【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

社説 東京新聞2023年9月10日 07時21分

2023-09-12 22:44:48 | 転載・政治社会と思想報道
<社説>週のはじめに考える 桐生悠々が問う覚悟


 きょう10日は、反戦、反軍の記者、桐生悠々=写真=が1941(昭和16)年、太平洋戦争の開戦直前に亡くなった命日です。今年で生誕150年。明治から大正、戦前の昭和にかけて藩閥政治家や官僚、軍部の横暴を痛烈に批判し続けた報道姿勢は今も、言論にたずさわる者のお手本です。

     ◇
 本紙読者にはすっかりおなじみだと思いますが、桐生悠々について、おさらいをしてみます。
 悠々は、本紙を発行する中日新聞社の前身の一つ「新愛知」新聞や長野県の「信濃毎日新聞」などで編集、論説の総責任者である主筆を務めた言論人です。
 新愛知時代の18(大正7)年に起きた米騒動では、米価暴騰という政府の無策を、新聞に責任転嫁して騒動の報道を禁じた寺内正毅内閣を厳しく批判。社説「新聞紙の食糧攻め 起(た)てよ全国の新聞紙!」の筆を執り、内閣打倒、言論擁護運動の先頭に立って寺内内閣を総辞職に追い込みました。
 信毎時代の33(昭和8)年の論説「関東防空大演習を嗤(わら)ふ」では敵機を東京上空で迎え撃つ想定の無意味さを指摘します。日本全国が焦土と化した歴史を振り返れば正鵠(せいこく)を射る内容でした。
 しかし、在郷軍人会の抵抗に新聞社が抗しきれず、悠々は信州を離れて新愛知時代に住んでいた今の名古屋市守山区に戻り、34(同9)年から個人誌「他山の石」を発行して言論活動を続けます。

◆軍部台頭を厳しく批判

 新聞社を辞めても、悠々の筆鋒(ひっぽう)(筆の勢い)が衰えることはありませんでした。他山の石は厳しい検閲で、しばしば発売禁止や削除の処分を受けながらも、軍部の台頭を厳しく批判し続けます。
 例えば36(同11)年、旧陸軍の青年将校ら反乱部隊が首相官邸などを襲撃。当時の高橋是清蔵相らを殺害し、軍部の影響力が強まる契機となった二・二六事件です。
 悠々は「だから、言ったではないか」との書き出しで「五・一五事件の犯人に対して一部国民が余りに盲目(もうもく)的、雷同的の讃辞(さんじ)を呈すれば、これが模倣を防ぎ能(あた)わないと」「軍部よ、今目ざめたる国民の声を聞け。今度こそ、国民は断じて彼等(かれら)の罪を看過しないであろう」と断罪しました。
 しかし、その後の歴史を見ると悠々の警告むなしく、日本は破滅的な戦争へと突き進みます。
 悠々は米国との戦争を避けるべきだと考えていました。他山の石ではニューヨーク・タイムズなどで編集者を務めたE・J・ヤング氏の著作を紹介し、米国とは「日本が今これを敵として戦うことは無謀の極(きわみ)であって」「倍旧の友情を温めるのが賢策である」と記しています。
 日米の国力差はもちろん、当時の中国大陸や旧ソ連、さらに欧州にまで視野を広げて、国際情勢を冷静に見ていたのです。
 こうした分析力は、海外の文献を丹念に読み込むことで磨かれていきます。悠々は名古屋で洋書を取り扱う丸善で当時、大学教授らをしのぐ最大の顧客でした。
 悠々の批判の矛先は、政府や軍部にとどまらず、権力におもねる新聞にも向けられていました。
 他山の石では当時の新聞を「輿論(よろん)を代表せずして、政府の提灯(ちょうちん)を持っているだけである」「今日の新聞は全然その存在理由を失いつつある」と批判しています。
 今、新聞にたずさわる私たちにも耳の痛い指摘です。新聞は権力におもねらず、読者の期待に応えているか、常に自問自答する必要を感じざるを得ません。

