カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

GMAC EUの特恵関税資格停止に関する声明

2019年08月22日 | 経済
 8月13日、カンボジア縫製製造業協会(GMAC)は、EUに対し、特恵関税停止を行わないように求める声明を発表しました。本年2月11日、欧州連合(EU)欧州委員会は、フン・セン政権の強権的対応に関連し、特恵関税制度EBAのカンボジアの一時的資格停止に関する手続きに着手したと発表しました。これは、最終手段となる資格停止を直ちに発動するものではなく、まず、6か月間の監視・対話強化期間があり、その後3カ月間のEUでのレポート作成期間を経て、12カ月後までに結論を出すこととなっています。停止が決定された場合は、最終決定後6か月間の過渡期間を経て、18カ月後から特恵関税措置の対象外となります。
 8月12日に、監視・対話強化期間が終わり、数次の調査団を派遣した結果が報告書として完成した模様です。GMACは、このタイミングに合わせて声明を発表しました。声明では、先ず、縫製業がカンボジアの輸出の75%を占め、特にEU向け輸出の90%を占めいていると指摘しています。また、EUはカンボジアの輸出先第1位であり、2018年のEU向け輸出額は47億7000万ユーロ(約5580億円)に達したとしています。カンボジアの縫製業で雇用している労働者数は75万人、家族も含めると300万人が縫製業から裨益しています。また、GMACでは、国際労働機関(ILO)と協力して、労働環境の改善に努め、透明性も確保してきたとしています。そして、EBAの資格停止は、カンボジアに重大な失業問題を引き起こし、EBAが目的としている貧困削減に反すると主張しています。
 EUの特恵関税資格停止は、カンボジア経済にとって大きなリスクとなっています。EUの検討結果がどうなるかは、現時点では予想が難しいところです。カンボジア政府では、資格停止となった場合に備えて、様々な対策を取り始めていますが、いずれも資格停止の影響を緩和する効果は限定的なものと見られます。EUの検討状況を引き続き注視していく必要があるものと見られます。

カンボジア縫製製造業協会の声明(英文です)
https://www.gmac-cambodia.org/news_pdf/1565852688en.pdf



↓にほんブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックしてください↓
にほんブログ村 海外生活ブログ カンボジア情報へ
にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする