名神八日市インターと竜王インターの間に蒲生野とよばれる場所がある。 秋に太郎坊山に登ったときに眼下に見えた。
万葉の時代に額田王と大海人皇子が愛を語り合った場所。
あかねさす 紫野行き 標野行き
野森は見ずや 君が袖振る。 (額田王)
紫草の にほえる妹を 憎くあらば
人妻ゆえに われ 恋ひめやも (大海人皇子)
不倫の匂いぷんぷんするその歌を みんなの前で歌う妖しさと 強さを感じ どきどきした物だった。 その舞台がここ。
此の地に竜を名乗る山が二つある。 一つは別名雪の山と言われる竜王山 もう一つは反対側に対峙する鏡山と言われる 竜王山。 どちらも古くから雨乞い伝説の山で 龍神の山だった。 ずっとずっと歴史を見てきた山。
春に雪野山に行こうと思っていたけれど縁が無くて 残念。今回鏡山に行くことになって 嬉しかった。 雪野山はまた行けばいい。
鏡山で 卑弥呼の鏡が発見された とどこかで読んだような気がしたのだけれど 今どこを探しても その記述が見つからないので 違うかもしれない。 ただ鏡の里 鏡神社には 製陶技術を伝えた新羅の王「天日槍」が祀られ 鏡を此の地に納めたと言われている。 それが此の地を鏡の里と呼ぶようになった由来らしい。
さて 登り口は竜王インター降りて直ぐ 薬師(くずし)から登っていく。今日は鳴谷渓谷沿いに登って頂上に行き下りは反対側竜宮宮を経てあえんぼ広場経由で降りてくる。鏡の里は 古道 東山道 中山道とずっと主要な街道だったから 義経にゆかりの史跡もある。 降りたら少し史跡を回ることにする。
はじめから感想を言ってしまうと 竜王町が立派なパンフレットをつくって招致している割には放りっぱなしの山だった。 くずしの入り口は立派な門扉でシャットアウト。 間をすり抜けて入るのだけれど 知らない人は入れないよ。
ずっと続く砂地は 不思議な光景だったけれど もっと驚いたのは 廃棄物の山。 車があちこちに捨てられている。唖然としてしまった。 なんと言うことだろう? 万葉の時代から続く里の風景は 何ともやりきれない物に変わりそうだった。
およそ 山らしくない景色でしょ? ちょっとびっくりしました。 これを防ぐために 入り口に柵が 作られているに違いありません。
遠くの紅葉は綺麗なのに 空を見て歩くしかありません。
ま 天気は良かったし・・・
やがて 地道に入っていったときは本当にほっとした。
しかし まるで茅ヶ崎かどこかの海岸を歩いている景色は 地形的には どんなふうにできたのだろう? あまりに細かい砂地に どうも得心がいかない。
どこかで水音はする物の か細い。 右の方に確かに川が・・・と思ったら現れた。
渓谷と言うにはちょっと小さいし水量も少なかったけれど 綺麗な水が流れている。
あの砂地は どこからながれてくるんだろう? 水は澄んでいるし 川底にも砂は見えない。
渓谷の入り口当たりからだんだんに登りになっていく。 殆ど流れは見えない道を歩くけれど 時々かいま見て・・・・
そう長くない登りの後急に目の前が開けて 池が見える。
ここも砂地。 元々はおおきな池らしく 満水時の迂回路もできている。 水は美しいけれど 半分ぐらい干上がって 砂地がむき出しになっている。 この山は砂でできている?
湖を右に巻いていくと 希望ヶ丘からの道とも出会う。
更に進むと また樹林に入り経塚に至る。
と言っても何かあるわけでは無い。 立て看板の説明によると この丘陵地には 箱石千軒 牟禮千軒と言って沢山のお家があったらしい。確かな文献はないのだけれど 地名には牟禮とか 箱石とか残っている。なんだか わくわくする話だよね。
でも山を見ている限り どう考えてもここに二千軒もの家建っていたとは思えないんだけれど。ただこの先 聖徳太子がたてられたと言われる箱石山雲冠寺跡があるので なんだかわくわくしてくる。同じく聖徳太子が建立された法満寺と仲が悪くいつも喧嘩してお互いの寺を焼いていたと・・・そのたびにその灰を運んでいたのでこの辺りを経塚と呼び その時に金の茶釜も一緒に埋めたとか。。。。何処だ? 掘ってみますか?
石の広場を通り(ここは 荒れていて 何処が広場だかわからなかった)雲冠寺跡への分岐に出る。
更に山道を進むと 磨崖仏の案内がある。本来の道は左だったけれど 右に折れてみる。下る 下る 大下り あららぁ~
何処まで行くのやら?立っていられないくらい急な所へ来て諦めた。 私の膝でこの道を 無事に戻ってくる自信が無かったから。
先ほどの分岐まで戻って更に進むと鏡山頂上。 384.8メートル。三角点は無い。 更に左100メートルと書いてある。
山頂は展望が無いので 三角点を探して左へ降りてみる。
小さなアップダウンを三つほどして三角点。西の展望地と言うらしいのだけれど??? 見えない。 登山道を造ってからずいぶん時が経ったらしい。 南の山がほんの少し見えるだけ。
また戻って下山することにする。まだお昼には時間がある。
下山途中に展望地が 櫓を組んで登れるようにしてあるけれど??? ここも木々が成長してしまって・・・ 先を急いで階段を下りていくと竜王宮への分岐。 近そうだったので寄ってみる。 またしても石段を登って大岩の前に出る。 これが御神体らしい。 大きすぎてカメラに入らなくて何が何だかわからない。
今でも毎年7月10日には龍王宮祭が 行われて雨乞い踊りが奉納されるそうだ。
どんな踊りだろうね?生活と結びついたお宮だし 竜王の町を守っている山なんだね。
さてここから大下り。
反対側は割合のんびりした山歩きだったのに 何だろう?これは。
こんめ岩を右に巻いて降りていくと更に 大下り。 おいおい 大丈夫か?私の足。
こんめ岩 横をすり抜けられそうだけれど 正規のルートを
こんなところ 岩好きはきっとよじ上ってみるんだろうな?
危ないよって書いてあったけれど。
何処まで続くこの下り道。 あえんぼ広場に出る。あえんぼ 地元の方言でコバノミツバツツジのことらしい。両側に躑躅の木がいっぱい。 花の頃も紅葉の頃もさぞかし美しい事でしょう。
あえんぼ広場からはらはらどきどきしながら降りてくると 道は林道になり 急にお散歩気分になる。
あちこちに古墳があるらしかったけれど 一つも見られなかった。
木の葉の絨毯を踏みながら 山を感じながら 史跡を感じながら歩くのは嬉しい。 今では何も残っていないけれど竜王山へ 雨乞いの為に 幟旗を持ち 鐘や太鼓を鳴らしながら竜王山へ登山した人々が休憩した場所もあった。
左に紅葉の山を移した池を見ながら フェンスでぶつかった所を左に曲がると 積水の工場。
ここを越えると道路に出る。
ここからは更に左に行き 鏡の里 の歴史散策をすることにする
期待しただけに がっかりするところも多かった山だったけれど 小さな自治体でこの山を維持するのは難しいのかな? はじめの印象は 登るにつれて薄れ 山の中では歴史とマイナスイオンをいっぱい感じて 楽しんで歩けた。 お昼前に下山してしまった ちょっと歩き足りなかったかな?