2015年4月9日06時54分
http://digital.asahi.com/articles/ASH3W556FH3WTIPE024.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3W556FH3WTIPE024
小学校でいじめられた娘は、不登校になり自殺未遂を繰り返した。思い悩んだ末、母は娘が書きためた詩を「遺書」として本にすることにした。だが、2人で作るうちに気がついた。もっとやりたいことがあること。過去にとらわれていたこと。「未来の話をして笑いたい」。この春、夢を描き高校へ進む。
《いじめられている君へ》西原理恵子さん
福岡市の秋山のぞねさん(15)=ペンネーム=へのいじめが始まったのは、小学2年の3学期だった。宿題を忘れてしまったのぞねさんの襟を、担任の先生が引きずって教室から出した。算数のプリントを廊下で解くように言われ、床にはいつくばった。
「ウソつき」「この子はバカ」とみんなの前で言われたり、給食を食べさせてもらえなかったりした。同級生が、わけもなくたたいてくるようになった。
なぜ自分だけこんなことをされるのか。ただ悲しくて、怖かった。学校に行けなくなり、心療内科を回った。
詩を書き始めたのはその頃だ。祖母がお見舞いに差し入れてくれたマンガの主人公が、好きな相手に詩を書いて気持ちを伝えていた。「わたしの気持ちも楽になるかな」。浮かんだ言葉をメモにしていった。
《人の心は、全て赤い糸でできてるんじゃあないかと、私は思ってる。》
《他人に罵(ののし)られると、糸は1本、悲しい音を最後に切れる。知り合いに罵られると、糸は5本、また切れる。》
いじめは続いた。「キモイ」「ウザい」「友達じゃないから」。心ない言葉を投げられる。死んでしまいたい衝動と、それじゃだめだという感情でグチャグチャになった。ガラス片で胸を切ったり、冬の川に飛び込んだり、薬を大量に飲んだりした。今度は「自作自演」と言われた。
《言わないで、その言葉を言わないで下さい。私は何も、やっていません。
ただ、助けてほしいだけなのに、どうしてそんなことを言うのですか。》
中学進学後も学校に通えず、自分を傷つける娘に、母アヤさん(41)はもがいた。のぞねさんの主治医からは「受け入れるしかない。腹をくくりなさい」と言われ、自分に何ができるのか考えた。
この子は死んでしまうのかもしれない。それならせめて、夢をかなえてやりたい――。作家になりたかったのぞねさんが書きためた詩を「遺書」のつもりで自費出版することにした。
約1年かけて、作品を選び、載せる順番を決めていった。生きることに精いっぱいだった日々が、本の話をする時だけは将来のことを考えられた。
2013年12月、37作を収めた「根暗女子中学生の思考」を出版。この頃からのぞねさんが変わっていった。「次はこんな本にしたい」と、目標を口にするようになった。
のぞねさんは中学1年から、インターネットのサイトに投稿するようになった。150作品を超す。「心を打たれました」「頑張ろう」とコメントが寄せられるたび、励まされた。「過去を振り返って憎んでばかりだった。でも、あの時期があったから出会えた人たちがいる。一人じゃないと思えるようになった」とのぞねさんは話す。
「遺書」を書いて、夢を見つけた。「勉強をがんばって大学へ行って、作家になりたい」。今春、高校に合格した。苦しんだ過去を越えて、未来へ踏み出す。(安田桂子)
感想;
自殺したいと思う人は、今がとても苦しくて苦しくて今の苦しさから逃れたい気持ちだと聞いたことがあります。自分の苦しさのために、周りのことを考えている余裕がありません。
視点を変えてみると、自分が生きる意味、目的を見出せていない状況でもあります。自分に生きる目的が見いだせていなくても、誰かのために生きなければならない、例えば子供のためにとか、それがあるとまた生きて行けるとも言われています。
のぞみさんは投稿することで、外部との接点ができ、人の役に立っていることを実感されて来られたようです。一人では生きる目的を見出せなかったのが、人との繋がりで生きる力を得て来ました。虐めと言う、人との繋がりで苦しめられたのですが。
この記事を読んでいて、お母さんが一生懸命娘さんと接して来られたんだなと思いました。
