世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

投資家

2010年08月27日 | 社会
「山田と申します」


ありふれた名前を使うものだ。

想像していたより、声は若い。



「このたびはお世話になります」

と一応の挨拶を述べるとすかさず本題へ突入する。


「私は5つほど会社を経営してるんですが、

どうも小数点がきらいでして、3,5なんてやめて、4倍にしましょう」


なるほど結構な話だ。

それに本人(?)だけに話も早い。


「それはありがたいお言葉ですね」

ボクもいったん持ち上げておいて


「つい先ほど、充てていた資金で全部ドルを買っちゃいましてね。

社債を買いたくても、生憎今自由に動かせる資金が手元にないんですよ。


「すぐ、4倍で買い戻すんですよ」


「分かってます。どうでしょう、山田さん」



一呼吸して、こちらから提案を持ちかけた。


「私の口座に今すぐ200万振り込みませんか。

そしたら、すぐに社債を買いますから、あとは差額の600で済みますよ」



われながら、Good Ideaだ。

サア、どう出る山田さん。


返答を待つ。



「実は、以前にもそう言われて持ち逃げされたことがありましてね。


今、3件の訴訟を抱えてまして8000万損をしたんですよ。

それぞれ顧問弁護士を立てて対処させてるところなんですけどね」


「私が持ち逃げすると?」


「分かりませんが、

私にしてみりゃ、どうってことない金額ですけど、騙されるのは嫌ですからね」



「それはお互いさまですよ」


軽く受け流してボクは続けた。



「実は、娘がニューヨークに留学してまして、部屋を探してたんですよ。


そしたらちょうど、トランプタワーの一室に空きが出ましてね。

ご存知ですよね、5番街のトランプタワー。


スピルバーグが最上階のペントハウスに住んでるんですけど、

ちょうどその下の階の部屋が空いたそうなんです。


スリーベッドルーム、ツーバスルーム、30畳ほどのリビングルームとあまり広くないんですけど、


300万ドル(90円換算で2億7千万円)と格安で、

今日84円でドルを買いましたから、おかげで1800万円ほどは浮きました。


イヤー、娘のためとはいえ、ちょっと無理しましたよ。

こういうのを親バカってゆうんでしょうねー、ワハッハー」



  間





「こうしませんか?」


マニュアルを見たのだろう、

山田氏は気を取り直して再び口を開いた。


「今、半額の100万円を振り込みます。

あとの半分を何とか都合付けて200万で社債を買っていただけませんか?」



なるほど、そうきたか。


差額の100万円を稼ごうという算段に出たらしい。



「じゃあ、その100万円で社債を買いましょう」


「それは困りますね。あくまでも半分です」




投資家(?)らしからぬミミッチイ話だ。


「じゃあ、とにかく100万円私の口座に振り込んでください」


どうせ口先だけだと思いながらも勝負に出た。



「チョッと、今秘書から連絡がはいってるんで、ちょっと待ってください」


そう言うと、「また明日電話します」、という言葉を残して電話は切れた。



相手は明らかに逃げ腰だ。

8月26日(木)のつぶやき

2010年08月27日 | 
11:09 from web
それもアリ、これもアリ、こっちもアリ、あっちもアリ、あなたもアリ、自分もアリ、あってもアリ、なくてもアリ、どれもアリ、なんでもアリ。これがホントの『アリがトウ(十)』。すべてに感謝です。
by asaykaji on Twitter