櫻井 智志
アメリカが中国の付近の海に進入したことは、米中の対立の極致として懸念されている。
基本的には核大国の両国が戦争に至れば、壊滅的な破壊に至ることを踏まえており、米中全面戦争にはならないと見なされてきた。
しかし、前線の不意の衝突がもとで全面戦争の引き金となることも同時に懸念されてきた。
日本の平和運動は米中戦争を阻止しなかったと、米中対立のきっかけとして日本の平和運動のありかたを論難する河内謙策氏の見解は、私は的外れと考える。むしろ日本の安保法制戦争法案の阻止に世界平和の火だねをつくっている安倍政権をいささかも論じず、中国を攻撃する右翼排外主義の旗振りをしているとしか思えない左翼の変質転向が、国内の軍国主義化のルーツづくりとして、私は河内氏を懸念する。
ところで河内氏らが日本の左翼と目す日本共産党はどのような見解をもっているか、きょうのしんぶん赤旗の記名記事を以下に転載させていただく。
====引用開始====
米軍、南シナ海に艦船派遣
中国の人工島 12カイリ以内に
【ワシントン=島田峰隆、北京=小林拓也】ロイター通信などによると、米国防当局者は26日、米海軍が南シナ海・南沙(英語名・スプラトリー)諸島の中国の人工島から12カイリ(約22キロ)以内にイージス駆逐艦ラッセン(米海軍横須賀基地所属)を派遣したと明らかにしました。作戦は現地時間27日午前(日本時間同)に行われました。
同艦は、中国が滑走路建設などを進めるスービ(中国名・渚碧)礁から12カイリ以内に進入。中国側は同礁とミスチーフ(同・美済)礁などに造成した人工島から12カイリ以内を「領海・領空」と主張しています。
オバマ米政権は、人工島の造成が国際法上、領有権主張の根拠とならないと指摘。「航行の自由」を訴え、12カイリ以内に艦船や航空機を進入させることもありうると表明していました。
中国外務省の陸慷報道局長は27日、「中国の主権と安全保障の利益を脅かし、地域の平和と安定を損なう」とし、「強烈な不満と断固たる反対を表明する」とのコメントを発表しました。
解説
すべての関係国は平和解決に努力を
南シナ海の領有権問題で最も重要なことは、軍事対軍事の対応を避け、外交交渉による平和的解決に徹することです。これは中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が2002年の南シナ海行動宣言(DOC)で誓約し、米国も支持しています。
今回の事態のきっかけとなった中国の人工島建設は、一方的に現状を変更し、事態を複雑化させる行為です。国際法によれば、水中に没する岩礁を埋め立てて人工島を建設しても、領海を主張できません。
すべての関係国が国際法とDOCの精神にのっとり、一方的な行動を自制し、問題を平和的手段で解決する努力が求められます。
(面川誠)
====引用終了=====
中国の拡張主義を制御すると同時に、問題を平和的手段で解決することを粘り強く追求することが、大切な解決策のひとつであろう。
同時にアジアをはじめ国際社会に懸念をいだかせる日本の安倍政権の軍事態勢つくりに、日本国民が阻止することこそ国民的課題である。
安保法制阻止には目もくれず、南シナ海だけに限定して 、左翼や平和運動を罵倒し続ける「弁護士」は同じ職業で専制政治をもちこみ混乱をきたしている橋下徹氏の職業でもあった。弁護士には海渡雄一氏のような立派な実践家もいる。宇都宮けんじ都知事候補も弁護士であり日弁連の会長でもあった。
中国とアメリカの対立に余計混乱をもちこむような軽薄さでなく、沖縄県の民主主義を破壊してどこまで非常識な国家権力で踏み潰している安倍政権と安保法制廃止とをいささかも無視している河内氏のような存在は、日本国内の平和と戦争阻止の運動を側面から破壊に手をかす「知識」人と私は危惧する。