【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

米中紛争と日本国民の立場

2015-10-28 13:47:58 | 言論と政治

           櫻井 智志


アメリカが中国の付近の海に進入したことは、米中の対立の極致として懸念されている。
基本的には核大国の両国が戦争に至れば、壊滅的な破壊に至ることを踏まえており、米中全面戦争にはならないと見なされてきた。
しかし、前線の不意の衝突がもとで全面戦争の引き金となることも同時に懸念されてきた。

日本の平和運動は米中戦争を阻止しなかったと、米中対立のきっかけとして日本の平和運動のありかたを論難する河内謙策氏の見解は、私は的外れと考える。むしろ日本の安保法制戦争法案の阻止に世界平和の火だねをつくっている安倍政権をいささかも論じず、中国を攻撃する右翼排外主義の旗振りをしているとしか思えない左翼の変質転向が、国内の軍国主義化のルーツづくりとして、私は河内氏を懸念する。

ところで河内氏らが日本の左翼と目す日本共産党はどのような見解をもっているか、きょうのしんぶん赤旗の記名記事を以下に転載させていただく。

====引用開始====

米軍、南シナ海に艦船派遣

中国の人工島 12カイリ以内に



 【ワシントン=島田峰隆、北京=小林拓也】ロイター通信などによると、米国防当局者は26日、米海軍が南シナ海・南沙(英語名・スプラトリー)諸島の中国の人工島から12カイリ(約22キロ)以内にイージス駆逐艦ラッセン(米海軍横須賀基地所属)を派遣したと明らかにしました。作戦は現地時間27日午前(日本時間同)に行われました。

 同艦は、中国が滑走路建設などを進めるスービ(中国名・渚碧)礁から12カイリ以内に進入。中国側は同礁とミスチーフ(同・美済)礁などに造成した人工島から12カイリ以内を「領海・領空」と主張しています。

 オバマ米政権は、人工島の造成が国際法上、領有権主張の根拠とならないと指摘。「航行の自由」を訴え、12カイリ以内に艦船や航空機を進入させることもありうると表明していました。

 中国外務省の陸慷報道局長は27日、「中国の主権と安全保障の利益を脅かし、地域の平和と安定を損なう」とし、「強烈な不満と断固たる反対を表明する」とのコメントを発表しました。

解説

すべての関係国は平和解決に努力を

 南シナ海の領有権問題で最も重要なことは、軍事対軍事の対応を避け、外交交渉による平和的解決に徹することです。これは中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が2002年の南シナ海行動宣言(DOC)で誓約し、米国も支持しています。

 今回の事態のきっかけとなった中国の人工島建設は、一方的に現状を変更し、事態を複雑化させる行為です。国際法によれば、水中に没する岩礁を埋め立てて人工島を建設しても、領海を主張できません。

 すべての関係国が国際法とDOCの精神にのっとり、一方的な行動を自制し、問題を平和的手段で解決する努力が求められます。

 (面川誠)

====引用終了=====

中国の拡張主義を制御すると同時に、問題を平和的手段で解決することを粘り強く追求することが、大切な解決策のひとつであろう。
 同時にアジアをはじめ国際社会に懸念をいだかせる日本の安倍政権の軍事態勢つくりに、日本国民が阻止することこそ国民的課題である。
 安保法制阻止には目もくれず、南シナ海だけに限定して 、左翼や平和運動を罵倒し続ける「弁護士」は同じ職業で専制政治をもちこみ混乱をきたしている橋下徹氏の職業でもあった。弁護士には海渡雄一氏のような立派な実践家もいる。宇都宮けんじ都知事候補も弁護士であり日弁連の会長でもあった。

中国とアメリカの対立に余計混乱をもちこむような軽薄さでなく、沖縄県の民主主義を破壊してどこまで非常識な国家権力で踏み潰している安倍政権と安保法制廃止とをいささかも無視している河内氏のような存在は、日本国内の平和と戦争阻止の運動を側面から破壊に手をかす「知識」人と私は危惧する。

人生の恩師のひとり小宮山量平先生

2015-10-28 12:24:15 | 社会・政治思想・歴史

           櫻井 智志



 生前の小宮山量平さんに私淑していた。
自らが編集なさった理論社刊「99との人生との出会い」全三巻に掲載していただいて以来、その時私は20代であった。
理論社を創業した小宮山さんは、出版者、編集者であるとともに作家、思想家でもある。『編集者とは何か-危機の時代の創造-』(日本エディタースクール出版部)の啓蒙など出版界の大御所でもあった。
灰谷健次郎、今江祥智など創作児童文学者を世に送り出した。自らも晩年に手がけた大河小説『千曲川』は路傍の石文学賞を受賞した。
週刊上田新聞社から出した『昭和時代落穂拾い』全三巻は、「回帰」「漸進」「寛容」について思想的啓蒙を果たした。
 小宮山さんがお亡くなりになられてから、長女の荒井きぬ枝さんが小宮山さんの偉業を継いで、創意ある試みにとり組んでいらっしゃる。
 この講座「私の大学」も、私は初回のゲスト早乙女勝元さんの時に日帰りで上田に出かけた。その後も毎回ご案内をいただいている。私は自らは今回行かないが、申し込み初日のきょう、関心のあるかたに、と思いここに転載させていただいた。



