歌詞の一言一言も丁寧に噛み締めて、こちらサイドに自然と伝えかけてもくれます。
「あと3曲となりました。ここでゲストを迎え入れたいと思います。ミスター・フカオ来なさい!」ワーイ、パチパチ!!
メンバー紹介も交えてみたいとおもいます」
この時、ベースのムッちゃんが、つい最近オープンしたばっかりの飲食店の宣伝もちゃっかりと盛り込んでみます。
札幌東区役所そばに位置する、格安にて美味しい音楽スポットカフェとして俄然注目されだしています。
「喉も渇いてきましたが、ちょっと外国のヴィーナス(ショッキング・ブルー)という曲をやります。聞いてください!」
ここにこんなにキツイ曲をもってくるなんて脱帽モノです。決してモーニング娘。の「ラブ・マシーン」ではありませんよ、一応注釈としてね(笑)。
突き抜けるハードな臨場感が半端ではありません。
前曲で一旦静かに着席して耳を澄ましていた観客も、途端に爆発して飛び跳ねている。その光景たるや爽快そのもの。
「こういうのもたまにやらないとねえ。歌謡曲しかやらねえのか・・と言われちゃうしね。
次はうちのバンドのテーマみたいな曲です。サジタリアス・アクエリアス(中島優貴)!」
この曲、私はアンクル・キャッツで知りました。注釈****作者の中島氏は札幌出身のキーボード・プレイヤー。
あの短命に終わった80年代ジャパニーズ伝説バンド「へヴィー・メタル・アーミー(なんというベタな名称でしょうか!後にイースタン・オービットに改名)」のリーダーとして名を馳せたテクニカル・ミュージシャン。
沖縄ロックの凄腕も3人在籍していて注目されていたのですが、中島氏はその後ソロとしても手腕を発揮しています。その頃の作品がこれなのですよ。
曲の後半部分でヒートアップするリズム・セクション。ムッちゃんがオーバーアクション気味にチョッパーをビシバシと決めまくってフルスロットル。
「次で最後の曲なんですが・・・・」「ええ!はじめて聞いたよ!」「愉快な方ですね(笑)」「前にタイバンやったでしょう!」「え!?あ、あ~ああ・・・というわけでですね、1曲目のデザイアーのB面・・・あ、B面ってわかります?わかる!?あ、若い人はわからない?・・・ラ・ボエーム(中森明菜)!」
水を再び一飲みしつつも歌うフミオくんは、ここでも悩ましげに余力を振り絞って熱唱。
バックのメンバー達もフカオくんを招きいれて、レッドゾーンの極限にまで到達する勢いで安定感あるサウンドを奏で続けています。
秀逸なる楽しい宴もここで終了。
フミオくん「ありがとうございました。またここでやりますからね!」
タイム・テーブルは若干押し気味ではあります・・・・。
6、20:50~21:20
乙!!帝國ゆるゆる団
トリ前は7人編成のアニメソング・バンド。
悩殺ボーカルのスバル嬢率いる通称「乙!帝」!
とにもかくにもこのバンドは、企画立案者のスバル嬢が描き出すロック・・ミュージカルを彷彿するかのごとき演出効果に、毎度毎度度肝を抜かれています。よって緻密に組み立てられたストーリー仕立ての内容ゆえに半年振りのライブ。
今回も思う存分凝りに凝りまくった乙!帝ワールドをたっぷりと堪能させていただきましたよ。
さて、今回のテーマは・・・「痛々しいアイドル」とのこと・・・・(前回はたしか百鬼夜行が基本コンセプトだったような気がします)
これは実際観た人にしか伝わらない、愉快痛快奇々怪々のライブでしょうね。
でも、頑張ってライブ・レポートさせていただきますよ(笑)
まずはいつものことながら、メンバーの名称が相変わらずふるっています。
スバル団長(VO),タタンタ大佐(VO),ワキシマ軍曹(G。変形ギターの最高峰BC,RICHワーロック&黒のフェルナンデスTLコンコルド・ヘッド。ローズ指板),マサキヨ大佐(B。5弦フェンダーUSA赤ローズ指板ディメンション・アメリカンDX。早くもミュージックマン・スティングレーは手放したとのこと!),マル機関長(DR),40高中でもコケティッシュな魅力を振り撒いてくれたミキ一等兵(KB。ローランドFA-06),STA代表のジュン伍長(AS)
ねっ、なかなかにユニークでしょう!
