情勢が何度も変転した大激戦、青山学院大学とのアンカー勝負を8秒差で制した駒沢大学が2連覇!
大激戦を詳細に振り返りたいのですが、そこまでの根性がないので、要点のみを記します。(敬称は略させていただきます)
1.アンカー勝負で明暗を分けたもの
駒沢から遅れること18秒での2位でタスキを受けた青学・飯田は、落ち着いて8キロかけて差を詰め並走した。
並走と言っても、やや後ろから走る力を使わずに走る有利なポジション。二人の表情や走力(5000mの記録はほぼ互角らしい)から、青学が有利と見られた。
解説者も、《青学の飯田が仕掛けて勝負を決めるか》がポイントのような解説ぶりだった。
私もそのようには思ったが、解説者ほど楽観はしていなかった。
よく、2者が並走している場合、両者の持ちタイムを重視するが、最後の1~2キロに勝負が持ち込まれた時は、19km走った後のゴール直前のスプリントやラスト500mのロングスパート力が勝負の分かれ目になる。そのスパート力は、1500mや5000mの持ちタイムではなく、ランナーの特性によるものが大きい。
ましてや駅伝のアンカー勝負で並走した場合は、知らず知らずに力んだフォームになり、普段より消耗してしまうこともある。
なので、実際どちらがラスト勝負になった場合に分があるかは、何度も同走した間柄ならそういった要素も把握できて、勝負の仕方を選択できるが、そうではない場合は、一番自分が力を発揮できる走り方を選択しなければならない。
走力(総合力)が自分の方が上の場合は、自分の上限に近いペースで走り続け、相手を消耗させるのが一番確実な方法だと考える。普段より遅いペースで走るのは、却って、普段のフォームとは違うエネルギーの無駄が生じることもある。
また、ラストに相当の自信があれば、ひたすらラスト勝負に備えて、消耗をできるだけ抑えるのが最善だろう。
今回の青学の場合は、前者の方法を取るべきだったように思う。
飯田が見かけよりも余力がなかったのかもしれないが……
駒沢のアンカー・花尾の追いつかれて並走されても、自分の走りを保ち続けたメンタルの強さと走りを讃えるべきなのだろう。
2.2区の順天堂大学・三浦の戦術に疑問
東京五輪の3000m障の入賞の実力を見せつけた三浦の走りだったが、その戦術は大いに疑問を感じた。
10位でタスキを引き継いだが、トップとの差は20秒差。追いつくのは容易に思え、実際、すぐに追いついた。
20秒差はそれほど負担ではないと思うが、それでも20秒速いペースで走ったことと、まだ、残りが長かったことを考えると、集団の中で回復を待つというのは妥当だとも言える。
しかし、力を温存しすぎで、スパートしたのは残り僅かになってから。そこから、2位(法政大)との差を一気に10秒差をつけたのは流石と言えるのかもしれない。
ただ、早稲田大(3位)には11秒差、3区にヴィンセントを擁する東京国際大(6位)に21秒差と十分な差をつけたとは言い難い。駒沢、青学にはそれぞれ45秒、1分13秒と差がついたのは、区間10位、14位と両大学が不振だっただけ。
順大の戦略としては「2区でトップに立つのは最低限で、有力チームに少なくとも30秒~1分は差をつけたかった」はず。
その差を目指して2区中盤辺りからペースを上げて走れば、各大学のランナーに無理を強いて消耗させ、何チーム化はオーバーペースを誘発しブレーキを起こさせ、何チームかを優勝争いから脱落させたかった。
テレビ朝日の解説陣は「冷静な走りだった」と高評価を与えていたが……アンカー勝負や個人レースではなく、駅伝の2区ということを考慮しないのだろうか?
順大はトップと1分22秒差の総合3位。三浦が爆走していたら、優勝のチャンスもあったはずだ。
3.なぜヴィンセントを3区に?
おそらく、参加選手最高の走力を持つ東京国際大のヴィンセント。なぜ、その彼を3区(11.9km)に配置したのだろうか?
