英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『MONSTERS』 第1話

2012-10-23 15:14:51 | ドラマ・映画
 初回2時間スペシャルだが、長く感じた。
 事件自体は2時間に引っ張るべきものではなく、かといって登場人物(特に主人公)にも魅力を感じないので、却って、ストレスを感じただけであった。

 まず、主人公の平塚平八 (香取慎吾)だが、頭は切れるが変わり者という設定だが、その性格は、へりくだった態度を取りながら、その実、人をおちょくっているというつき合いたくないタイプ。
 古畑任三郎に少し杉下右京をブレンドさせ、若さとへりくだり度を加味したイメージだ。この例えは、くうさん(『ドラマ@見取り八段・実0段』レビュー記事「平八のキャラは、右京さんだったり古畑任三郎だったり…掴みどころがなく…とにかく既視感でいっぱい」とおっしゃっていて、私ともろかぶり。もちろん、くうさんの記事が先。と言っても、私も真似をしたわけでなく、たまたま同じ印象を持ったわけなのですが、これは「たまたま」という性質のものではなく、多くの視聴者が感じたことなのかもしれない。

 とにかく、そんな迷惑なキャラの主人公に振り回される助手(監視役)の西園寺公輔 (山下智久)を始めとする登場人物たち。西園寺はほんと気の毒なくらい被害を被るが、視聴者も彼ほどではないがフラストレーションを感じたのではないだろうか。
 この平八一人きりの「平塚班」もまさに『相棒』の「特命係」と同じポジション。「人材の墓場」という意味では、平塚班の方が濃いかもしれない。
 あと一課の刑事の金田一もキャラが立ち過ぎで、あそこまで抜けた感じにしなくとも、単に馬鹿正直という設定でいいのではないだろうか。

 肝心な事件についても、2時間スペシャルとしては物足りなかったが、凶器の偽装工作の真の目的が、美術品が贋作であることを隠すためというのは、必然性があって良かった。
 また、平八がケーキをすり替え、犯人が妻であるという動かぬ証拠にしたのは見事な理屈だった。確かに、言い逃れできないなあ。
 しかし、妻が毒を盛られたと偽装するのに、わざわざ別のケーキを用意したのは必然性が全くないように思えた。同じケーキを使用した方が信憑性がが高い。
 これは、現場にケーキをくるんでいたパラフィン(セロハン?)がないという犯人のミスを作るための行為にしか思えない。

 被害者役の団時朗さん、『相棒』の初回スペシャルでも被害者役だった。ダンディだが、悪徳社長役が多いです。『帰ってきたウルトラマン』の主人公・郷秀樹役(なんて安易な役名←帰ってきたウルトラマンの方が郷ひろみ、西城秀樹より1年早かったです。)を演じられましたが、『(初代)ウルトラマン』の黒部進さん、『ウルトラセブン』の森次晃嗣さんもダンディです。

【ストーリー】番組サイトより
 警視庁イチの変わり者・平塚平八 (香取慎吾) はその性格ゆえ、たった一人の班である「平塚班」として行動している捜査一課の刑事。周囲から嫌われ者として扱われているが、次々と難事件を解決していた。
 そんな平八をよく思わない捜査一課の面々は、常々彼の活躍に疑問を抱き、その陰には何らかの不正があると考えていた。

 そんな捜査一課に、所轄の警察官を経て刑事としてのテストを受けることが許された 西園寺公輔 (山下智久) が訪れる。西園寺が捜査一課長室に足を踏み入れると、そこにいたのは平八だった。平八を課長と勘違いしてしまった西園寺は、初日から平八に騙され、捜査一課長・剣持 (大竹まこと) と平八をライバル視する刑事・金田 (遠藤憲一) に説教される。 慌てる西園寺に剣持と金田が言い渡したテストの内容は、平八の部下のふりをして24時間監視し、その行動を逐一報告することだった!

 こうしてコンビを組むことになった平八と西園寺。最初の事件は財界にその名を轟かせる企業グループの会長・徳平國男 (団時朗) 殺人事件。
 犯行は会長の部屋で行われ、真っ先に犯人として疑われたのは、社長を務める長男の 伸一郎 (岡田義徳) だった。伸一郎はカジノで80億円の借金を作り、子会社にその穴埋めをさせていたことを会長に問い詰められており、動機は十分ある。さらに、事件後に行方をくらませたのだ。
 会長の部屋に出入りできたのは、会長の妻・洋子 (高島礼子) と長男・伸一郎、長女・麻美 (加藤夏希)、そして専務の 西崎達三 (武田鉄矢) と家政婦の 内田和枝 (角替和枝)。犯人はこの中の誰かで間違いない。