いきなりオープニングに「ドラゴン・ボール」のSEを使用して,続々と華々しくメンバー達が登場!
すっかりと板に付いた感ありのそのなりきりぶりは、そうとうのもの。いやはや大したものだ。何度観ても衣装やヘアスタイル、小物類から台詞回しy演技、振り付け、突っ込みとボケなどなどあらゆる所に対する真剣なる徹底した取り組み度合いはものすごく勉強になります。
その流れから「ロマンティックあげるよ」に突入。
キュートに現れたスバルちゃんはストライプメイド衣装!
またここでも新たなお姿を披露。これ実は3年前の乙!帝ライブで1度着たきりだったものを、今回のために特別着用してくれたという幻の衣装。
ありがたく拝ませていただきました。これが「痛々しいアイドル」というわけかあ・・・・シアワセ感じるけどね!
と、気持ち良さそうにお色気振り撒きつつ歌っていたスバルちゃんでしたが、いきなりバックの演奏が乱れはじめて不協和音やリズムがずれまくりノイズの嵐・・・あれれれ??うろたえまくるメンバー達。
あたりをキョロキョロ・・・
とそこへ低く唸りをあげつつ不気味な笑い声が地獄の底から響いて、あたり一面を覆い迫ってくる・・・
「ワハハハハ!(デーモン小暮風に想像をはりめぐらせてください!)どうだ、驚いたか!今からこの会場は我々悪魔が支配した!(キャーッ!なんということだ。誰か助けて~!)いいか、先ほどはロマンチックをあげるとか言っていたが、中段して申し訳なく思っている(意外にも礼儀正しい悪魔・・・笑)。魔界のロマンチック!しかしこのエルドラドは真の悪魔にしか辿りつけない都・・・・神々を呪いエルドラド(聖飢魔Ⅱ)を目指すのだ。早く行け!」
スバル嬢いわく、今回はいつもネタ振りに使う聖飢魔Ⅱをフルでぶちかましてみたそうです。
それは何故かというと・・・・戦いに赴いたいつもの傭兵カッツに代わり、急遽スペシャル・ゲストとしてへヴィー・メタルギタリストのワキシマ軍曹を招き入れたからなのだ。
だから当然と言えば当然、へヴィーメタル色が際立つ仕様になるという、ひじょうに贅沢かつゴージャスなショーが実現する運びとなりました。
タタンタくんも意気揚々とデーモン・メイクを施した姿でステージ狭しと縦横無尽にのし歩き、観客一人一人に狙いを定めて指を差す。
煌びやかに趣向を凝らした凄まじき贅を尽くした光景に皆が皆、言葉を失って固まっています。
「これは決して聖飢魔Ⅱバンドではない!アニソンバンドだ!これから乙!帝國ゆるゆる団をお見せしたいと思う。準備はいいか!?・・・・愛を取り戻せ(北斗の拳~クリスタル・キング)」
ここでお得意の男女によるツイン・ボーカル掛け合い炸裂。
スピード感溢れるかっとびチューンを華やかに、スバル&タタンタの御両人が豪華絢爛にバッチリとぶちかましてくれます。
インパクト絶大に派手なバッキングも冴え渡る。
ジュンのアルト・サックスも、味わい深くてさすがに上手い。
サビのパート「YOUR SHOCK!」では皆でジャンプ。回を重ねるごとにドンドンと人数が増えていって収拾がつかなくなってきたよん。
とにもかくにも各メンバー大活躍さ。
突然マルさんによるドラムロームが轟いて、ベースの重低音ダンサブルなリフが延々と繰り広げられる・・・・・・
あれ?このイントロは、もしや??
