・日本では「人に迷惑をかけるな」と言われながら育つが、インドでは、「あなたが大人になる過程で多くの人にかけているのだから、人の迷惑に寛容になりなさい」と言われながら育つのだと。
・だからこそ、これを読んでいる大人には、失敗を話してほしい。そして子どもには大人から失敗談を聴き出してほしい。
あさのあつこさん(作家)
失敗や挫折は一生の仕事のエネルギー
・「人と比較して、あの人は私より可愛いとか勉強ができる、スポーツができるとか、それに比べて自分はダメだとか、どんどん行き詰まって自分を追い込んでいましたね。『まぁいいや、私は私だから』って開き直るのがとっても苦手で、当時から本を読むのが書くのも好きだったんですけど、読書にすくわれましたね」
・「私が誰も恨まず、自分に自信をもって堂々と生きられたら。たぶんものを書くエネルギーはたまらなかったと思います。そういう意味では、そんな思いを持つ人は表現者に向いていると思います。まさにしんどい10代の人にとっては、無責任に感じるかもしれませんが、本当に自分に絶望していて、誰かがすっごく憎くて、こんな人生リセットしてしまいたい。と思っている『今』っていうのは、ものすごい何かをはらんでいる。私はいまだに心のどこかに何が潜んでいるかわからあに沼があって、書きたいもの、書きたい人がその底からぼこぼこと湧いてくる。あと何冊書けるんだろうという焦りがあるくらいです。うまく行っていた日々は色あせていくんですけど、本当にしゃがみこんでいた時のダークな色は薄れない。だから、書き続けているんだと思います」
・「もうちょっと頑張ったら、親は捨てることができるよって言いたい。今、すごくしんどいけど、自分でなんとか生活できる力をつけたら親を捨てられる。その力をつけるために、ちょっと親を利用しようって」
・「自分がものを書いていけるのは、いろいろな人との関係での失敗、子どもとの関係の失敗、本当にしゃがみこんでしまうような挫折と絶望からエネルギーをもらっているからだと思います」
月乃光司さん(元ひきこもり、元醜形恐怖、元アルコール依存症)
人生の経験値は、失敗することで上がっていく
・「誰かにチラッと見られただけで、自分が醜いからだと思うようになって、もう一切人と口がきけなくなってしまったんです。同時に、唇が厚いのを悟られてはいけないとずっと唇を噛み締めている状態でした。休み時間も机に顔を埋めている状態で、もう、人から見られることが恐怖だったんです」
・「自殺もできないし働くこともできないの」ので、一浪したあとに「とにかく合格した埼玉の大学に行きました」
生活はすぐに昼夜逆転、部屋にはゴミがたまっていく。この頃から酒を飲むようになった。酔えば少しだけ生きづらさから解放される感覚があったという。親は大学に行っていると信じているので仕送りをしてくれる。その罪悪感を誤魔化すためにまた酒を飲む。
その頃から、自殺未遂も始まった、手首を切る。高いところから飛び降りようとして未遂に終わる。パチンコ屋のトイレで首つりを試みて失敗したこともあった。
1日のほとんどの時間を、蒲団の中で過ごした。エッチな妄想を膨らませることだけが唯一の愉しみで、しかし、「俺は何をしてるんだ」とまた罪悪感に襲われる。
・「なんか異常なイラストとか、自分を主人公にしたような漫画とか、そういうのを描いてたら面白がれて、それで大学は2年で中退して、そこから3年くらい、漫画とイラストで生活してたんです」
自分の中の鬱屈した感情を漫画やイラストにすることにより、自分という犯罪者予備軍を「表現者」に高めた瞬間だった。
・同じ頃、大きな変化があった。初めて精神科に行ったのだ。たまたま読んだスポーツ新聞の醜形恐怖の記事がきっかけだった。「最近、若い人の間で自分の容姿を気にして自殺願望を持ったりひきこもったりしている人が多い」という内容。すべて自分と一致するので、そこで紹介されていた精神科に行き、処方された薬を飲むと、長年悩まされていた症状が消えたのだ。
『医学の力ってすぎなと思いました。それで、漫画やイラストの仕事相手にも、薬を飲めば会える状態になったんですね』
友人もできた。同じ雑誌の同世代ライターに、同じように精神科に通院する人がいたのだ。そのことをきっかけに仲良くなり、小学生以来、初めて人間関係を保つことができた。それだけではない。なんと二十歳頃には初めて彼女もできた。・・・
生きづらい者同士、あっという間に意気投合。彼女が月乃さんのアパートに転がり込む形で2年にわたる同棲生活が始まった。病気になって友人も彼女もできる。一気に形勢逆転である。
