英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『出入禁止の女〜事件記者クロガネ〜』 第3話

2015-01-30 13:27:55 | ドラマ・映画
忍布のジャーナリストとしての信念、
被害者の教授・浜島朝子と共同研究者の学生・遠藤北斗との関係

などが描かれ深みのあるストーリーだったが、
その信念が自己中心的で共感はできず、事件の真相も雑で残念なモノだった


浜島教授の転落死
アルツハイマー病を根治できる新たな酵素を発見したと華々しく発表した。だが、その後すでに海外で発見されていた物質と同一のものと発覚、研究者にあるまじきミスと激しいバッシングを受けていた。ほどなく世間の興味は薄れ、騒動はおさまったが、忍布だけはある疑問を抱き、彼女への取材を続けていた


                        …………という状況だった

忍布の信念
①捜査一課・二宮警部補の問いかけ
「3か月も経つと世間の興味は薄れ教授の生活も落ち着きを取り戻していた。
 だがお前だけが、治りかけた傷口を押し広げるような無神経なお前の取材攻勢が、彼女を追い詰めていったんだ」
対する忍布の主張
「そう遺書に書いてあったのか?
 (遺書はなかった)……あたしのせいとは限らないんじゃない

②しつこく教授を取材していたことが露見し、マスコミから追い回される
 忍は逃げる

③忍が教授をしつこく取材した理由
 慎重過ぎる教授が急いで結果を出そうとして失敗をした理由が知りたかった

④教授の失敗の真相を記事にせよという古林デスクに対して
「死者のプライバシーに関わることだから、記事にしない」
 デスク「散々教授に付きまとって追いつめておきながら、プライバシーも何もないでしょう!」
    「あんた首よ」
 忍布「やっぱりそう来るかぁ」
 デスク「当たり前でしょ!会社に甚大な被害をもたらした問題児。他の新聞社だって雇いはしないわよ。
     あんたの“ブンヤ”生命は終わったの。最後の餞に記事を書かせてやると言ってやってんのに」
 忍布「結構です。私は書かない!」

⑤週刊誌の記者の「なんで謝らないか?」という糾弾に対して
「新聞社を首になったことで、責任を取ったつもりですか?
 あなたの強引な取材のせいで教授は自殺した。なのに謝罪の言葉もない。
 なんで謝らないんですか?≪自分は悪くない≫とでも思ってるんですか?」
忍布「あなたは今、≪悪いことしてるなぁ≫と思いながらあたしを取材してる?
   思ってないでしょ。取材対象者がいれば、食らいつく。それがブンヤの本能。
   世間から見れば、恐ろしく非常識な行動でも、本能には逆らえない。
   あんたも私も“同じ穴のムジナ”ってことよ」


確かに
 真実の追及、死者のプライバシー、ブンヤの本能という忍布の主張は理解できるが、
 ①自殺の原因が自分にあるのかどうかが問題であるという態度、②追及される立場になると逃げ、
 ④死者のプライバシーだけ尊重する理屈、そして⑤悪いことをしているかどうかではなく、ブンヤの本能に従うという主張には、まったく共感できない。
 特に、悪いことをしているかを考えない取材態度は糾弾されるべきである。

 自分に非があるかどうかは別にして、亡くなった教授に対して手を合わせるとか焼香するという気持ちにはならないのは、人間としてどうなのだろうか?
   


雑な事件の真相(真犯人)
 犯人は教授の夫の浮気相手の岡村仁美だった。
 教授の夫から妻の酵素発見の情報を知り、関連会社の株を買いあさり、発見が勇み足が判明して大暴落してしまったことによる恨みと、教授が死ねば自分が妻の座に座れるという浅はかな動機だった。

 借金を解消するため株を買いあさったのなら、株価が上がった時点で売ると思うのだが。
 しかも、株価が暴落して3か月も経ってから妻を殺害するのはおかしい。まるで、忍布が窮地に陥るタイミングを見計らっていたかのようだ。


捜査もザル
 遺書もないし、発作的に突き落とした状況なのに、自殺が有力と見るのはどうか?
 科捜研のマリコや特命係の右京や鑑識課の米沢さんでなくても、突き落とされた現場も痕跡、落下地点や遺体の状況、死亡時の服装などから不審に思うはずである。
 刑事ではなく、記者が主人公なのでやむを得ないのかもしれない。


 事件の構造は面白いが、主人公に共感できないのが、このドラマの痛いところ。
 突っ込みどころが多いという理由で、視聴継続を決定した私も性格が悪いです。



【ストーリー】番組サイトより
 京南大学医学部教授の浜嶋朝子(渡辺梓)が、大学構内で転落死体となって見つかった。状況から自殺と思われ、夫でホテルチェーン社長の亮輔(大河内浩)は、妻が自殺したのは京都タイムス社会部記者・鉄 忍布(観月ありさ)がしつこくつきまとったせいだと証言。「あの女が朝子を殺した!」と怒りをあらわにする。
 実は、朝子は半年前、ヒトの脳内神経細胞の中にアルツハイマー病を根治できる新たな酵素を発見したと華々しく発表した。だが、その後すでに海外で発見されていた物質と同一のものと発覚、研究者にあるまじきミスと激しいバッシングを受けていた。ほどなく世間の興味は薄れ、騒動はおさまったが、忍布だけはある疑問を抱き、彼女への取材を続けていたのだ。

 すぐにライバル紙やワイドショーが、朝子を自殺に追い込んだ原因は忍布の執拗な取材だと報じ、忍布は自宅に帰ることができないほど記者たちに追いかけられる。
 しかも怒りがおさまらない亮輔は、京都タイムスとの大口購読契約をキャンセル。大学の記者クラブ担当記者・加瀬達夫(小林健)からは責任を問われ、オーナーの磯村憲吉(小林稔侍)からもプレッシャーをかけられた社会部デスク・古林千華子(財前直見)はイライラ! 忍布に対し、朝子の自殺の原因はほかに存在するという記事を書いて挽回するよう命じる。
 ところが、忍布は死者のプライバシーに関わるため記事は書かないと拒否。苛立つ千華子は忍布に京都タイムスへの“出入禁止”を言い渡すと共に、自ら大学に出向いて取材。忍布が、朝子と共同研究者である学生・遠藤北斗(細田善彦)の密かな関係をつかんでいたことを知るが…!?

監督:藤岡浩二郎
脚本:真部千晶

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