【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

SEALDsと孫崎享氏の認識

2016-08-16 18:18:50 | 政治・文化・社会評論
SEALDsと孫崎享氏の認識

              櫻井 智志

 今までにない学生・青年運動の高まりで、市民運動をリードしてきたSEALDsがきのう解散し、きょう八月十六日記者会見を開いた。戦争が終わり、全学連を組織して戦後民主化に重要な役割を果たした。それがいくつかの問題を生じたこともあった。若者の政治離れや社会常識からかけ離れている側面も、世間から批判されていた。しかし、SEALDsの青年達の行動は、戦後社会が封建性を克服し、市民社会論や大衆社会論の論議を克服した成長した現代の若者たちの見事な健闘ぶりだった。
 孫崎氏が今回の評論で提起された問題を解決するような主体形成は、とても重要な課題である。そして現代日本の若者たちは、ひとつの典型を実像として提出したことによって、中高年の国民がむしろ学ぶべき要素も多いことを示した。ありのままの日常性の次元で政治を考える姿に、私は全学連や全共闘の矛盾や問題を別のかたちで止揚した21世紀の若者像をみる。

 なお、孫崎氏が「ムサシ」など選挙開票作業に明確な疑問を提示している。議会制民主主義の根幹である選挙、投票、開票そのものにいかさまがあったとしたら、それはもはや議会は民意の反映を偽装したものに過ぎない、という重大問題である。民意の正確な反映によって政治の統治性が保障されてきた。そこにいかさまが介入するということは、国民主権の根幹を覆す暴挙であり、それは同時に「直接民主主義」の登場を必要としている。欧州で言えば、フランス革命やパリ五月革命、アジアで言えば韓国の「光州事態」、金大中大統領選出に至る民主化、ミャンマーの市民革命。日本にもこれらに似た市民の動きはあった。戦後まもなくの2.1ゼネストや1960年安保闘争、ベトナム反戦運動の高まり。安倍自公政権は、アメリカ軍産複合体が黒幕として、次々に戦後民主主義変革を足元から切り崩してきた。
 だが、統治に正統性がなければ、韓国の軍人朴大統領を政府高官が銃殺したようなケースも発生した。私はアメリカのジャパン・ハンドラーなどアメリカの軍産複合体のお墨付きをもらっていても、国内統治に失政続きで民心が安定しなければ、安倍晋三を切り捨て、別の政治家をたてることは、当然アメリカの彼らも想定内に入れていると予想する。



「参考資料」【孫崎享のつぶやき】

西側社会は政治的に機能不全。WSJヌーナン論評「同胞を見捨てる世界のエリート」「社会の頂点に立つ人々が底辺の人々から自らを切り離し、愛着も仲間意識を持たない事態が西側の権力の中枢全体に拡大。安倍政権そのものだ。

2016-08-16 07:433




A:事実関係


 8月15日WSJがペギー・ヌーナンの「同胞を見捨てる世界のエリート」の論文を掲載した。ペギー・ヌーナンはWSJ定期的寄稿者。レーガン元大統領のスピーチライターを務めた経歴を持つ主要論者。
 これに対して、なんと今次共和党予備選に出たジェブ・ブッシュが賛同のツイッターをしている。

A thoughtful, provocative piece by @Peggynoonannyc. It's an unfortunate reality, but I think she gets this right.


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【WSJヌーナン論評「同胞を見捨てる世界のエリート」】


・西側では今、社会の頂点に立つ人々と社会の底辺に生きる人々に距離が生まれている。社会が比較的安定していた時代には、こうした現象が起きることはなかった。
(メルケル首相のイツに80万人の移民・難民を受け入れると発表、その後100万人流入問題への言及は削除)


・さらに大きな問題は、社会の頂点に立つ人々が底辺で暮らす人々から自らを切り離し、愛着も仲間意識を持つこともほとんどないという事態が、いたる所で起きていることだ。こうした現象は、西側の権力の中枢全体に広がっている。

 問題の根本は、社会の頂点に立つ人々にある。彼らが同胞、すなわち政策決定の場にいない人々(自己中心的で善人を装う指導者に見捨てられたことを理解している人々)の生活から切り離され、関心すら失っていることだ。

・ウォール街では頂点に立つ人々はかつて、指導者としての資質を備えていたものだが、今では生きるだけで精一杯だ。最高経営責任者(CEO)は、短期的な思惑や株価、四半期決算に忙殺されていて、「米国」に積極的に関わらなければならないとは思っていない。最高経営責任者は、自分の仕事は世界規模で考えることであり株主の期待に応えることだと考えている。


・シリコンバレーでは「国益」という概念が議論されることはあまりない。シリコンバレーの人々は国益をしのぐ、より抽象的で世界的な価値を支持している。彼らにとって重要なのは米国ではない。彼らに尋ねれば、重要なのは未来と答えるのではないだろうか。

・ビジネスの世界でも政治の世界でも、権力の座にある人々について思うのは、同じ国に住む人々を同胞だと思っていないことだ。同じ国に住んではいるが異質な存在で、わからないながらその気持ちを読み、管理する努力をしなければならないと考えている。

・実際、エリートたちは底辺の人々を恐れており、自国ではあれこれ工夫を凝らして自分たちの富や世俗的な成功をあまり知られないようにしている。

・富が分離を招いたとすれば、社会の頂点と底辺の間に距離を生んだのは権力だ。私の頭の中ではまだ整理がついていないが、指導者と導かれる人々の分裂に関連して何か大きな問題が起きようとしているのではないか。これはまさに現代の特徴の1つだが、それにしても奇妙なのは、国への帰属意識や責任を伴う絆を背負っているという認識、国民に愛着か、少なくともしかるべき尊敬の念を持つべきという考えをエリート層が捨ててしまった、あるいは捨てようとしていることである。

・社会の頂点に立つ人々の生活は何も変わらない。
 さまざまな文化を融合させ、毎日のように起きるいさかいを乗り越え、犯罪や過激主義、街で起きている恐ろしい出来事に対処するという難題を押し付けられたのは、ほとんど何も持たない人々――私は「保護されていない人々」と呼んでいる――である。

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B:コメント

・なぜこんな馬鹿なことが起こっているのか。

 政治システム、選挙システムが腐敗しているからでないか。極端な例は不正な選挙が確立している。多くの人は信じないが、舛添知事選出の選挙は不正選挙でないと説明がつかない。


 米国ではサンダースとヒラリーは接戦だった。
しかし、民主党全国大会に出席する代議員の総数は4049人で、指名に必要な過半数は2025人。党役員や上下両院議員で構成する「特別代議員」796人も含まれる。
極端なことを言えば、「特別代議員」をすべて手に入れた候補Aは対立候補Bと各州獲得数が1229対2024でも勝利する仕組みになっている。
ヒラリーが勝利した背景に「特別代議員」によりところが大きい。

 ブッシュ対ゴアの大統領選挙ではフロリダでの得票数計算で不正があったとみられている。
不正でなくとも、選挙前、大手マスコミを使用して誘導する。これは参議院選挙、今回の都知事選挙でも顕著であった。


・圧倒的多数を占める国民を騙すシステムが出来上がっている、ということだろう。