 そこで平八は犯行に使用された凶器に目を付け、犯人にあるワナを仕掛ける。事件に対して真摯にぶつかっていく西園寺もまた、平八に翻弄されながらも、事件を解くカギへと導かれていく。
 果たして、平八と西園寺は犯人を追い詰める事ができるのか !?
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『平清盛』 第41話「賽の目の行方」

2012-10-21 20:47:24 | ドラマ・映画
「爪切り、見せてちょ~だい」

 髭切の太刀……「源氏の強さを示す」、「武士の世を創る」という源氏の誇りを示す象徴
 「立ち上がれ、源氏!」 「明日は変えられる、明日を変えるは今日ぞ!」


 滋子の死により、徐々に亀裂が深まっていく清盛と後白河院。

「さては、次は如何なる賽の目が出るか」
「遊びをせんとや~♪」


 「人生は筋書きのない双六のようなもの」というのは分かるが、それを強調し過ぎると、見ている側は興ざめしてしまう。
 とは言え、比叡山を利用して西光の息子たちを陥れた清盛、また、そのことを見透かした後白河院、そのふたりの双六の如き駆け引きは面白かった。

 後白河院に遣え尽くした上で、平家の繁栄を目指していた重盛は、清盛に駒のごとく扱われ可哀そう。

 今回、後白河院、西光、成親をやり込めたが、この件で後白河院、西光、成親、そして、東国の武士や民などの平家に対する敵対心を高めてしまった。
 局地的な面(後白河院との権力争い)しか目を向けず、大局を見る目を失いつつある清盛、駒得など目先しか見えないヘボ将棋のようだった。
 しかし、実際はその後白河院の次なる動きをも読んでの今回の仕掛けだったのかも。

 

【ストーリー】番組サイトより
 滋子(成海璃子)の急死は、後白河法皇(松田翔太)と清盛(松山ケンイチ)の関係を大きく変えた。
 1177年、後白河法皇は福原を訪ね、「もうここへは来ない」と清盛に告げる。あからさまに平家を冷遇し始める法皇に警戒心を強める清盛は、娘・徳子(二階堂ふみ)が早く皇子を産むことを願う一方、延暦寺の明雲(腹筋善之介)と連携を深める。
 しばらくして、明雲たちが法皇の近臣・西光(加藤虎ノ介)の息子の流罪を求めて強訴を起こした。動揺する法皇を、清盛は見捨てるように静観する。
 一方、伊豆では、頼朝(岡田将生)に恋心を抱き始めた政子(杏)に、縁談話が舞い込む。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『結婚しない』 第1話 (今更ながら…)

2012-10-20 23:17:22 | ドラマ・映画
 ようやく第1話を観ました。『TOKYOエアポート 東京空港管制保安部』、『捜査地図の女も』もまだ未見。

 天海祐希さんは相変わらずスーパーウーマンぶり、玉木宏も相変わらずキラキラしているし、菅野美穂も面白い。小市慢太郎も味があるし、石橋凌も渋い(少しふくよか過ぎ?)。(市川実和子と福田彩乃はちょっと苦手かな)
 初回の田中千春の(菅野美穂)の結婚願望の痛さはきついなあ。久保裕司(袴田吉彦)の思わせぶりはひど過ぎる。中村俊介と共に冒頭だけ?
 桐島春子(天海祐希)の会社の方針も訳が分からない。何も落ち度がないのに、結婚していないというだけで出向(左遷)て理不尽過ぎ。不倫関係だった上司・樋口亨(石橋凌)にとって、窮屈な存在だから?
 工藤純平(玉木宏)は控えめ過ぎの性格と思ったら、32歳でアルバイト。

 結婚の必要性を感じない女、結婚したいけれどできない女、自分に自信がなく他人の人生を背負うなんて出来るわけない男が出会い、影響しあいながら変わっていくんだろうなあ。
 ちょっと、玉木宏のイメージに合わないけれど、『鹿男あをによし』の時もそうだったけれど、すぐに違和感がなくなったっけ。

 面白くなりそうな気がするが、テーマがもろに「結婚」なので、観るには普段とは違うエネルギーが要りそう。う~ん、どうしようか?……
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『将棋世界』8月号 実戦に役立つ5手7手詰 その2

2012-10-20 21:36:45 | 詰将棋

小気味良い作品です。


パズルのようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『相棒 eleven』 第2話「オークション」

2012-10-19 22:24:04 | ドラマ・映画
 オークションの緊張感や捻ったオチなど面白いはずなのだが、設定やストーリー展開に疑問や無理を感じて、そちらの方が気になってしまった。