スバルちゃんがモンローウォークでセクシーにお尻や腰を悩ましげに振りつつ決めのターン・ポージングで演奏ブレイク。
「35億!(笑)」再度リフ開始後もういちど振り返って「35億人のヴィニーズ・バーにお集まりの皆さん!」とMC。
このブルゾンちえみネタはライブ前日にスバルちゃんが思い付いて導入したんだって。
よくもまあ違和感なく、ここまでまとめあげたものだ、拍手喝采。
「ペガサス幻想(聖闘士星矢~メイク・アップ)」
この曲のオリジナルはジャパニーズ・へヴィー・メタル全盛期にデビューした実力派バンド。
本当に今回の乙!帝は迫力あるサウンド目白押しでご機嫌さ。
ここでも「セイント・セイヤ!」の部分で、完全に頭のヒューズがスパークしてしまったオーディエンスが飛び跳ねていました。
それにしても男女の声質をフルに生かした歌唱配分が、憎いほどにベストマッチングしていてかっこいい。
「皆の者!気をつけ!敬礼!!(ビシッ!)休め。」「寝ている奴いるよ~!(爆笑)」「メンバー紹介を聞きたい?心して聞くように!」「おお!!」
各メンバーの個性的なるコスプレいじりも交えて紹介。特にワキシマ軍曹は待遇面で羨まれるくらいの扱い。
自信のメインバンド「メタル・スクリーム」告知も、マイクを手にしっかりとこなしてライブ本編に戻ります。
「いつもとは一味も二味も違うぞ(本番直前にダンサー参加のキムさん含め)。しっかりとのってもらわないとならない!」
最後に相応しく大作「乙の奇妙な冒険(ジョジョの奇妙な冒険メドレー)」のはじまり、はじまり~!
ここでもメタル系の音数多い組曲形式で応酬。
「ジョジョ~その血の運命~ジョジョ第1部(富永TOMMY弘明)」
「BLOODY STREAM~ジョジョ第2部(CODA)」
「STAND PROUD~ジョジョ第3部(橋本仁)」
短いスパンで乙!帝に協力してくれたワキシマ軍曹だとのことですが、微塵もそんなこと感じられないくらいの堂々たるプレイヤーに徹して溶け込んでいました。
確かなテクに裏打ちされた、ありえないくらいの壮絶悶絶パフォーマー。
それにインスパイアされたのか、スバルちゃんも客と絡みながら一緒にメロイック・サインのメッセージを送る。
値千金の演劇要素をふんだんに盛り込んだ音絵巻。観客巻き込み貫禄の弾きまくり、絶叫の歌いまくり、雷鳴のごとく叩きまくりにロングトーンで吹きまくりの暴れまくりだ!
「じゃあいつの日かまた会おう!!」
7、21:30~22:00
THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY(S・T・A)
さてと、いよいよオオトリの登場です。今回のライブを企画したマサ率いる結成13年を迎えたブラスロックバンドS・T・A(オリジナル・メンバーはマサのみですが・・・・)。
北国唯一シカゴを追求し続ける創造を生む最高の共同体です。
今回の内容にも力が入っていますよ。初期シカゴには外せない、ターニングポイントともとれる2曲を初披露。
そして7人編成で臨む予定だったところが、直前になってトランペッターのタツが9時以降会場入り決定!。嬉しい誤算に狂喜乱舞(特にクニ!(笑)。
いずれにしても苫小牧からギリギリ到着のエビちゃんもタツもスタジオ練習、会場リハーサルなしでぶっつけ本番。彼等が現れるたびにクニがスコアと音源で急ごしらえの打ち合わせ。それのみです、マジで。
クニ、本当にご苦労さん。
こいつらだからこそなせる離れ技。たいした連中ですよ、まったく。
ノブのギター・サウンドも、いつも以上に歪みを増していてご機嫌。
17:30~22:00をかるく超える長尺なライブイベントなのに、最初から最後まで、一切だれる事もなく常に山場の連続で、疲れ知らずでノリのよいオーディエンス達に支えられてただただ感謝の一言です。
正直な話、皆がこの時間まで帰らないで残ってくれているか多少の不安もありましたが、そんなことは取り越し苦労だったようですね。
会場内は最前列から後方に至るまでビッシリと埋まっています。大入り満員御礼。
カウンター席や入り口付近も含めてね。
オーナーのクボタくんはやはりS・T・Aのミキシング作業には、そうとう手を焼いたようですが(ただでさえ、管楽器は厄介なのにリハなしでしたからね)、そこはそれでドンドン曲が進行するにつれて臨場感溢れる抜けの良い音作りに手腕を発揮。
おかげさまで気持ちよくプレイに専念できました。
ステージ上のメンバー達はいつものようにまずは立ち位置を決めてから、チューニング、音作り、バランス調整、そしてマイク・チェックの仕上げ作業。
マサがメンバー全員のセットアップ完了を確認後、クボタくんへオーケーサインのやりとり。
アイコンタクト後、レッツゴー、ゴーゴー!!
***SET LIST***
1、INTRODUCTION・・・CHICAGO
2、SOUTH CALIFORNIA PURPLES・・・CHICAGO
3、MAKE ME SMILE(ぼくらに微笑みを)・・・CHICAGO
4、~SO MUCH TO SAY SO MUTH TO GIVE(言いたい事がたくさん)・・・CHICAGO
5、~ANXIETY MOMENT(不安の日々)・・・CHICAGO
6、SATURDAY IN THE PARK・・・CHICAGO
7、~GETAWAY・・・CHICAGO
8、GET IT ON(黒い炎)・・・CHASE
9、25OR6TO4(長い夜)・・・CHICAGO
***MEMBER***
MASA・・・B CHO VO
SEKKIE・・・DR
JUN・・・AS CHO
NOBU・・・G
KUNI・・・TP PER VO CHO
SHIN・・・KB CHO VO
TATSU・・・TP
EBI-CHAN・・・TB
===GUEST===SUBARU(GET IT ON)VO
マサからのサインを受け取って、ノブによるシャープなギター・カッティングが静寂を切り裂くようにスタート。
それまではごく控えめに司会進行役に徹していたマサが、ここからはスイッチを切り替えてロックミュージシャンに変身。メンバー達も先ほどまで客席内でリラックスしていた表情から、一変して凛々しき立ち居振る舞いで別人のよう。マサによる高らかなるナレーションが告げられます「大変長らくお待たせしました!大所帯による盛大なシカゴ・サウンドで締めくくりたいと思います!イエイ!!・・・・WE ARE BRASS ROCK BAND,THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY!!1・2・3~!!」
鉄壁の4管ホーンセクションはやっぱり桁違いな音圧・・・いやいや想像以上でしょうね!