確かに、区間2位の拓殖大のラジニに35秒差をつけ、区間3位の岸本(青学)に1分9秒もの差をつけたが、ヴィンセントを最長区間の8区(19.7km)に配置すれば、もっとタイムを稼げたはずだ。調子が悪くなければ最長区間に配置するのが合理的だ。もしかすると、他のランナーの調子がよくなく、前半で下位に沈むのを避けたかったのかもしれないが、それなら、ヴィンセントではなく丹所を3区に配置すればよかったのではないだろうか?(丹所も故障上がりで、十分ではなかったらしいが)
結局、長距離区間の7区、8区が区間6位、12位に終わり、総合5位に終わった。
4.その他の感想
・3区終了時に12位(トップと2分20秒差)の駒沢、2区終了時に14位(トップと1分13秒差)の青学。序盤、低迷した両チームがアンカー勝負を繰り広げたのは、さすがの自力だ。
・駒沢は、1区の佐藤はラストの走りのキレは抜群!。中央・吉居に競り勝ち区間賞。6区の安原の激走(区間2位)は勝因の大きな要素。5区田澤は大学長距離界のエースの走りを見せた。
・青学は3区岸本が区間3位の復活の走りを見せたのは嬉しい材料。4区高橋、5区佐藤の区間1位の快走、さらに田沢に引き離されなかった7区近藤の粘りの冷静な走りも光った。
・駒沢も鈴木芽吹の欠場などベストメンバーではなかったようだ
・青学6区の急遽の予定変更も痛かったかもしれない
・早稲田もよく走ったが、6区区間17位が痛かった。総合順位は6位。
大激戦を詳細に振り返りたいのですが、そこまでの根性がないので、要点のみを記します。(敬称は略させていただきます)
1.アンカー勝負で明暗を分けたもの
駒沢から遅れること18秒での2位でタスキを受けた青学・飯田は、落ち着いて8キロかけて差を詰め並走した。
並走と言っても、やや後ろから走る力を使わずに走る有利なポジション。二人の表情や走力(5000mの記録はほぼ互角らしい)から、青学が有利と見られた。
解説者も、《青学の飯田が仕掛けて勝負を決めるか》がポイントのような解説ぶりだった。
私もそのようには思ったが、解説者ほど楽観はしていなかった。
よく、2者が並走している場合、両者の持ちタイムを重視するが、最後の1~2キロに勝負が持ち込まれた時は、19km走った後のゴール直前のスプリントやラスト500mのロングスパート力が勝負の分かれ目になる。そのスパート力は、1500mや5000mの持ちタイムではなく、ランナーの特性によるものが大きい。
ましてや駅伝のアンカー勝負で並走した場合は、知らず知らずに力んだフォームになり、普段より消耗してしまうこともある。
なので、実際どちらがラスト勝負になった場合に分があるかは、何度も同走した間柄ならそういった要素も把握できて、勝負の仕方を選択できるが、そうではない場合は、一番自分が力を発揮できる走り方を選択しなければならない。
走力(総合力)が自分の方が上の場合は、自分の上限に近いペースで走り続け、相手を消耗させるのが一番確実な方法だと考える。普段より遅いペースで走るのは、却って、普段のフォームとは違うエネルギーの無駄が生じることもある。
また、ラストに相当の自信があれば、ひたすらラスト勝負に備えて、消耗をできるだけ抑えるのが最善だろう。
今回の青学の場合は、前者の方法を取るべきだったように思う。
飯田が見かけよりも余力がなかったのかもしれないが……
駒沢のアンカー・花尾の追いつかれて並走されても、自分の走りを保ち続けたメンタルの強さと走りを讃えるべきなのだろう。
2.2区の順天堂大学・三浦の戦術に疑問
東京五輪の3000m障の入賞の実力を見せつけた三浦の走りだったが、その戦術は大いに疑問を感じた。
10位でタスキを引き継いだが、トップとの差は20秒差。追いつくのは容易に思え、実際、すぐに追いついた。
20秒差はそれほど負担ではないと思うが、それでも20秒速いペースで走ったことと、まだ、残りが長かったことを考えると、集団の中で回復を待つというのは妥当だとも言える。
しかし、力を温存しすぎで、スパートしたのは残り僅かになってから。そこから、2位(法政大)との差を一気に10秒差をつけたのは流石と言えるのかもしれない。
ただ、早稲田大(3位)には11秒差、3区にヴィンセントを擁する東京国際大(6位)に21秒差と十分な差をつけたとは言い難い。駒沢、青学にはそれぞれ45秒、1分13秒と差がついたのは、区間10位、14位と両大学が不振だっただけ。
順大の戦略としては「2区でトップに立つのは最低限で、有力チームに少なくとも30秒~1分は差をつけたかった」はず。
その差を目指して2区中盤辺りからペースを上げて走れば、各大学のランナーに無理を強いて消耗させ、何チーム化はオーバーペースを誘発しブレーキを起こさせ、何チームかを優勝争いから脱落させたかった。
テレビ朝日の解説陣は「冷静な走りだった」と高評価を与えていたが……アンカー勝負や個人レースではなく、駅伝の2区ということを考慮しないのだろうか?
順大はトップと1分22秒差の総合3位。三浦が爆走していたら、優勝のチャンスもあったはずだ。
3.なぜヴィンセントを3区に?
おそらく、参加選手最高の走力を持つ東京国際大のヴィンセント。なぜ、その彼を3区(11.9km)に配置したのだろうか?
確かに、区間2位の拓殖大のラジニに35秒差をつけ、区間3位の岸本(青学)に1分9秒もの差をつけたが、ヴィンセントを最長区間の8区(19.7km)に配置すれば、もっとタイムを稼げたはずだ。調子が悪くなければ最長区間に配置するのが合理的だ。もしかすると、他のランナーの調子がよくなく、前半で下位に沈むのを避けたかったのかもしれないが、それなら、ヴィンセントではなく丹所を3区に配置すればよかったのではないだろうか?(丹所も故障上がりで、十分ではなかったらしいが)
結局、長距離区間の7区、8区が区間6位、12位に終わり、総合5位に終わった。
4.その他の感想
・3区終了時に12位(トップと2分20秒差)の駒沢、2区終了時に14位(トップと1分13秒差)の青学。序盤、低迷した両チームがアンカー勝負を繰り広げたのは、さすがの自力だ。
・駒沢は、1区の佐藤はラストの走りのキレは抜群!。中央・吉居に競り勝ち区間賞。6区の安原の激走(区間2位)は勝因の大きな要素。5区田澤は大学長距離界のエースの走りを見せた。
・青学は3区岸本が区間3位の復活の走りを見せたのは嬉しい材料。4区高橋、5区佐藤の区間1位の快走、さらに田沢に引き離されなかった7区近藤の粘りの冷静な走りも光った。
・駒沢も鈴木芽吹の欠場などベストメンバーではなかったようだ
・青学6区の急遽の予定変更も痛かったかもしれない
・早稲田もよく走ったが、6区区間17位が痛かった。総合順位は6位。
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