1.クレメンスの腕……まったく欲しいと思えなかった
 配色も趣味が悪くて、ガラクタにしか見えない。

2.リスクが大き過ぎる小細工
 話題になって落札価格をつり上げようとした遺失物の狂言だったが、タクシーを選ぶ必要なこと、1000万円の価値のオークション品を置き忘れるなどの不自然さなど警察や世間の目を注意する必要性、協力者の裏切り(脅し)などを考えるとリスクが大き過ぎ。
 そもそも、オークションの出品物を置き忘れるというのは大失態である。信用失墜もいいところだ。

3.川浪がジャズ評論家・盛谷に買い戻すよう頼んだ意図が分からない
 盛谷が買い取りに成功したとしたとしても、他者に落札される危険性があるオークションに出すことを許すとは思えない。あれほどクレメンスの腕を欲しがっていたのだから。
 私の頭が悪いのか川浪の意図が理解できず、それが気になって仕方がなかった。


 それはともかく、
オークションのシーンと犯人究明のシーンは面白かった

「そんなお金、ないでしょう」
「マンションを売ればなんとかなるだろう」
「…えっ、私の?!じょ、冗談じゃなぃ…」
「必ず返すから。最後は退職金から何から掻き集めて絶対払う」
「えぇぇぇぇ…」
 気の毒な彼女。
 クレメンスの腕が欲しくて必死の盛谷と、享の無謀な行動にハラハラ顔の彼女の表情が面白くさらに、右京の颯爽とした乱入ぶりなど、非常に面白かった。
 また、享のやんちゃな性格はあまり好きになれなかったが、このシーンは享の正義感と律義さが出ていて面白かった。単なる無謀なハッタリではなく、返済まで考えていて、返済能力を超えた額まで行ったら引き下がるのは、けっこう真面目である。
 まあ、あそこで引き下がらないと右京の出番がないが。
(落札されても、礼状が取れればOKのように思えるが…)


 犯人追及シーンで、血痕を調べるためクレメンスの腕に試薬を吹きつけようとした時の反応で、偽物と知っていた坂巻社長と富塚は無反応、本物だと思っていた盛谷と川浪は慌てて止めようとする。
 ここで、犯行の突発性にもかかわらず指紋が残っていなかった(手袋を用意していた)という相反する状況を述べ、富沢に疑いが……
 ところが、実は出品されたクレメンスの腕はさらに(殺人の)真犯人によって本物とすり替えられていた。
 試薬を吹きつけるのを止めようとする同じ行為をした川浪と盛谷であったが、その内情はまったく違っていた。あれだけ腕を欲していた盛谷が、激情のあまり本物と気づかずに壊そうとしたのもピエロだ。

 動機はオークションに偽物を出すのが耐えられなかったというプロ意識だったが、大切な美術品を血で汚してしまった。美術品のプロとしては失格、さらに、人間失格であった。



「お前の魂胆は分かっている。警察庁次長の息子を人質にしておけば、またお前が何かしでかしても、特命係への処分は甘くせざるを得ないという姑息な計算だろう」
得意気に語る刑事部長だったが……
「そのようなことは露ほども考えていませんでしたが、言われてみれば…なるほど……なるほど」
「……ああぁ!」
「…ちょっと待てぇ!」


このやり取りが、一番面白かった。「姑息」の使い方がおかしいような気がするが……

【ストーリー】番組サイトより
 一流オークションハウス「ホワイトグラブズ」の代表取締役、坂巻百合子(岡まゆみ)からジャズピアニストのエド・クレメンスの腕を探してほしいという依頼が先日まで享が所属していた中根署・捜査一係に舞い込んだ。腕と言っても70年代にアメリカジャズ界を席巻、夭折したクレメンスが、自らの腕をかたどり作成された石膏製のもの。しかし、百合子によると5日後のオークションの目玉になるほどの貴重なものだという。
 扱いに困った一係の堀江(山口良一)は、元部下の甲斐享(成宮寛貴)に押し付けてしまうが、困った享は百合子にマスコミに呼びかけてみては、と提案。百合子もあっさりと同意する。

 数日後、新聞やテレビなどでは連日クレメンスの腕紛失事件を報道。おかげで当初は1000万円だった予想落札価格も3000万円に急騰したとか。そんな折、特命係に腕が見つかったという連絡が入る。

 クレメンスの腕を巡る複雑な人間関係に翻弄されつつも真相に迫る享。
 それらに疑問を呈しながらも、絡み合った糸を解きほぐしていく右京。はたして犯人は?

ゲスト: 岡まゆみ 藤木孝

脚本:戸田山雅司
監督:近藤俊明
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

将棋界(順位戦)の歪み その2 「昇級争いにおける対戦相手の分析とC級2組の実力分布の偏り」

2012-10-17 23:50:16 | 将棋
将棋界(順位戦)の歪み その1の続きです。

 前記事で、「弱い者は去れ」という勝負の掟が適応されていない緩やかな将棋界の現状とその是正案(引退基準)を述べたいと結んだが、その前に、

「この四者の対局相手を調べてみると、阿部五段が10人中3人が3勝7敗以下棋士、中村五段はなんと7人が3勝以下、船江四段は3勝以下は2人、菅井五段は3勝以下が3人。また、対局相手の総勝ち数は、阿部五段が43勝、中村五段が34勝、船江四段が50勝、菅井五段は52勝とかなり難敵度に差がある。特に中村五段は対戦相手に恵まれていたと言える。(もちろん、棋聖に挑戦した氏であるので、くじ運だけで昇級したわけではないのは自明)
 くじの悪戯と言ってしまえばいいのかもしれないが、こういう状況は他の年度や他のクラスでも頻繁に起こっているように思える」

 
と、前期のC級2組の対戦相手の状況を述べたが、この現象(対戦相手の運不運)はリーグ内の実力が均一の場合でも起こり得るもので、前回の分析は甘かったと言わざるを得ない。
 で、もう少し前期のC級2組について分析してみたい。


 今回は順位戦の成績ではなく、対戦相手の昨年度の勝率を調べる。
 昨年度の勝率が4割未満であった対戦相手は、
阿部(健)五段は2人(.333未満はなし、.333が1人)
中村(太)五段は4人(内2人が.333未満、)
船江四段は   1人(.333未満はなし、.333が1人)
菅井五段は   2人(内1人が.333未満)
 やはり中村五段が対戦相手に恵まれていた。しかも、4割未満の4人は7戦目以降に偏っている。
 ちなみに、6割以上の対戦相手は
阿部(健)五段は1人(.667以上はなし)
中村(太)五段は2人(.667以上はなし、1人は6割ジャスト)
船江四段は   1人(相手は菅井五段で.735)
菅井五段は   5人(船江四段が.727、大石四段が.681)

 菅井五段は対戦相手がきつい相手が並んでおり、中村五段は恵まれていたと言ってよいだろう。

 44人の大所帯なのに10局しか行わないため、運の差による不公平な上状態が生じてしまうと考えられる。昇級を争った4人で直接対局は船江×菅井戦だけ。
 しかし、原因はこれだけではない。もっと、根本的な問題がある。
 それは、44人の実力のばらつきが大きいことである。


 44人の昨年度の勝率の分布を調べると、
①.667(2勝1敗ペース)以上…… 6人(14%)
②.600以上~.677未満   …… 7人(16%)
③.400以上~.600未満   ……21人(45%)
④.333以上~.400未満   …… 6人(14%)
⑤.333(1勝2敗ペース)未満…… 4人( 9%)

 これを①…2点、②…1点、③…0点、④…-1点、⑤…-2点とすると
阿部五段は -1点
中村五段は -4点
船江四段は +1点
菅井五段は +4点
 かなりの差が生じている。しかも、これは大雑把に分割して算出したものであるので、実際にはもっと差が生じていると考えられる。

 ①の棋士の平均勝率は.728、⑤の棋士の平均勝率は.248。これだけの実力差が同じ組にかなりの割合で存在している。このことが、C級2組における運不運(不公平)を生じる要因である。

【補足】
 わかりやすいように、具体的に対戦相手の勝率を記すと

中村五段は、及川.472 矢倉.500 中村亮.517 牧野.625 中座.400 佐藤紳.600 上野.333 室岡.217 岡崎.250 伊奈.357……平均.427

菅井五段は、中座.400 大石.681 船江.727 佐々木.650 上野.333 長岡.393 阿部光.641 横山.649 阪口.517 吉田.500……平均.549

 勝率の差は.122。数字にすると1割2分の差でピンとこないが、分かりやすく対戦相手を色分けすると、

中村五段は、及川.472 矢倉.500 中村亮.517 牧野.625 中座.400 佐藤紳.600 上野.333 室岡.217 岡崎.250 伊奈.357……平均.427

菅井五段は、中座.400 大石.681 船江.727 佐々木.650 上野.333 長岡.393 阿部光.641 横山.649 阪口.517 吉田.500……平均.549

 太い赤字は難敵(船江は超難敵)、赤字は手強い相手、太い青字と青字は数字を見てご推察ください。
 このメンバー相手に9勝1敗の好成績を上げ、更に順位も6位と好位置だったのに昇級できなかった菅井五段は本当に運がなかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その7

2012-10-16 20:51:32 | 将棋
今日の記事は、私が厚みや中段玉が好きということ、羽生ファンということで、後手寄りの気持ちで将棋を見ているということをご理解ください。

【参考記事】
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その6」(10月15日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その5」(10月7日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その4」(10月6日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その3 ~第17期竜王戦第7局と同一~」(10月1日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その2」(9月30日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その1【追記あり】」(9月26日記事)


【以下中継サイトより】
△6四同銀に▲5四角とさばく狙い。控室の形勢判断は先手優勢に傾いている。
「△6四同銀▲5四角はまずいので△4五金と角を取るしかないと思いますが、▲6三歩成△同金▲6五銀(第8図)で6~7筋の攻めが厳しいです。こちら側から攻める展開になると2二のと金が生きてきますし、先手玉は2枚の金が非常に堅い。もうこれは先手勝勢に近いと思います」(飯塚祐紀七段)
【引用終】

 第8図が先手有利かもしれませんが、「先手勝勢」と言うのは早計だと思っていた。持ち駒は多いが、小駒だけで後手玉を寄せきるにはもう一苦労が必要だと。
 図で先手から6四に歩を打たれては持たないので、△6四歩▲7四銀は必然。ここで受け棋風の者なら△7三歩▲6三銀成△同玉とすっきりさせたいところだが、△7三歩の瞬間に▲6一銀を利かされて、それこそ敗勢。
 で、玉の逃げ道を作りながら飛車取りの△3六桂と攻防の一着。対して谷川九段も飛車を逃げず▲3七桂と金取りで切り返す。飛車を取られても▲4五桂と金を取って詰めろになる。
 そこで、一旦△3五金とかわす。(第9図)


 ここで▲4六飛とズバッと切るの寄せがあったようだ。
【中継サイトより】
▲4六飛△同金▲4五桂打の光速の寄せで、先手の勝ちと結論された。▲4五桂打に△4四角で難解だが▲6三銀成△同玉▲7四銀△7二玉▲6三金△6一玉▲6二銀(変化図3)△同角▲同金△同玉▲6三歩△5二玉▲5三角(変化図4)と進む。後手玉は▲6二歩成△4一玉▲3一とまでの詰めろで、△5一金などで受けても▲6四角成が手厚く、「これは一手一手で負けでしょうね」と羽生。【引用終】

 まさに「光速の寄せ」で、谷川九段がこれを逃したのは皮肉だ。
 確かに変化図は先手の勝ちだが、私が疑問に感じたのは、第9図(再掲載)の

△3五金で△5五金はなかったのか。

 この手は私の第一感の手なので、確信は全くないが、光速の寄せの▲4六飛には△同馬と取れ4五の地点に2枚利かせれば▲4五桂打もない。
 △5五金には▲5六歩が心配だが、△7四金▲同歩△4八桂成▲5五歩△5八桂成でどうか?と思ったが、△5五金に対しては▲6一銀△5三玉▲6三銀成△同玉▲4九飛とされると、▲7四銀を含みに▲5四歩と突かれる手が残り後手が苦しい。4六の桂が動くと▲4三飛成があるのも辛い。

 それはともかく、第9図より▲6三銀成△同玉▲4九飛も先手が残していたようで、「先手勝勢の見解は変わらないものの、検討はまだ続いている。そう簡単ではないようだ」とのこと。
 問題はその後の△8六歩(第10図)の局面だった。

 この手に対し、「▲8六同歩△8七歩に▲7四銀△5三玉▲3二と(変化図6)なら先手の勝ちだった。△8八飛には▲7七玉とかわして先手玉は寄らない」(中継サイト解説より)

 ただこの解説には疑問がある。▲8六同歩に△8七歩としても放置されて先手玉が寄らないのなら△8七歩ではなく他の手を考えていそうなものだ。
 私は△8六歩では△5五角(変化図5)を考えていた(△8六歩▲同歩を利かす方が良いかもしれない)。

 もしこの手に先手が受けるのなら△2二角とと金を抜いて頑張ろうという手である。ただ、△5五角に手を抜いて▲3二ととする手が成立するか定かではない(わかりません)。
 この辺りの変化を考えていて思ったことは、実戦では単に▲6三銀成としたが、▲6一銀△5三玉を入れてから▲6三銀成とした方が得だったような気がする。

 実戦は第10図の△8六歩に手抜きで▲7四銀△5三玉▲3二ととしたため、△8七歩成▲同玉△8六歩▲同玉△8五歩▲同銀△6五角(第11図)となり

 急転直下の逆転劇となってしまった。(以下14手指し継いだが、勝負所はなかった)