ただ人数が多ければ良いというわけではない。
個々のプレイヤーの力量やアンサンブルが問われる場面、いわば腕の見せどころともいえる「イントロダクション」。
人数が多くてもおんぶに抱っこの者がいたら、かえって足を引っ張る厄介者以外の何者でもありませんからね。
舞台中央にズラッと並んで吹き鳴らされるバンドの真の花形的存在のメンバー達は、堂々たる貫禄も伴って阿吽の呼吸で容赦なく攻め込んできます。
フロントでプレイしている他のプレイヤーがそれを一番、肌(背中で!)で体感しています。ブワッと後方から吹き込んでくる風圧たるやこの上なき至上のエクスタシー。
それに感化されてマサもベースをオニギリ型ハード・ピックでビンビンと弾きながら、いつも以上に猛然と吠えまくる。
シンのアグレッシブなるオルガンの響き、クニによるカウベルもほど良い彩を添えてくれます。40高中で比類なきスティックワークを見せ付けてくれた絶好調なるセッキーですが、実はここでとんでない事故が勃発していたそうです。
一部のメンバーらにしか気がつかれなかったそうですが、5小節目ライド・シンバルのカップを叩いた瞬間にスティックが真っ二つに割れるというトラブルに(もちろんスペアのステイックに素早く持ち替えて難を逃れましたが)。
若きエースのトロンボーン・エビちゃんがソロの切り込み隊長。最近のエビちゃんには、したたかなる余裕も垣間見えてきて頼もしい限り。完璧に務め上げました。立派だ。クニが今度はウィンドウチャイムで叙情的ムードを醸し出し、次なるソロ・プレイヤーに橋渡し。
お次のタツは熟練の冴えとばかり微妙にヴィブラートのかかったファンファーレ・トランペットを吹き込みます。
乾いた嘶き音が、耳をつんざいてきてメンバーらもウットリ。
コロコロと変化する曲調の3番手は待ってました!とばかりに、ノブによるサイケデリック、かつエモーショナルなギターソロ。
もうここいらへんに到達したら、会場の空気はいただいたも同然。
でもエンディング最後の1音まで気を緩めるわけにはいきません。
アヴァンギャルドなリズムでうっかり油断なんかしていたら、ことごとく足元をすくわれますからね。
ベルトーンに入った時点でマサは、腰を落として右腕をグルグルと回転させてジャンプ一閃でバッチリ。
「ハイ!改めましてTHE SAPPORO TRANSIT AUTHORITYです!皆さん、楽しんでますかあ!!??(イエ~イ!!)
こんな感じでね、勇ましきホーンセクション・ロックで最後までぶっ通しで駆け巡ってみたいと思いますのでよろしく!
デビュー時のシカゴはあのジミ・ヘンドリクスにとても可愛がられていて、ツアーにも同行させてもらいました。ギターのテリー・キャスは俺よりも上手い!なんて言ってベタぼれ。
そんなエピソードから生まれたような、ブルージーな曲をここで一発演奏してみたいと思います。
もしもジミヘンが、シカゴ風ブラスロックを演奏したら?という気持ちでちょっと聞いてみてください・・・・サウス・カリフォルニ・パープルス!!」
新境地開拓ともとれる一打。
10年間、暖め続けてきたこの隠れた名曲が、ここではじめて披露されました。
クニとファニーによるブラスロック・スコアが完成したのをきっかけに、俄然ライブの現実味を帯びてきたのです。
ここにきてようやく日の目をみたという、思いのほか超難産だったブラスロック。
ノブによる過激なほどに、ファズのかかったギター・リフからの幕開け。
追随するベースも、ユニゾンで更なる重低音を演出。
オルガンのアタック・トーンも重戦車のごとき。
ドラム・フィルにのってここでは、シンが普段とは色合いの違う喉を聞かせる。
ライブ決定後に取り組み始めた頃はキーの高さに苦しんでいたようだけど、今では燻し銀の歌唱でバッチリです。
時間の関係でギター・ソロは半分にカットして、本家ジミヘンばりのフレーズを連発。
ノブにジミヘンが乗り移ったかのよう。
後半の歌詞にザ・ビートルズの「アイ・アム・ア・ウオルラス」の一節が挿入されているのに気づいた人は、最上級のオタクです(笑)。