が、そんな日々は長くは続かなかった。彼女に振られてしまったのだ。
「そうしたらもう全部ダメになってしまって、孤独感と寂しさで仕事もできなくなって締切も守れなくなって、持っていた精神薬まとめ飲みして自殺未遂したんですけど死に切れなくて、精神薬の濫用とお酒に溺れる日々が始まりました。そうしたら短期間で依存症になってしまって、25歳くらいで新潟の実家に帰ったんです」・・・
そうして2年間で3回の入院を経験。1回目はオーバードーズ(薬の過剰摂取)をして自殺未遂をはかり、錯乱状態となっているところを措置入院(精神障害を原因として自分や他人を傷つける恐れがある人を、本人や家族の同意なしに、都道府県知事などの権限で入院させること)。2度目も同じような状況だった。
・3回目に入院した際、以前一緒に入院していたアルコール依存症患者が腐乱死体で発見されたことを知ったのだ。死因は不明だったが、酒で死んだことは明らかだった。月乃さんはこれを機に酒を断つことを誓い、アルコール依存症患者のための自助グループに通うようになる。
・初めて行った自助グループは驚きの連続だった。みんなが酒の失敗談や、普通では言えないような情けないエピソードを赤裸々に告白し、聞いた人たちは笑っている。自助グループでは、どんな話でも安心してできるよう、人の話を否定しない。聞いた話は口外しない、などさまざまなルールがある。そんな場に初めて参加して、『救われたような気になった』という。そうして自助グループに通う日々が始まった。
「それで私も、自分がこういうふうにして生きられなくなったという話をするようになったんですね。そうしたら共感して笑ってくれる。それがものすごい癒し効果というか、俺、受け入れられるじゃんって、これまでの人生で、そういう経験がほとんどないので、初めて、この場所は俺が座っていい場所だって思えたんです。それが生きられるきっかけになりました」
そうして27歳の時から29年間、休まずに自助グループに通い続けている。今も週に3度の頻度で行っている。
・そんな月乃さんは37歳の時、『こわれ者の祭典』というイベントを始める。・・・
会場は大盛況、笑いと涙に包まれ、同じように生きづらさを抱える人々からぜひ今後も続けてほしいという声が殺到した。
そうして『こわれ者の祭典』は全国各地からひっぱりだこに。
・人生の問題解決に必要なのは『場数』と『慣れ』
岡田美智男さん(<弱いロボット>の研究者)
弱さをさらけ出すことで幸せになれる
・<ゴミ箱ロボット>
ゴミ箱の形をしたロボットだが、そんなロボットは自らゴミを集めることはできない。ただよたよたと歩き、ゴミに近づくだけである。近くで見ている人が、見かねてゴミを拾ってゴミ箱に入れてあげる。そうすると、ほんの小さく会釈をする。そんなふうに一人では「完結」しないのが<弱いロボット>の特徴だ。
・熊谷晋一郎さん 発達障害の当事者研究
「自立とは、依存先を増やすこと、それを分散させておくこと」
角幡唯介さん(探検家)
極寒の北極で失敗しても死なない男
・「僕は自分の内側から湧き上がってきたものに従って生きていく感じだから、自分のことしか考えてないんですね。だから自分のやりたいことを貫徹するためには、他人になんと言われようが構わない。もちろん多少は気にしますけど、最終的には自分のやりたいことを押し通す感じでやっています」
そのためには、時間も労力も惜しまない。
・他人にやってることに対して口うるさく言うのが激しくなってますよね。何かやるといちいち批判される。僕が一番嫌なのは、自己責任って言葉に象徴されると思うんですけど、何もやらないことが得になっちゃってることですね。何かやると叩かれるから。そうして何もやらない立場になって、何かやってる奴を責める。日本の自己責任は、自己責任といつ名前を借りた切り捨てとういか、何かをやらせないための言葉になっている。それをやったお前は死んで当然、みたいな。歪んでいると思います」
・計画することが失敗の始まりという価値観。
・「娘は協調性もないらしくて、うちの奥さんはそういうところを欠点として捉えているわけですよ。でも俺は全然そう思わない。俺がそういう性格だったから、自分としてはわりと楽しい人生送れている。これが協調性のある性格で他人とうまくいくことを優先してたら、こんな面白いことはたぶんできなかった。だから俺はそのままでいいって言ってます」