◆言わねばならないこと


 悠々は「言いたいこと」と「言わねばならないこと」とを明確に区別すべきだと考えていました。
 「言いたいことを言うのは、権利の行使」だが、「言わねばならないことを言うのは、義務の履行」であり、「義務の履行は、多くの場合、犠牲を伴う」と、他山の石に書き残しています。
 「言いたいこと」ではなく、権力者に対して「言わねばならないこと」を言い続けることが新聞など言論の役割なのです。
 新聞が言わなくなった先にあるのは、内外で多大な犠牲者を出した戦争であり、それが歴史の教訓です。当時とは状況が違うとはいえ、岸田文雄内閣が進める防衛力の抜本的強化が、かつての軍備増強に重なります。

 <蟋蟀(こおろぎ)は鳴き続けたり嵐の夜>

 悠々が遺(のこ)した句です。もし今が再び<嵐の夜>であるならば、私たち新聞は<蟋蟀>のように鳴き続けなければなりません。
 悠々が残した一連の言論は、権力と向き合う覚悟を、現代に生きる私たちにも問うています。

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「九条の会」メールマガジン 2023 年 09 月 10 日 第399号

2023-09-10 18:55:52 | 転載・政治社会と思想報道

★九条の会 メールマガジン ★ 第399号 ★
 
★2023年09月10日発行★     「九条の会」mag@9jounokai.jp ★
★憲法9条、未来をひらく★    転送/登録歓迎 http://www.9-jo.jp/ ★

  
┌────────────┐
│ 第399号の主な内容 
└────────────┘
■事務局より
◇(再掲)岸田政権の軍拡に反対し憲法改悪を阻止する市民の総決起の秋を
◇(再掲)第8回九条の会全国交流集会「報告集」好評発売中
◇サイトのトップページ上部から「メルマガ登録」を

■各地から

◇9条の会、◇宮城女性九条の会(宮城県)、◇東北女性弁護士9条の会(東
北地方)、◇憲法9条京都の会(京都府)、◇商社九条の会・東京(東京都)、
◇「九条の会」群馬ネットワーク(群馬県)、◇根岸線沿線九条の会(神奈川
県横浜市)、◇調布九条の会「憲法ひろば」(東京都調布市)、◇鎌倉・九条の
会(神奈川県鎌倉市)、◇津山九条の会(岡山県津山市)

■編集後記 ともに声をあげ、岸田政権の軍拡に反対し憲法改悪を阻止する市
      民の総決起の秋を創ろう!

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ☆ 事務局より ☆                       ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
● (再掲)岸田政権の軍拡に反対し憲法改悪を阻止する市民の総決起の秋を
      創ろう!        2023.08.03.  「九条の会」事務局

http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20230910.htm#a

● (再掲)第8回九条の会全国交流集会(2023・5・28)「報告集」
      好評発売中

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 掲載の行事は、新型コロナ感染症の関係で中止になる場合があります。あら
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日時:9月21日(木)14:00
場所:参議院議員会館B−103会議室

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● 宮城女性九条の会(宮城県)
上映会・2023 年度定例総会
 三上智恵監督ドキュメンタリー映画「沖縄、再び戦場いくさばへ(仮題)」
日時:9月23日(土・休)13:30分〜14:30 上映会 14:40〜15:30 定例総会

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● 東北女性弁護士9条の会(東北地方)
講演会「KNOW NUKES TOKYO 核のない世界をデザインする」
日時:9 月 30 日(土)14 時 00 分〜16 時 00 分(開場:13:30)

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● 憲法9条京都の会(京都府)
9条京都のどい2023
とき:9月30日(土)午後2時開会〜4時30分  

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● 商社九条の会・東京(東京都)
第54回企画講演のつどい「反骨のジャーナリストが語る」
日時:10月8日(日)13:00〜16:30

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● 「九条の会」群馬ネットワーク(群馬県)
講演会「憲法九条は生きている〜大軍拡は戦争準備」
日時:10月9日(月・休)14:00〜16:00

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● 根岸線沿線九条の会(神奈川県横浜市)
小出裕章さん講演会
日時:10月14日(土)14:00〜16:30

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● 調布九条の会「憲法ひろば」(東京都調布市)
第194回(10月)例会 フィールドワーク 靖国神社と遊就館見学
日時:10月22日(日)13:00〜 靖国神社大鳥居下集合

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● 鎌倉・九条の会(神奈川県鎌倉市)
第10回渡辺治の憲法情勢徹底分析STOP!戦争国家への道〜憲法活かし平和外交
日時:10月28日(土)17:30〜20:00

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● 津山九条の会(岡山県津山市)
第5回うたごえカフェ
日時:11月5日(日)14:00〜16:00

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┃ ☆ 編集後記 ☆                        ┃
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● ともに声をあげ、岸田政権の軍拡に反対し憲法改悪を阻止する市民の総決
起の秋を創ろう!

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【孫崎享のつぶやき】2023-09-09 07:12

2023-09-09 09:27:47 | 転載・政治社会と思想報道
日刊ゲンダイ、孫崎享「マクロン大統領の“同盟は家臣ではない”、日本国民はどう考えるか。マクロン大統領は会見で、「(米国の)同盟国であることは米国の家臣になることではない。自分たち自身で考える権利がないことにはならない」日本は?日本人の好きな侍とは何か?


世界で今、最も深刻な問題はウクライナ問題である。同国の兵士がウクライナで戦い、死者を出し、国土が荒廃しているが、この戦闘は実質、米国を先頭とする西側諸国対ロシアの戦いである。
 西側諸国の兵器提供が途絶えれば、明日にでも戦争は終わる。こうした中、NATO諸国、G7諸国は米国に恭順の意を示して隷属してきたが、この構図が今、崩れかけている。
 サルコジ元仏大統領は「世界と欧州は火山の淵で踊っている。いつ手に負えなくなるか分からない。」と述べて外交での解決を主張した。
 米国の政策に異を唱えたのはサルコジ元仏大統領だけではない。
 4月に訪中したマクロン仏大統領も記者に対して「最悪の事態は、欧州がこの話題(台湾問題)で追従者となり、米国のリズムや中国の過剰反応に合わせなければならないと考えることだ」と語った。
 この発言が非難されると、マクロン大統領は会見で、「(米国の)同盟国であることは米国の家臣になることではない。自分たち自身で考える権利がないことにはならない」と述べていた。

 私は8月下旬、新たな本「同盟は家臣ではない──日本独自の安全保障について」(青灯社)を出した。終章「日本のこれからの安全保障政策について」で、「同盟は家臣ではない。先ず国益から論ずるという姿勢をとろう」を書き、ここでマクロン大統領の発言を引用した。出版社の代表が、この言葉を本のタイトルに選び、私はさすがだと思った。
 マクロン大統領の「同盟は家臣ではない」との発言は英BBCやガーディアン、アルジャジーラなどで報じられ、大きな反響を呼んだが、この言葉は日本でこそ論じられるべきである。しかし、ほとんど関心を呼んでいない。
 どうしてなのか考えてみると、日本では「家臣」は侮蔑用語ではない。むしろ、あがめられる意味で使われる。
 野球の日本代表は「侍ジャパン」である。徳川幕府の江戸時代、侍は殿様の命令で切腹し、他の人を殺害した。そこに自分の意思はない。
 そして武士は農民や町人よりも身分が上と言って威張っていた。その流れは今の日本社会にも脈々と受け継がれている。
 日本では従順さが美徳であり、企業に入れば上司に黙って従うことが当たり前とされる。おそらく多くの国民は「米国に隷属するのを改めなければならない」とは思っていないのではないか。殿様に仕える侍こそが理想的な生き方なのだろう。


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【テレ朝大下容子のワイドスクランブル視聴記】

2023-09-07 17:31:12 | 言論と政治
【テレ朝大下容子のワイドスクランブル視聴記】2023年9月7日

❶「学校給食の歴史」

 日本で学校給食が始まったのは、戦前の東北だった。山形県だったかと思う。戦前の全国的な貧困化の窮状を見るに見かねた教育関係者たちの実践だ。戦後も栄養不足に栄養不良に苦しむ児童の実態を前に政府はアメリカの余剰物資をあてがった。
 粉末ミルクをお湯で薄めたミルクの味は劣悪なものだったが、教師は栄養になるのだからと無理強いした。朝鮮戦争の不幸をこれ幸いと朝鮮半島の国民の不幸を横目でみて日本の重工業は潤いを得ていった。
 いまの学校給食はいわば第二段階で不況とコロナ感染による国民の貧困化を前にはいった。幼児から高校生まで学校給食を、という国民の運動は、「教育費の無償」を憲法でうたった条文が背景にある。
 国民の生存権と教育権の拡大を背景にして全国的な給食費無償の運動として全国に広がった国民の新たな運動であり、それを突き付けられているのは文科省や財務省など政府の対応が求められている。ふってわいたような給食供給会社のいきなりの雲隠れせざるを得ないような実態。
 そこまでなんの手も政府はうたなかったのか。経済困窮化に対する問題に、一企業の経営運営に押し込むのではなく、日本政府が国民の実態に応じて給食費無償運動に応じて、経営不況策を打ち出すべき事態にきている。