この曲、種を明かせば自己満足のつもりであったのですが、意外にも受けがよかった。
マサの解説の段階から期待度がグッと高まったのが伝わってきて、本編に至ってはマニアたちが膝を叩いて絶賛していました。
わかる人にはわかるもんだ(アオキくんやテッちゃんを筆頭にね)。
大切にした1曲です。
かなりテンションの高い取り組みだったけど、とりあえずは細かいことは抜きにしてメンバー全員頑張って使命を成し遂げました。
「初期シカゴには壮大なる組曲がいっぱいありまして、その中では現在もツアーで必ず導入している7楽章からなる最高傑作バレー・フォー・ア・ガール・イン・ブキャナンがあります。
で、今回我々は前半の3楽章までを演奏してみたいと思います(作者はトロンボーン・プレイヤーのジミー・パンコウ。当時の恋人との愛の遍歴を歌った傑作中の傑作)。
かなりプログレッシブな進行ですよ!邦題:ぼくらにほほえみを、といえば思い出される方もいるでしょう・・・1・2・3・4!!」
開巻からド迫力の、これぞシカゴの真髄ともいえる最高峰。
イントロだけ取り上げてみても、入り組んだ難解なる構成で手に汗を握ることでしょう。
シンとマサによるボーカルのせめぎ合いと、それに絡み付いてくるあまりにも有名なホーンセクション・リフ。
ジャズ・フレイヴァーを散りばめた極上のロック・チューン。
フィナーレは光速フィンガリングによるギター・ソロ。
第2楽章は図太きミディアム・テンポ「言いたい事がたくさん」
実験的要素満載なチャレンジ・ソング。
恋人との出逢いから、想いが交錯して悩むストーリーを多分に含んだ展開が秀逸。
マサとバックコーラスとのコントラストがミュージカルの様相をも呈しています。
初ライブの第3楽章「不安の日々」
厳かなるピアノタッチに、ベースがメロディアスだけれどもごく控えめに奏でられます。
タツが正真正銘、一発勝負の哀愁含んだ音色でトランペット・ソロ(ニニ・ロッソ風)を。はたで聞いていてもビックリするほどに完璧再現。
心象表現の役割を果たしました。良い仕事しているなあ。
後半ドラムとバック陣によるユニゾンも、荒削りながらたいしたトラブルもなく難関突破でクリア。
ここでパアッと音世界が華やかに「サタディ・イン・ザ・パーク」。
シンコぺーションに特徴のある、誰からも愛されるシカゴ初の世界平和を訴えるミリオン。
シカゴ版「イマジン」です。
ステージも会場も、全員笑顔で手拍子の嵐。
マサのヴォーカルにシン&クニがコーラスでさらなる贅沢な味を施しています。クニはここでタンバリンも兼任。要所要所におけるクニのコーラス&パーカッションは絶対に欠くことのできない重要なるパート。
これがあるとないとでは雲泥の差。
万雷の拍手喝采。ピーピー!!
でもこれだけでは終わりませんよ。
ピアノの余韻そのままに、クラシカルな鍵盤の繊細なる旋律が指先から発せられる。
今までタツがトランペット・ソロを担当していたけれど、満を持してこの日初となる漢クニ入魂のソロが発せられました。
そこから俄然地鳴りをあげて、ジャストなタイミングでセッキーがコージー・パウエル直伝、伝家の宝刀フィルでドラムセットを破壊するほどに応戦。
ストレート・ロックンロール「ゲッッタウェイ」に雪崩れ込んで捲くし立てるS・T・A。
ブラス隊一体となりながら、リズムにあわせ体をくねらせて吹き鳴らすプレイ・スタイルは何度も見慣れていますが、やっぱり様になっていますね。
追い討ちをかけるようにマサ&クニ&ジュンの3人がロックンロール・シンガーよろしく迫真の叫び。
絶頂に達した瞬間の、不意をついたかのようなブレイクも立派に達成。
「はい、残すところ2曲です。うちのバンドは見てのとおり野郎集団です。じゃあ、ここいらでお色気が欲しいところでしょう(笑)。」「おお!めちゃくちゃに欲しい!!」「でしょう!タップリと満喫してください。乙!!帝國ゆるゆる団からキュートなゲスト、スバル嬢を迎えたいと思います。拍手!!」「スバル~~!!」(男たちの野太い歓声があちこちから沸きあがる)