東畑開人さん(臨床心理士)
「迷惑をかける練習」をしよう
・「大人になってくると、1週間くらいでこのムカつきとか、悲しみが少しは収まってくるだろうってわかってくる。時間が癒すってことですね。一番苦しい時、ジタバタするよりは、うまく時間を使うことが大切です。僕はそれはカウンセリングの極意だと思っています。人間社会のhとんどの苦しみは人間関係で起きます。これを一瞬で解決するというのは、人の悪意を急に善意に変えるということですから。魔法使いの仕事ですよね。僕らは魔法を使えない。だから、何が人を変えるのかというと、やっぱり時間だと思うんです。ちょっと離れて距離を取るとか。第三者に入ってもらってまた1週間後に会いましょうとか。人を変えるには自分ではなく時間である、そう思うんです」
・「虐待といじめは、同じくらいに人への信頼を破壊します。例えばカウンセリングにもひきこもりや不登校の子がやってきますが、大人たちは、この子たちに成功体験があるといいなと思うわけですよね。でも、怖いから何かにチャレンジすることはなかなかできない。成功体験の前に必要なのは、なんらかの安全感信頼の回復だと思います」
・相談したり、人に助けてと言うのは最低限、ふたつのハードルがあると私は思う。
①自分自身が助けられに値する、生きるに値する人間であるという自己肯定感
②他人や社会への最低限の信頼感
・「失敗は挑戦から生まれます。勇気を出すと、失敗が一緒に生まれてくる。だけど、同時に成功もそこにはあるはずなんです。そもそも勇気を出せたことそのものが成功ですよね」
・「カウンセリングのもっとも重要なテクニックは『様子をみる』ことなんです。時間の中でどうなっていくかを、しばし一緒に見てみようってことですね。これが大事です」
「劇団雌猫」(オタク女性ユニット)
他人の決めた「意味がある」に振り回されない
・その時やらなきゃよかったと思っても、後で何かに活きることもあるから、何事も経験だなあ、と。しなくていい経験もたくさんあるけど(笑)。失敗したから人生は終わるあけでは全然ない。
・失敗したも人生は終わらない、というのは10代にぜひ伝えたいメッセージですね。
奥田知志さん(NPO法人『抱撲』
一番幸せなことは、死なない程度に「安心して」失敗できること
・失敗したっていいじゃないか。失敗してもやることに意味がある。失敗しても、カバーしてくれる人がたくさんいる。今までずっと失敗してきたけど、今助けてもらってるから、こうやって笑えてる。失敗を悔やんで何もしなかったらそれこそ前に進めないから、とりあえずやってみないと。
・先の人生は長いんだから、何をやっても無駄なことはない。それだけです。だから好きなことをしてていい。勉強するより遊んだ方がいい(笑)。何やってもむだなことはない。それだけです。
・10代の人たちへのメッセージは、月並みなことで言うと、やっぱりなるべく、多くの人に出会ってほしいです。「知らない」っていうことは、とっても大事なこと。
感想;
失敗から学ぶことはたくさんあります。
誰も失敗したくてやることはありません。でも失敗は必ずあります。
特に新しいことや難しいことをやるときには失敗はつきものです。
失敗はダメなのではなく、失敗でもうチャレンジしなくなるのがダメなんだと思います。
失敗から何か得ることができそれが次につながるとそれは失敗ではなく学びです。
エジソンは失敗しても、失敗と考えずにそれができないということが分かったと理解し、次にチャレンジし続けたそうです。
失敗を恐れて何もしない。
それが一番の大きい失敗だと思います。
山上の垂訓(マタイ福音書第5章7-8節)の下記の言葉が好きです。
求めよ、そうすれば、与えられるであろう。
捜せ、そうすれば、見いだすであろう。
門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。
すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。
⇒門を叩かないことには始まらないのです。
セミナーで医薬品製造での失敗の具体例を話しています。
多くの会社は失敗を隠します。
でもその失敗から学ぶことが多いのです。
自分だけの失敗では限られています。
他の失敗から学ぶこと、それが失敗を減らすことにもなります。
先達が失敗のことを本にしています。
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