年に何度か訪れたい場所がある。 私にとってそれは 飯田の上村。
知らない間に飯田市になっていた。
山中間のベラさんに見せたい風景があった。 今週雨で横川岳 南沢山が流れてしまったので どうしても山に行きたかった。(完全に山中毒)
「えーっ? そんな遠いところまでいけるのぉ?」とベラさんのはしゃいだ 声。
上村は うちから行くとなると 高速を使っても 153号線を使っても そう差が無いと言える微妙な位置。 行きは153号線を利用した。 飯田までは 通勤割引を使おうにも少しはみ出すし・・・
遠いと言えば遠い。 家から3時間半ほどかかってしまった。
それでも道中の 山の美しさに感動しっぱなしで 山登りには物足りなかったけれど こんな山行きもたまには良いんじゃないの?
飯田の町を横切って 南アルプス方面に向かって山道をひた走る。
矢筈のトンネルを出てからは ひたすら空に向かって登っていく感じ。 周りの山がどんどん低くなってくる頃 唐松の緑の美しさに思わず道路の真ん中でも 車を駐めてしまうくらい。(殆ど車とすれ違わない)
何時ても新しい感動がある上村だけれど どうしたことだろう? 本当に口では言い表せない美しさ。 唐松が紅葉することを知ったのも 何年か前のこの地でだった。
唐松は背高のっぽ すらりと天を目指して立っている。 その葉は 小さな針様も葉が沢山集まって花の様についているのだけれど 手が届かないので その感触を感じることはできない。
しらびそ峠から尾高山に登った時にそのチャンスがやってきた。いくらせいたかのっぽでも私が上に登れば 手が届く。
そっと そっと触ってみた。 なんて柔らかいの? 小さなはりの様な葉っぱは 見た目とは全然違って ふわっとして柔らかい。 優しい感触。なんて気持ちいいの?
この柔らかい緑が 山一面を覆っている。200メートル近くの高地にいながら その高さは周りのすばらしい景色に十分感じながら 心が安らぐ不思議な空間。
尾高山は不思議な山。 癒しの山とでも言うべきかしら?
登り口は唐松がいっぱいだったけれど だんだんに気の様子が変わってきて トウヒが目立つようになる。 トウヒはその種子が親の根っこに落ち無いと育たないと言われている難しい木で あちこちに立ち枯れの木が倒れているのだけれど その上に 雨の恵みを受けてか 苔がむして何とも言えない言い色になっている。
私の好きな大台ヶ原に少し似ている。大台ヶ原はトウヒが骨の様に立ち枯れていたけれど ここでは枯れて倒れても 苔の緑に輝いているようにさえ見える。
尾高山は展望そのものは特別に良いわけでは無いのだけれど 尾根の途中で見える南アルプスの姿につい立ち止まってしまう。
この日は昼から雨の予報。
お天気が良ければ 石を投げたら届くんじゃないかしら?と思えるほど近くに見える南アルプスも 山々から雲わき上がり 今までとは違う顔を見せてくれた。
暗くなると明かりの無い山道で車を谷底に落としても・・・と思い下栗の里に下りながらあちこち臨時停車しては 帰路につく。
そう言えば下栗の里を一望できるあのスポットは 地主さんの都合で 通行禁止になっていた。 下栗の里をあちこちで取り上げられるようになって 何かあったのだろうか?
もしそうだったら私たちは 里人の日々の暮しにずかずか入り込んで行くことの無いように気をつけて この地におじゃまするようにしなくてはいけないね。
今度は何時いけるかな? ハイランドしらびそで買ったエゴマのみそで今朝は筍の和え物を戴いた。うちへ帰ってもまだ上村の余韻が・・・