彼女が現れた途端、場が花園のような煌びやかなる世界に一転。
ヒラヒラ衣装に真っ赤な薔薇一輪を手に、深くゆっくりお辞儀すると更に男性の観衆達がヒート・アップ「ウオーッ!」。
「ずっとシカゴの曲が続いていたので、ここいらで当時シカゴの強力なライバルとして人気を博していた、チェイスの代表的ナンバーをやりたいと思います。もう彼女のテーマ・ソングとなりつつある曲で黒い炎・・・・・1・2・3・4!1・2・3~!!!」
それまで静かに佇んでいたスバル嬢は、マサによるカウントからステージの全てを我が者顔で独占し、怪しくも魅力的な舞いを織り交ぜつつソウルフルにスクリーミング。
観客を魅了しています。
マサも真横で両膝ついてそれに対応。
ホーン・セクションも、ヒステリックなまでに仰け反りながら一体となって女王様と鬩ぎ合い。
シンによるジャジーなキーボード・ソロの合間を縫うように、ノブはワウペダルで自己主張をちゃっかりとこなしています。
マサはセッキーと不敵な笑みを交し合いながら、ピョンピョンとホップ・ステップ。
今年亡くなったチャック・ベリーに捧げるダック・ウォークも入れてきた。
乙!!帝國ゆるゆる団でも暴れまくったジュンはここでもホーン隊はもちろんの事、リズムにも常に神経を張り巡らせて司令塔の役割を担っています。
ヴァイタリテイに満ちたタフガイ。
「スバルにもう一度、盛大なる拍手をお願いします!ありがとう!!ラストです、極上のミッドナイトソングで締めくくってみたいと思います・・・・25Or6TO4!!!」
ガガガガガ~ン!イエー!!ノブのギターが火を噴いた!
いつの頃から定着したのか、バンド・メンバー達がギター・リフの隙間隙間に拳を突き出してパワー注入するシーン。
マサは中央モニターに大股開きで左足をのせ、ギリギリにまで身をせり出して吠えまくる。
かぶりつきの観客たちも、余力を振り絞ってエールを送り続けてくれます。
マサはキックをしたり、ベースのネックを上下左右に揺らしながらやりたい放題。
ブラス隊も休むことなく、それぞれにしたたかなるライブ作戦で挑んできます。
エンディングではマサがベースギターを天井ギリギリにまで持ち上げて、振り下ろしを合図。
ジュンが渾身のアルト・サックス・ブロー。ノブはフィードバック奏法。セッキーはシンバルの乱れ打ち。
ベースギターを肩から外して1回転させた後、片膝着いて前方の観客一人一人をベース・マシンガン風に見立てて狙い打ち!
皆もそれに即呼応してくれるからわかってらっしゃるねえ。
マサがベースを床に叩きつけるほどに振り下ろしてフィニッシュ。
「エンターティナーだあ!」と、どこかから溜息ともとれる呟きや感嘆の声が繰り返し繰り返し漏れ聞こえてきました。
完全燃焼、真っ白な灰となって燃え尽きました。
マサが恒例の全出演バンドを丁寧に紹介して暖かい拍手を贈ります。
スタッフ、オーディエンスにも惜しみない拍手を。
皆、満足してくれたかな?まあそれは顔をみれば一目でわかること。
BGMが流れ出し、照明が照らされ現実に引き戻されると、各自が握手、談笑、後片付け作業。
ほろ酔いかげんで上機嫌の人々の笑い声も賑やかに会場のあちこちから聞こえてきます。
やっぱりライブは一度体験しちゃったら病みつきになるよね。
心地よい疲労感に包まれての和やかなるひととき
またすぐにでも会いましょう。それまで皆さん、元気に精進しましょう(笑)
イッツ・オンリー・ロックンロール!バット・アイ・ライク・イット!!
VERY SPECIAL THANKS TO・・・HITOMI&NAOKO-RIN&FUKU-CHAN&MR,ABE&DEGUYAN&TOMMY&M,KUBOTA&SHINTAROH&MAYUMI-SAN&COCA-COLA&STING!!
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