湖西連峰を縦走しているときに 通過点だけれど 大好きで楽しみにしている場所がある。石巻から観光道路を45分歩いて登り詰めた場所 大知波峠だ。
突然目の前に拡がる景色はいつも感動的。
ここは奈良時代にお寺があった場所らしい。始めてきたのは3年前だったろうか?まだ発掘調査をやっていた。おおきなすり鉢状の斜面に基礎の石や遺構がいっぱい拡がっている。
ここからの眺望は眼下に浜名湖 遠くに太平洋 浜名湖市街地 時には富士山を見ることが出来る。 これだけでも十分素敵な場所なんだけれど今回は静岡県側 知波田の方から歩いてみたかった。
標高340メートルもある所に建っている大伽藍を当時の人々はどんな思いで見ていたのか?どんな思いでお参りしていたのか?そして こんなに立派なお寺がなぜ廃寺になってしまったのか?
文献が全く残っていないと言うことで私なりにかんじて見たかった。
豊川道 こんな名前の道が廃寺の横を通っている。入り口はおちば親水公園のあるところ。入り口の目印は大杉。 この知波田の人々が 愛知県の豊川稲荷まで詣でるための道。 ここから姫街道に下り 西に向かうと最短距離で豊川稲荷に行ける。
豊川稲荷詣で・・・商売の神様だと思っているので私はあまりお参りしたこと無いけれど そう言えば私の祖父も遠く飛騨の地から 毎年正月になるとお参りに来ていた。
地元の人々に取ってはお伊勢参りに匹敵する大事な神社なんだね。 ここはまだ峠を越せば行けるだけ良いのかしら?
豊川道は殆ど直登に近い急斜面が続くけれど 緩やかになった頃には炭焼き窯があったり わき水があったり・・・麓には棚田の後と思われる石組がだんだんに積まれている。
今は雑木林になってしまって これはこれで私たちの癒しの道になっているけれど 昔はもう少し上の方まで開けていたのかも知れない。 人々の生活は もう少し山の中にも分け入っていたのだろうか?
廃寺の後は 3ヘクタールもあるとか 九つの堂宇 大伽藍が立ち並び 池もあり 築山もあり 水屋もある。 そしてその様子が 良い状態で残っているから どんな大きさだったか容易に想像できる。
豊川道の入り口からは 全景は見えないけれど 知波田からは山の上に燦然と輝く立派なお寺が見えていたはず。
すり鉢状の真ん中に立って あったであろう堂宇を想像すると ここが一つの小宇宙の様に見える。 堂宇に背を向けてすり鉢の底にある浜名湖方面をながめると 美しく輝く里を感じることが出来る。
なぜ滅びたのか? いつ滅びたのか?すべて闇の中だけれど 私にとって大好きな場所には変わりない。