幼稚園に上がる年に岐阜へ引っ越してきてから 長良川と 金華山は 自分の心の原風景として 深く刻まれている。 小学校 中学校 高校と校歌にも歌われ 私は毎日金華山を眺めて暮らしてきた。
今でも岐阜に近づくとまず 金華山を探し安心する。
そんな山だけれど 今まで何度登っただろう? 多分3回
ロープウェーでは行ったことあるかもしれないけれど 子どもの頃家族で行って帰りを登山道で降りてきた。 まだ 幼い弟が危なっかしくて 道もきっと今ほど整備されていなくて山の斜面を転げ落ちるような感じだったので 母はおぶい紐を 弟の腰に結んで犬のように引っ張っていた。
その次は高校生の時 仲良しの仲間と やはり帰りだけを降りた そのときは今で言う瞑想の小径だった。 長良川がきらきら光って綺麗だった。 美しい長良川は 誇りだった。
次は大学生の時 中学の時に同級生だった男の子と大学生になってからつきあい始め あのときはしたから登っていった。 どこから登ったのかまったく覚えていない。 何度も手を差し出してもらい とても恥ずかしかったのを覚えている。
そんなことを考えていたら 登りたくなった。膝を悪くして 一人でゆっくり歩こうと決めて初めての山旅。 金華山がふさわしいなと思えてきた。
今日は馬の背コースから登って お城まで お城まで行って 帰りは 昔も使ったことがある 瞑想の森コースにしようと思った。 同じ場所に戻ってくるので 面倒でないのも良い。
登山口を探すのに少しうろうろしたけれど ロープウェーの駅の裏手にあった。 信長の居城跡と言われているところからである。 階段を上って 北の方にトラバース。
まだ静かな緑が続く。 馬の背を瞑想の森への道は途中まで一緒なので 見落とさないか心配していたけれど やがて 少し開けた所に出た。 井奈波神社のあったところだとある。 私の知っている井奈波神社は もっと南にあって とても立派な神社だった。 お正月に何度もお詣りをしている。 へ~っ 昔はこんな所にあったんだ。そしてとても古い由緒ある神社だったんだ
ここが分岐 少し斜めに登っていくと 馬の背
すこし 下る感じですすむと瞑想の小径
馬の背への道が解らなくてうろうろしていたら 瞑想の道からおじさんが一人 馬の背への道を尋ねて行こうとしていたら どういう訳かじっと見ていて目を離さない
知っている人なんだろうか? それとも 一人で馬の背なんかに行って大丈夫か?と言いたかったのかしら? 馬の背の看板には 年寄りや子どもには絶対無理な危険な道です。とあるもの
そのときは この道の事をあんまり深く考えなかった。 今までいろんなところで馬の背と言われると事を通ってきたけれど 慎重に行けば 危険を感じるような事は無かったから
確かに馬の背だった 両側が切れていることもだけれど ずっとずっと岩の上を歩いていくことになる。 後で聞いてみるとこの山は 昔一石山と言われていたらしく 山全体が」ひとつの岩でできているらしい。 そして柱状節理の様な岩の波が延々と続いているので 歩くのにそうは困らなかった。 靴をおくところがたくさんあるので よいしょよいしょと歩いていける。
おや? お馬さん 立ち上がっちゃったぞ。 その斜面がだんだんに急になる。 健脚なら20分くらいで頂上に着くらしいので ゆっくり行けばいい。
久しぶりの山登りだけれど つらくは無かった。 そのうちに とても不安になってしまった場所があった。 きつい斜面は 良く見ると巻き道ができているようだけれど その道が何処に繋がっているか解らないので 岩の上を行くしかない。
知らぬ間に 虎ロープの外に出ていた。 あ 町が見える とロープをまたいで岩の上に乗ったところで 向こうから人が降りてきた。 つまり 私の方が間違えていたのだ。
何処で間違ったのかよく分からない。 平行していたので直ぐ軌道修正できたけれど・・・
うーん これは気をつけないと 思いがけない方に行ってしまうかもしれないぞ
そんな時 大きな岩の斜面に来た。 右と左に別れていたので 左に挑戦。 足場が凸凹しているから 引っかけやすいと思ったからだ。 所がである。 下から見たよりは 高さがあるらしく 足を引っかけても登り切る自信が無かった。 かといって手をかける場所も見つからない。
「あそこに手をかけて思い切って登ってみようか? とにかくすすまないことには・・・」
「いや待てよ もし手が滑ったら間違いなく かなりしたまで転げ落ちる。 それば避けなくては・・・」
落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせて 直ぐそのしたに降りることにした。 手をかけるところが無いので降りるのも一苦労 慎重に足場を探す。
やっとの事で 何とか立てるところを探して ストックをしまう。 手袋はあまり好きでは無いのだけれど 身につける。 しばし登り方を考える。
右に行くことにした 細いけれど 木の根が少しある。 こちらの方が頼りになる気がする。
小刻みに足を進め 根っこに助けられて 登った。 岩場を攻略できなかったのが 少し残念だったけれど 一人だから よけい事故を起こすわけにはいかない。
登り切って振り返ってみる。 これって ちょっとしたキレットでは無い? 鎖もロープも無い岩場。 考えて登る事はそれなりに楽しいけれど 少し不安になってしまったひとときでした。 そう言えば 誰にも会わないなぁ
だいたい 岩場は 足跡が付かないので 自分の道が正しいのかどうか良く解らない。
だんだん頂上の気配がしてきたし 金華山はとにかく一番上に出れば何とかなるだろう と思っていたら 若いカップルが降りてきた。 良かったこの道であっているらしい。
更にお年を召したカップルがひょいひょいと軽そうに降りていらして やがて お城のしたに出る階段が現れる。 ふー 思ったより手応えがあったな。
頂上でしばし遊んで 帰りは瞑想の小径へ
この道 家族向けコースとなっているけれど やっぱり 岩のむき出し斜面があり 慎重に降りないと危ない。 下りは膝が痛む。 後からくる人に譲りながら のんびり歩く。
下からは とっくにお昼を過ぎたのに 沢山の家族連れが登ってくる。 汗をかきながら 一所懸命登ってくる 子どもが可愛い。
金華山 私の家からは ちょっと遠い。 電車にしろ 車にしろ 結構アクセスに費用がかかる それでも 時々行っても良いなと思える山だった。 私の心にふるさとの象徴として刻まれている山だから 時々行きたいな。