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INFORMATION

小宮山量平の「私の大学」-講座その5-

講師/はらだ たけひでさん(絵本作家)
1975年岩波ホール入社。企画・広報のかたわら創作絵本を発表。
代表作「フランチェスコ」ユニセフ国際絵本画家最優勝賞)
「パシュラル先生」「大きな木の家-わたしのニコ・ピロスマニ」など
《ひとも動物も大地にはぐくまれて》
―グルジアの画家ピロスマニ―
放浪の画家ピロスマニを愛し、グルジアを愛した小宮山量平さんに
思いをはせながら・・・・・
ゲスト/小宮山 俊平さん
《父と訪ねた「友愛の国」グルジア(現ジョージア)》
日時/11月14日(土)pm3:00~pm5:00
場所/エディターズミュージアム(長野県上田駅前 若菜館ビル3F)
*JR上田駅は東京からの新幹線停車駅
参加費/1200円(高校生以下500円)
定員/100名 定員になり次第締め切らせていただきます。

■お問い合わせ・お申し込み
エディターズ・ミュージアム  TEL 0268-25-0826

■受付開始 10月28日(水)
 受付時間/AM11:00~15:00 火曜休館





岩波ホール 03-3262-5252
放浪の画家 ピロスマニ
11月21日(土)より12月28日(金)まで
特別ロードショー
Editor’s Museum
小宮山量平の編集室

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明快に安倍政権の沖縄県民への圧政を批判する孫崎享氏の告発を転載

2015-10-28 12:21:38 | 転載
櫻井 智志





【孫崎享のつぶやき】
『暴挙。安倍政権、醜悪さの極致、辺野古問題。選挙結果を踏まえた沖縄県の意志は無視する。賛成者に金をばらまく。そして米国に隷属する。』
2015-10-28 06:156



10月1.13日、翁長知事は普天間基地の辺野古移転承認を取り消した。翁長知事は知事選挙で辺野古移転反対を掲げ当選した。その結果を踏まえて、前知事の辺野古移転の承認を取り消した。これは選挙結果を踏まえた政治的決断である。

 この決定を否定することは、民主主義と言うものを根本から否定するものである。

私はこの決定を支持することをこのブログにおいて下記理由で指示した。

1.対象は海兵隊である。海兵隊の任務は奇襲で、特定地域の防御ではない。したがって基地は沖縄に置かなければならない問題ではない。

米国本土や、ハワイ、グアム島を含め世界のどこでもよい。

2.中国の大陸間弾道弾とクルーズミサイルの数量、性能のアップにより、米軍基地は極めて中国の攻撃に極めて脆弱になった。特に沖縄はそうである。したがって、海兵隊の日本防衛への貢献はさらに低まった。

3.辺野古移転による利益は基本的に海兵隊と言う極めて狭義の利益である。それが米国国防省の主張、ホワイトハウスの主張になっているが、米国全体の利益にどこまで供しているかとなると、大きくない。

4.上記の事実が辺野古移転を取りやめたとしても、日米関係をおかしくする筋合いのものではない。

こうした中、政府は次の行動をとった。

「米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり、石井国土交通相は26日、前沖縄県知事による同県名護市辺野古の埋め立て承認を取り消した同県の翁長知事による処分の効力を、いったん止める方針を固めた。石井氏は防衛省が行政不服審査法に基づく不服審査請求と同時に行った執行停止の申し立てを、27日に承認する。…

政府は27日午前の閣議で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に関し、翁長雄志知事による辺野古の埋め立て承認取り消しは違法だとして、地方自治法に基づき、国が知事に代わって埋め立てを承認する「代執行」の手続きに着手することを了解した。(時事通信)

他方次の行動を行った。

「安倍政権は26日、米軍普天間飛行場の移設先とする同県名護市辺野古周辺の3地区の代表者を首相官邸に招き、今年度中に振興費を直接支出することを伝えた。移設計画に反対する沖縄県と名護市の頭越しに地元と直接交渉し、移設に向けた「同意」を浮き立たせる狙いがある。

この日、官邸では菅義偉官房長官ら政権幹部と、名護市辺野古、豊原、久志の「久辺3区」の代表者による懇談会が開かれた。地元からは辺野古の嘉陽宗克(、豊原の宮城行雄、久志の宮里武継)各区長が出席。菅氏は各区長に「3区の補助事業の実施にできるだけ協力する。具体化を図っていきたい」と伝えた。(朝日)