 これで羽生二冠は3連勝、谷川九段は1勝2敗(この後三浦八段に敗れ1勝3敗)となり、降級争いに沈むことになった。今期は星が偏っており、挑戦権争いは4勝0敗の三浦八段、3勝0敗の羽生三冠、佐藤王将、2勝1敗の渡辺竜王、屋敷九段。降級争いは1勝2敗の深浦九段、1勝3敗の谷川九段、郷田棋王、0勝3敗の高橋九段、橋本八段と両極に分かれてしまっている。ただ、渡辺竜王、屋敷九段、深浦九段は次局で2勝2敗とと中間の立場となる可能性もある。
 現在3連敗の高橋九段(対渡辺戦)と橋本八段(対深浦戦)は負けられない1局である。 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宮部みゆきミステリー『パーフェクトブルー』 第2話

2012-10-15 23:56:53 | ドラマ・映画
 初回があまりの出来だったので、今回はまともに感じた。
 でも、良く良く考えると、やはり………。

やはり、ずけずけと入り込んでくるヒロイン・加代子(瀧本美織)
・当たり前のように検証現場や警察署内に入り込んで、事件情報を悪びれることなく訊ねる
 べらべら情報を漏えいする藤永刑事(渡辺哲)も問題だ。
・単なる噂や想像の域をでない聞き込み情報を鵜呑みにして、動物虐待犯を絞り込み、徹底マークし、不用意に近づき話しかける。
 マスター(寺脇康文)の他の可能性もあるというせっかくのアドバイスもスルー(無視)
 犯行の曜日や時刻、場所や凶器など分析することはたくさんあったはず

・佳境に入ると、完全に単独行動。犯人など当事者と相対し、追求や説得などして、盛り上がるというのは、このドラマのお約束なのだろうか?

警察は最初だけ?
 だらだら情報を漏えいするのも困ったものだが、一連のホームレス狩りと藤堂治夫(住田隆)の傷害致死事件との区別ぐらいつけて欲しい。
 ここの警察って、先週も最初だけしか登場しなかった気がする。

その他の感想や突っ込み
①公久(平岡拓真)の父を思う気持ち、特に智之(根岸泰樹)が父・前島文成(山崎一)を庇うのを見て、振り上げたナイフを下ろすシーンは良かった
②「そんなことも分からないのか」と言われて切れた前島だったが、本当に「そんなことも分からないのか」という言葉を浴びせたくなるような人物だった
③同じ公園で同時刻に、親子で動物虐待と傷害致死事件を犯してしまうって……
④猫ってそんなに簡単に捕まらないと思う


【ストーリー】番組サイトより
 蓮見加代子(瀧本美織)がマサ(犬)を散歩に連れて行く水上公園で、深夜に1人のホームレス風の男がゴルフクラブを持った人物に襲われた。襲われた男は逃げる拍子に転び、打ち所が悪くそのまま帰らぬ人となってしまう。
 その光景を、離れた場所から手に血まみれのナイフを持った影が目撃していた。
 翌朝、加代子はマサと共に警察の現場検証に遭遇する。
 しかし、マサの興味は現場検証とは別の木陰。無理やり加代子がマサに連れられて訪れた木陰には、猫の無残な遺体があった。
加代子は現場検証に立ち会っていた刑事の藤永(渡辺哲)と宮本(水上剣星)に、このところ頻繁に起こっている動物虐待事件を訴えるが、ひところ騒がれたホームレス狩り事件と思われる捜査にやっきの警察は取り合おうとすらしなかった。
 そんな折、蓮見探偵事務所に「家出した息子・穣太郎を探して欲しい」との依頼者・生駒澄子(吉田幸矢)がやってきた。
 話を聞くと穣太郎とは、澄子が息子のように育てているペットの猫。
 加代子は澄子が持っていた穣太郎の写真で、動物虐待被害の猫と断定。
 澄子の強い要望もあり、犯人を見つけ出す調査依頼を受けることになった。
 調査を進める中で、夜中にいつも出歩いている中学2年生・藤堂公久(平岡拓真)の名前が上がり、張り込みで公久の行動を探ることになる。
 一方、ホームレス狩りの被害にあった男は、藤堂治夫(住田隆)・無職だとテレビのニュースで知った加代子と蓮見探偵事務の面々は、ホームレス狩り事件との関係を睨み、慎重に調査を進めることになる。
 藤永刑事の話から、公久は複雑な家庭環境だと聞かされた加代子は更に深く事件へと関わることになる。
 しかし、公久がホームレス狩りの参考人として警察で事情聴取を受けている最中に動物虐待事件が起こり、加代子の調査は振り出しとなってしまう。
 人間の大人たちの思惑と事情で振舞わされる子供たちと、ペットたち。
「動物も、人も同じ命を持っている」という加代子の信念が、真犯人の謎解明と、荒んだ犯人の心にジンと染み渡る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その6

2012-10-15 17:50:31 | 将棋
 前記事から1週間以上過ぎ、数少ない読者さんも忘れてしまっているかもしれません。

【参考記事】
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その5」(10月7日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その4」(10月6日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その3 ~第17期竜王戦第7局と同一~」(10月1日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その2」(9月30日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その1【追記あり】」(9月26日記事)

私も忘れているので(笑)、前記事の最終部分を引用します。

 ここまで進むと、先手の左翼の壁になっていた金銀が働き玉も5七の薄みから逃れ安定したのに対し、後手玉は6、7筋の薄みが気になる。駒損の後手の主張点がなくなりつつあるように思える。△4四桂の狙いの半分の△5六桂打の狙いも消えている。【引用終】

 そこで後手も陣形を立て直しつつ先手の攻めに備え△6三銀。以下▲6五歩△同歩▲7五歩とちょっかいを出されると、左半分の勢力は先手が金銀プラス潜在的に8九の桂と4五の角なのに対し、後手はほとんど銀1枚と言ってよい。そこで、△6二金と応援を繰り出すが、遅れている感じがする。
 戻って第6図、感想戦で
△7六歩▲同銀△7七歩▲同桂△7五歩▲同銀△7六歩の攻めは「いかにも無理そうですが、やってみると案外難しかったですか」と羽生。(中継サイトより)

 確かに普通なら「藪をつついて蛇(銀、桂)を出す」ような手順だが、2四の馬が5七に利いているのが大きい。こう進むのなら本譜より良さそうだ。

 実戦は第6図より、△6三銀▲6五歩△同歩▲7五歩△6二金に▲7六桂。
 ▲7六桂は次に▲6四歩の狙いだがこれが受けにくい。△7二桂のような受け一方の手では、▲7四銀など嵩にかかって攻められる。また、△6六桂と打ってみても、▲8八玉とかわされると却って寄らなくなる。


 どうするのかと見ていると△6四桂(第7図)

 この手は見えなかった。いや、ちらっと考えたが▲6四同桂△同銀と進んだ場合、▲7六桂と打つ前の局面(第七図の2手前)で▲6四歩△同銀とした場合とは1歩違う。つまり歩を使わないで銀頭を叩けたことになるので、ばかばかしく思えたのである。
 しかし、先手から▲6四歩と打たれるのを防ぎつつ先手にプレッシャーを与えられる(後手から△7六桂と動ける)△6四桂は指されてみれば当然の一手だった。
 しかも、この手に▲6四同桂△同銀▲5四角とするのは△5六歩があり難しいとのこと。

 第7図での次の一手の▲5八金が、流石谷川九段という手。後手から△7六桂▲同銀と桂を手にされ、▲6六桂や▲4六桂の両取りに掛かりにいったような手だが、遊んでいた金なので桂との交換ならありがたいというのだ。
 ここで△3四金や△7六桂▲同銀に△6六桂、△3四金、△3五馬などいろいろあったようだが、羽生二冠は△7六桂▲同銀△4六桂とこちらから両取りを掛ける。しかし、手順に▲6八金と4九に居た金を寄せられ、さらに遊んでいた3八の銀に働きかけるのでは調子がおかしい。ただ、後の展開を見ると、この桂打ちは先手の飛車を抑えておくのが目的であったように思える。
 羽生二冠は銀を取らず△3四金と遊び金を活用。谷川九段も角を逃げるはずがなく、▲6四歩と急所に歩を放つ。

【以下中継サイトより】
△6四同銀に▲5四角とさばく狙い。控室の形勢判断は先手優勢に傾いている。
「△6四同銀▲5四角はまずいので△4五金と角を取るしかないと思いますが、▲6三歩成△同金▲6五銀で6~7筋の攻めが厳しいです。こちら側から攻める展開になると2二のと金が生きてきますし、先手玉は2枚の金が非常に堅い。もうこれは先手勝勢に近いと思います」(飯塚祐紀七段)
【引用終】

 ≪えっ、これで先手勝勢なの?≫
 この解説通りに△4五金▲6三歩成△同金▲6五銀(第8図)と実戦も進むが、


 先手も小駒だけの攻め(4八の飛車はまだ眠ったまま。起きる可能性は大)なので、後手玉を仕留めるのはまだまだ大変そう(私の寄せが弱いので、後手玉の寄りが見えていないだけかもしれない)だし、後手の中途半端だった3三の金が4五まで進出して、中央の厚みになりそうだし、先手の4五の角を消すことができた。
 少し前より後手の方がポイントを上げているように私には思えるが、どうなのだろう?
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『平清盛』 第40話「はかなき歌」