❷ 「アメリカがウクライナに劣化ウラン弾給与」

劣化ウラン弾・・・・
核兵器の最新兵器である

【時代を展墓するTBS報道特集】2023.9.2

2023-09-03 09:24:42 | 政治・文化・社会評論
【時代を展墓するTBS報道特集】2023.9.2




❶自然災害と社会災害

3つの台風が入れ替わり立ち代わり日本列島の交通と災害をあやういものとしている。気象の異常な事態は世界的規模に及んでいる。国際社会は様々な取り組みを進めている。京都議定書は高校社会の教科書に掲載されている、だが今の日本は京都議定書の姿勢とは異なっている。
番組が鎌倉市を選び、地震が起きたときどれくらい避難できるか。実際に目の前で具体的にみると参考になった。湘南海岸から海沿いの多い場所だと高い場所への避難は、半々。日常生活で自分自身も心掛けたい。

❷メデイアとジャニーズ事件

ジャニーズ事務所での問題を、早くから被害を受けた青年たちが訴えていた。フォーリーブズのメインボーカリストなど国内で話題となったがそれだけで終わっていた。今回、イギリスのBBC放送が取り上げ国連人権部局が調査にきた。それがなかったらおそらくこれほど可視化しなかったろう。

東京新聞望月衣塑子記者は新聞に執筆し継続的に追及している。被害者の方がたの告発は勇気ある行動だ。ジャニー喜多川氏の少年愛の嗜好が、若者たちの労働権を歪んだ形で剥奪していること、性愛の発露が被害者への悪質な収奪であること。さらに芸能界の体質を徹底的に腐敗させてきたこと。。

北公次氏の発言を視聴。フォーリーブスとして若者たちに圧倒的な人気を受けた当時の人間的輝きをもっている。後輩に「ずっと残っていればボロボロになるから辞めろ」と勧めた若者を救った。喜多川氏は死んだが事務所には問題を解決する責任がある。芸能界とマスコミの責任も問われる。

3人のキャスターのご発言を聴き、このような報道倫理、報道者の勇気を、他のジャーナリストや放送関係者の皆さんも要望してやまない。事件は、マスメデイア、マスコミにも受け手の国民にも省察を問う次元に拡大している。日本の人権後進性は、統治者と批判できない私たち国民が作り上げた。

❸「追跡 不動産転売ビジネスの実態」


私は経済犯罪は、それ自体が資本主義経済の本質から派生していると感じた。「資本主義の精神」が空洞化し、利潤を得れば何をしても構わない社会は、恐ろしい退廃社会だ。現存社会主義国家に期待はないが、日本資本主義は本質的改革を求められている。取材された記者の言葉に同感だ。生活困窮者を悪質な仕事の対象としている現状がある。生活困窮者が自立するために支援の強化が行政に求められている。


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【盛岡タイムス』 2023年9月2日(土)

2023-09-02 20:40:33 | 転載・政治社会と思想報道
【盛岡タイムス】2023年8月30日転載
達増氏、盛岡で厚い支持 知事選終盤情勢 食らいつく千葉氏 多い不確定要素、予断許さず



 任期満了に伴う知事選は9月3日の投開票へ、両陣営による舌戦が終盤に入っている。盛岡タイムスが24日から26日まで、盛岡市内の有権者に実施した電話調査では、無所属現職の達増拓也氏(59)が知名度や実績を背景に支持を広げ、同じく無所属新人の千葉絢子氏(45)が食らいつく形となっている。電話調査では全体の4分の1程度が投票する候補について「決めていない」と回答したほか、直近の国政選挙において千葉氏を支援する自民党の候補が沿岸部や県南部において多くの得票を得て勝利を重ねていること、最終盤の各陣営の戦術や投票率といった不確定要素も多くはらんでいることから、予断を許さない状況となっている。

