引佐峠で姫街道を横切ると いよいよ本格的な山歩きが始まる。
長い尾根歩きは 時々平坦な尾根道に変わり ホッと一息できるのだけれど アップダウンがきつい。見た目はなだらかな傾斜だから困る。
昔隣の富幕山を登ったときもそうだった。なだらかで長い道は意外ときついのだ。
時々振り返ると あら?
木立の間に 浜名湖が光っている。
浜名湖のどの辺りが見えているのか この辺りの地形に詳しくないので分からない。
肌寒い出だしだったけれど だんだんに汗ばんでくる。
道標を見ると 尉ケ峰2.5キロとある。 まだ一時間は掛かるな。 きつい山ではないけれどちょっと変化が欲しくなった。
所々には真新しいベンチもおかれていかにも自然歩道。
突然現れる三角点。 地図を見ると288メートルのピーク辺りだろうか? 名前も何もない 三角点。
緑の美しい登山道に心休め 深呼吸をしてみる。
やがて右 左を色分けしたような登山道を歩くようになり それがいつしかまた階段になる。
ずいぶん降りたな。 次の道標は 尉ケ峰0.7キロまでになっていて 行く手には 立派なトイレが立っている。
あらら あろう事か駐車場まで
奥浜名湖スカイラインが伸びていて ここまで車で来られるんだね?
まぁ
道路を横切り 鉄の階段を上ると 露岩が現れ始め いよいよ獅子落としの急坂
今日のコースのハイライトだ。巻き道もあるけど ここは挑戦しないとね
江戸時代 気賀の猟師がやってきたらイノシシとてもあわててこの坂を転げ落ちたと言う伝説を持つ急坂。ロープが張ってあるけれど なくてもいけないことはない。ただ 長い とても長い。だから少し緊張する。
おかしいことに道標には 尉ケ峰あたりと書かれている。
左に行くと 例のイノシシの親子の像があるけれど 頂上を示すものは何もない。
ここでおむすびを食べて休憩。
さてここで出会ったおじさん 話し好きらしく 来る人来る人を捕まえては自分の山の話をする。何でも 愛知県の葦毛湿原から湖西連邦を通って富士見岩 雨生山 富幕山を経てこの山を通り気賀まで行くのだと・・・・
手足は傷だらけで 小指は鉄骨が入っていて縫い目が 膝にも大きな鉄骨が入っているらしい。
驚いて話を聞いていると「この辺では60キロぐらい歩くの当たり前だよ。」と得意げ。私葦毛湿原から石巻山まででも7-8時間掛かった。 ウソとは思わないけれど 参考にはならないね
と思って先を急がせてもらう。
と しばらくしてどっ どっ どっ 地響きが後ろからしてくる。 うわっ なんだ?
その音は先ほどのおじさんが 山頂から駆け下りてくる音だった。 ひえ~~っ あれじゃぁ 転んだらふつうのケガでは済まないわ。 あのおじさんはイノシシの生まれ変わりに違いない。私は私 ゆっくり山を楽しもう と思ったのでした。