http://digital.asahi.com/articles/ASH3W556FH3WTIPE024.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3W556FH3WTIPE024
小学校でいじめられた娘は、不登校になり自殺未遂を繰り返した。思い悩んだ末、母は娘が書きためた詩を「遺書」として本にすることにした。だが、2人で作るうちに気がついた。もっとやりたいことがあること。過去にとらわれていたこと。「未来の話をして笑いたい」。この春、夢を描き高校へ進む。
《いじめられている君へ》西原理恵子さん
福岡市の秋山のぞねさん(15)=ペンネーム=へのいじめが始まったのは、小学2年の3学期だった。宿題を忘れてしまったのぞねさんの襟を、担任の先生が引きずって教室から出した。算数のプリントを廊下で解くように言われ、床にはいつくばった。
「ウソつき」「この子はバカ」とみんなの前で言われたり、給食を食べさせてもらえなかったりした。同級生が、わけもなくたたいてくるようになった。
なぜ自分だけこんなことをされるのか。ただ悲しくて、怖かった。学校に行けなくなり、心療内科を回った。
詩を書き始めたのはその頃だ。祖母がお見舞いに差し入れてくれたマンガの主人公が、好きな相手に詩を書いて気持ちを伝えていた。「わたしの気持ちも楽になるかな」。浮かんだ言葉をメモにしていった。
《人の心は、全て赤い糸でできてるんじゃあないかと、私は思ってる。》
《他人に罵(ののし)られると、糸は1本、悲しい音を最後に切れる。知り合いに罵られると、糸は5本、また切れる。》
いじめは続いた。「キモイ」「ウザい」「友達じゃないから」。心ない言葉を投げられる。死んでしまいたい衝動と、それじゃだめだという感情でグチャグチャになった。ガラス片で胸を切ったり、冬の川に飛び込んだり、薬を大量に飲んだりした。今度は「自作自演」と言われた。
《言わないで、その言葉を言わないで下さい。私は何も、やっていません。
ただ、助けてほしいだけなのに、どうしてそんなことを言うのですか。》
中学進学後も学校に通えず、自分を傷つける娘に、母アヤさん(41)はもがいた。のぞねさんの主治医からは「受け入れるしかない。腹をくくりなさい」と言われ、自分に何ができるのか考えた。
この子は死んでしまうのかもしれない。それならせめて、夢をかなえてやりたい――。作家になりたかったのぞねさんが書きためた詩を「遺書」のつもりで自費出版することにした。
約1年かけて、作品を選び、載せる順番を決めていった。生きることに精いっぱいだった日々が、本の話をする時だけは将来のことを考えられた。
2013年12月、37作を収めた「根暗女子中学生の思考」を出版。この頃からのぞねさんが変わっていった。「次はこんな本にしたい」と、目標を口にするようになった。
のぞねさんは中学1年から、インターネットのサイトに投稿するようになった。150作品を超す。「心を打たれました」「頑張ろう」とコメントが寄せられるたび、励まされた。「過去を振り返って憎んでばかりだった。でも、あの時期があったから出会えた人たちがいる。一人じゃないと思えるようになった」とのぞねさんは話す。
「遺書」を書いて、夢を見つけた。「勉強をがんばって大学へ行って、作家になりたい」。今春、高校に合格した。苦しんだ過去を越えて、未来へ踏み出す。(安田桂子)
感想;
自殺したいと思う人は、今がとても苦しくて苦しくて今の苦しさから逃れたい気持ちだと聞いたことがあります。自分の苦しさのために、周りのことを考えている余裕がありません。
視点を変えてみると、自分が生きる意味、目的を見出せていない状況でもあります。自分に生きる目的が見いだせていなくても、誰かのために生きなければならない、例えば子供のためにとか、それがあるとまた生きて行けるとも言われています。
のぞみさんは投稿することで、外部との接点ができ、人の役に立っていることを実感されて来られたようです。一人では生きる目的を見出せなかったのが、人との繋がりで生きる力を得て来ました。虐めと言う、人との繋がりで苦しめられたのですが。
この記事を読んでいて、お母さんが一生懸命娘さんと接して来られたんだなと思いました。