 電話調査の結果、達増氏が立憲民主、共産、国民民主の支持をほぼ固めた。政策としては、子育てや医療福祉といった「社会保障の充実」を強く求める層からの支持が厚い。

 千葉氏は自民からの支持を固めつつあるが、一部で達増氏への流出を許している。政策面では、国政との連携や人口減少対策の推進を求める人々の支持を集める。

 無所属ではありながら、実質的には国政4野党(立憲民主、共産、国民民主、社民)の「統一候補」にあたる達増氏。陣営では、国政における自民一強状態、2021年の衆院選岩手3区と22年の参院選岩手選挙区での立憲公認の現職候補の敗戦を踏まえ、危機感を強く持っている。

 同じく無所属ながら、自民、公明、そして県議時代所属した政治団体「いわて県民クラブ」の三位一体の支援を受け活動する千葉氏。かつて県内民放テレビでアナウンサー兼記者として活躍した知名度を持ち、4期16年務めた達増氏への「長い」「変わっていい」という声を集める。

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 投票先を未定とした人の約8割が、「支持政党なし」とした無党派層。選挙戦も終盤に入り、無党派層をいかに取り込むかが両陣営における「伸びしろ」となる。

    ◇

 電話調査は、知事選に「行く」「行くつもり」と答えた200人を対象に実施した。

 政党支持率は、自民が15・0%で最も高く、立憲民主9・0%、共産6・0%などと続いた。「支持政党なし」は64・0%と全体の3分の2程度となっている。

【孫崎享のつぶやき】2023-09-01 06:47

2023-09-01 07:23:24 | 転載・政治社会と思想報道
「木原問題」:マスコミ沈黙(週刊文春等除き)、「“(事件性のない自殺という形で)火消しをしろ”と刑事部長に命じたのは露木警察庁長官で、露木氏にそう発破は栗生氏(事務方官房副長官)という」警察の動き+刑事告訴→「マスコミは権力に屈するか」


引用:内閣改造で注目される「木原問題」の処遇…岸田が重用し続けるワケと、文春「刑事告訴」のゆくえ(伊藤 博敏、現代ビジネス)
、岸田政権の安定性と方向性を見極める上で、最も注意すべきは「首相は木原誠二官房副長官を切るのか、重用し続けるのか」(政治部記者)という点である。

「首相の女房役」といえば松野博一官房長官で、木原氏は側近とはいえ3人いる副官房長官のうちの1人に過ぎない。

なぜ最も注目の人事なのか――。

「木原氏に対して『週刊文春』が夫人の前夫の死亡原因を巡って連続追及しており、木原氏は2カ月近くも逃げ回り、『外交内政に関して記者らに内閣の意向を示す』という本来の役割を果たしていない。岸田首相は支持率低下に悩んでいるだけに、『切るしかない』というのが大方の見方だった」(前出の記者)
だが、意外なことに岸田氏は日米韓首脳会談に木原氏を同行させた。しかも米ワシントン郊外のキャンプデービットで8月18日(日本時間19日未明)に行われた全体会合で、岸田氏は左隣に林芳正外相、右隣に木原氏を座らせ信頼の厚さを見せつけた。なお、米側はバイデン大統領が中央のひな壇に座り、左隣がレモンド商務長官、右隣にブリンケン国務長官だった。

木原は沈黙、マスコミも封印

7月6日発売号から始った文春報道は、「自殺」と片付けられた17年前の前夫の死に、木原夫人のX子さんとその関係者が関与していたことを窺わせるものだ。
警視庁自身が5年前に再捜査を始めたことや文春の取材に前夫の父や死亡現場にいた知人が疑いを語り、なにより再捜査の際、X子さんを取り調べた佐藤誠元警部補が、「自殺ではない。事件はありえない形で終った」と実名告発。「政権幹部夫人が関与した不審死」だとして前代未聞の展開を見せている。
事件が起こったのは17年前でも、再捜査の際は党の政調副会長兼事務局長として岸田政調会長を支える立場にあった。当時は安倍晋三政権下で官邸が強く、検察・警察の捜査機関が政権に忖度していた。「有力政治家だから捜査を早期終結させたのではないか」という疑いが生まれるのは当然で、週刊文春がキャンペーンを張る理由でもあった。
だが、官邸は動かなかった。岸田氏が木原氏を「政権に欠かせない」と遇しているのはキャンプデービットの出来事が示している通りで、木原氏は沈黙を続けている。最大の理由は、報道が週刊文春と一部夕刊紙や月刊誌に限られ、新聞・テレビといったマスコミが追撃しないからだ。文春報道が政権攻撃にはつながっていない。
マスコミは今も報じないし、報じない理由も変わらない。それどころか疑惑はますます封印の方向で動いている。
木原事務所に問い合わせてみると立憲民主党は木原氏に公開質問状を提出したうえで、8月1日に国会に呼んでヒアリングを行おうとした。「報道が公務に支障をきたしている」という判断からだが、木原氏は出席せず「文春を刑事告訴した」と文書で答えた。また、その場に出席した警察庁の担当者は、「事件性はなく他殺の可能性はないと判断している」と述べた。

公党の問い掛けに「刑事告訴」と回答し警察庁が「自殺」と断定したのだから、報道へのハードルがまたひとつ上がった。
木原氏の代理人弁護士は筆者の「刑事告訴したのか」という質問書に7月28日付で、<刑事告訴については、名誉毀損行為が現在もなお継続していることもあり、証拠の収集等準備を進めているところです>という回答があった。

であれば、29日(土)、30日(日)と休日を挟むので、31日(月)か8月1日(火)のいずれかに提出されたのだろうか。
そこで代理人弁護士に確認を含めて改めて問い合わせると、次のような回答があった。

<刑事告訴は、週刊文春による最初の本件事案にかかる記事が掲載された後、遅滞なく告訴状を提出しました。
なお、週刊文春による本件事案に関する記事掲載等はその後も継続し、いまなお続いていることから、一連のものとして、順次証拠も追加してゆくべく、とりすすめております。受理については、こうした追加に一区切りついた段階で、捜査機関において対応されるものと考えております>

警視庁上層部の忖度

告訴の有無にこだわったのは名誉毀損での告訴が受理されれば、捜査が始り週刊文春はもちろん、「後追い」を考えているメディアや記者にとってもプレッシャーになるからだ。
木原氏はいっさい口を開かない。マスコミ対応は、代理人弁護士が最初の報道と2回目の報道に対し、司法記者クラブに宛てて「著しい人権侵害行為です」という木原氏の心情を書き添えたうえで、「速やかに刑事告訴を行う」という文書を送り付けただけだった。
いうまでもなく木原氏は公人であり権力者である。再捜査のあった18年10月は「官邸が強かった」と書いたが、もっと言えば当時、3人いた官房副長官のうちのひとりは内閣人事局長を兼ねて「霞ヶ関」の官僚群を握っていた元警察官僚の杉田和博氏であり、内閣情報室を束ねる内閣情報官が北村滋氏、警察庁長官が栗生俊一氏、警察庁次長が中村格氏で、「官邸ポリス」といわれた彼らが菅義偉官房長官のもと、安倍長期政権を支えた。
木原氏は当時、まだ岸田側近に過ぎず「捜査に圧力を加える」ほどの力はなかったかも知れないが、警視庁上層部が忖度する存在ではあっただろう。まして今は政権中枢である。
杉田氏に替わって事務方の官房副長官に就いたのは栗生氏だった。文春報道(8月24日発売号)によれば、「(事件性のない自殺だったという形で)火消しをしろ」と刑事部長に命じたのは露木康浩警察庁長官で、露木氏にそう発破をかけたのは栗生氏だったという。

マスコミは権力に屈するか


「忖度」と「火消し」が本当にあったかどうかはともかく、権力中枢にいるということは疑われても仕方がない立場である。だが木原氏は有無をいわさず刑事告訴に踏み切った。
ただ、検察がその圧力に簡単に屈することはない。特捜部経験のある検察OB弁護士がいう。
「憲法問題が絡むだけにマスコミ報道への名誉毀損告訴に対し、検察が簡単に結論を出すことはない。名誉権は憲法にないが、憲法第13条によって個人の権利は守られ保障されている。
一方でマスコミは憲法第21条の表現の自由で守られている。そのうえ名誉毀損の要件を満たしていても、公共性があり、公益を図る目的の報道で、真実相当性があれば名誉毀損罪は成立しない。文春もそれはわかって報じており、捜査が始っても嫌疑不十分で不起訴だろう」
スポークスマンが役割を果たさず、報道には刑事告訴で応え、それを容認する岸田政権ーー。支持率低下の要因のひとつであることを岸田首相は気付いているだろうか。


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