選挙結果を踏まえ行動する沖縄知事の行動を徹底無視。

そして安倍氏に従うとみられる人々への金のばらまき。もう安倍政権の醜悪さの極致である。

本件に関する28日付沖縄タイムス社説[代執行と効力停止]不信招くあざとい手法」

・安倍政権が「敵・味方の論理」と「勝ち負けの発想」に凝り固まり、「知事権限を無力化した」と得意がっているとすれば、それこそ政治の堕落である。

・県民の中に渦巻く政権不信と、強権的手法に対する激しい反発。今やピークに達している。危険な状況だ。

・政府は26日、名護市辺野古の新基地建設予定地に近い久辺3区(辺野古・豊原・久志)の代表を首相官邸に招き、2015年度から県や名護市を通さず直接、振興費を3区に支出する考えを伝えた。

 県に対してはあらゆる手を使って権限を封じ込め、基地受け入れを表明した3区に対しては財政の支出ルールを変えてまで振興費を支出する。

 メディアを通した印象操作であり、あまりにも露骨な「アメとムチ」の政策である。

・行政不服審査法は公権力に対して不服を申し立てる制度で、「国民の権利利益の救済」を目的としている。そもそも国に不服申し立てをする資格があるのか。

 防衛省(沖縄防衛局)が行政不服審査法に基づいて国土交通相に審査請求と取り消しの効力停止を求め、国交相はその通りの結論を出す。公平性・客観性を欠いた猿芝居というしかない。

・効力停止の決定理由として国交省は「飛行場周辺の住民らが被る危険性が継続するなど重大な損害が生じる」ことを指摘する。いわゆる「一日も早い危険性の除去」論だ。

 はっきり言おう。長い普天間飛行場の歴史の中で危険性除去に熱心でなかったのは日本政府である。過去に何度か米側から在沖米海兵隊の撤退案が示されたことがあるが、そのつど反対したのは日本政府だ。

 1996年の日米合意からすでに19年もたっているのである。「一日も早い危険性除去」が普天間返還の第一の目的であれば、普天間はとうに返還されていたはずだ。

 安倍晋三首相が仲井真弘多前知事に口約束した「5年以内の運用停止」も雲散霧消してしまった。

・政府が決まり文句のように強調する「唯一の選択肢」論も、海兵隊の分散化が進む現状を反映していない。辺野古移設にこだわる理由は米国の中でも失われつつあるのだ。

 そもそもなぜ、「唯一」だなどといえるのか。辺野古に移さなければ日本の安全保障に致命的な悪影響を与えるとでもいうのだろうか。選択肢なき政策こそが大問題だ。

28日付琉球新報「取り消し効力停止 許せぬ民意への弾圧 新基地作業は認められな    い」

・権力を乱用した民意への弾圧としか言いようがない。

民意を踏みにじるもので、許されるものではない。

・石井国土交通相は取り消し処分の効力を停止した理由について「普天間飛行場の移設事業の継続が不可能となり、(普天間)周辺住民が被る危険性が継続する」と説明している。

 住民の安全を考えているように装うことはやめるべきだ。新基地は完成まで10年かかるとされる。10年がかりの危険性除去などあり得ない。普天間飛行場を即時閉鎖することが唯一の解決策である。

・ 行政不服審査法に基づき、知事の取り消し処分の無効を求めて審査請求する資格は、そもそも防衛局にはない。請求制度は行政機関から私人への不利益処分に対する救済が趣旨である。私人ならば、米軍への提供水域を埋め立てできないことからも資格がないのは明らかだ。

・菅義偉官房長官は代執行に向けた手続きに着手することを決めたことに関し「外交・防衛上、重大な損害を生じるなど著しく公益を害する」と述べている。

 県民は外交・防衛の犠牲になれと言うに等しい。県民は戦後70年にわたり、米軍基地の重圧に苦しんできた。県民の「重大な損害」は一顧だにせず、過重な基地負担を押し付ける姿勢は、知事の言う「政治の堕落」そのものだ。

 知事権限を無力化するために、行政機関として代執行の手続きに着手する一方で、私人の立場も装う。恥ずべき二重基準を使ってでも新基地建設を強行する政府のやり方には強い憤りを禁じ得ない。

・ 99年の地方自治法改正で、国と地方は対等の関係になった。だが、沖縄でそれを実感することはできない。国が沖縄の声を踏みにじっていることが要因である。

 知事選をはじめとする一連の選挙で示された「新基地は造らせない」との圧倒的民意を国が無視し続けることは、どう考えても異常だ。沖縄からは圧政国家にしか見えない。

・自己決定権に目覚めた県民は圧政には屈しないことを国は認識すべきだ。日米安保のため、沖縄だけに過重な負担を強いる国に異議申し立てを続けねばならない。国を新基地建設断念に追い込むまで、揺るがぬ決意で民意の実現を目指したい。