2012-10-14 17:20:06 | ドラマ・映画
清盛と後白河院のかけ橋
「清盛と後白河院、二人の権力者の均衡は滋子によってかろうじて保たれていたのです」


 まず、≪えっ、そうだったの?≫が2題。
 冒頭のナレーション、確かに「滋子の心は滋子のモノ」と言い切る自由奔放ぶり。後白河院に惚れ、後白河院の心を射止め、平家と後白河院の間に立ち、権力を振るい、帝の母にまでなった。
 しかし、清盛と後白河院をつなぐ架け橋を意識していたようには見えなかった。
 それが今週、いきなり、慈愛に満ちた女性となっていた。


 もうひとつの≪えっ?≫は、
清盛の思い描く国の姿、
①武士が世の頂に立つ
②北は蝦夷地から南は鎮西まで、人や物が連なり豊かに暮らす
 もともとはこの二つであったと思われるが、先週は完全に①のみであった。
 兎丸の死で改心?したようだが、(これも先週ではハッキリとした描写はなかった)、今週の清盛はそんな心の惑いぶりはなかったかのよう。相変わらず、回ごとにころころ変わる登場人物である。


 で、今週の清盛はひとつ変なことをする

「宮中行事にうつつを抜かしている暇はござらん」
信西を引き合いに出し宋銭の流通に協力してもらっていた西光の面子を息子たちの前で潰すとは……
 ……慢心しつつあるとは言え、自身の目指す国造りのためには、わざわざ西光といさかいを起こす必要はない。こんな失策まがいの事をいったい何故?
 と思っていたら、今週の主題

滋子の太陽ぶり(慈愛ぶり)のためでした。


「いつの間にか、あやつはわしの先を行ってしもうておるのか」
「よいではござりませぬか、入道殿が何を思うていようと。法皇様は法皇様の思い描く世を目指せばよいのです。ご案じ召されますな。滋子がおります。王家と平家を取り持つは我が務めにござります」

 ええ、そんな思いがあったの?わざわざはっきり口にするのが不自然。
 そんなことを言ったら、後白河院がへそを曲げてしまうぞ!



「今謡など器に積る塵の如きもの、吹けば飛ぶようなものじゃ。清盛の泊のように世に役立つようなものではない。何より歌声は後の世に残すことは出来ぬ。ただそれ故にこそ、わしは今謡が好きじゃ。誰にも顧みられることなくとも、いつもそこにあり、そこにいるものを慰めてくれる、楽しませてくれる。わしは今謡が好きじゃ」

 あなたもそんな殊勝なことを言って、気でも違ったのでは?
 でも、なかなか良いセリフだなあ


「それが法皇様の目指す世にござりますね」
「滋子」
「法皇様、滋子の心は滋子のモノ。そして滋子の心は、法皇様のおそばに。法皇様の世が絶えぬことが、滋子の望みでござります」
 手を取り、寄り添うふたり。

 良い雰囲気、かなり羨ましい……


平家の慢心を快く思わない西光と成親に宴を振る舞い、平家との仲を取り持つ
後白河院の五十歳の宴で、清盛と後白河院に酌をする

「わしの目指す世にそなたは欠かせず、そなたの目指す世にわしは欠かせぬ。これより先も、共に登ろうぞ、誰も観たこともない高みへ」
と後白河院に言わしめた。



 と、滋子の活躍によりすべてがうまくいくと思えた矢先、滋子の突然死!

 良い事を言ったり、良い行いをしたら死亡するのはドラマの常だが、死因は何?お酒の飲み過ぎ?

 それにしても、滋子の架け橋ぶりがこれまで全く感じられなかったのに、今回の持ち上げぶり……、先週の有耶無耶ぶりと言い、先が詰まっているため、寸詰まり?



【ストーリー】番組サイトより
 1174年、大輪田泊はついに完成し、清盛(松山ケンイチ)が長年夢みていた宋との貿易が始められた。一門のさらなる発展をめざす清盛は、後白河法皇(松田翔太)と建春門院滋子(成海璃子)を嚴島神社に招き、2人に変わらぬ忠誠を誓う。嚴島神社のように横へ横へと広がることが清盛の目指す世の姿だと聞かされ、いまだ理想の姿を描けない後白河法皇は清盛に先を越されたのではないかと焦る。
 伊豆では、かつて源義朝につかえた上総常澄(きたろう)が大番役の務めの疲れか、急死。北条時政(遠藤憲一)の館に集まった東国の武士たちは、諸悪の根源は平家にあると不満を募らせるが、源頼朝(岡田将生)は力なくその場を立ち去る。政子(杏)は頼朝を追いかけ、このままでいいのかと頼朝に問い詰めるが、頼朝はいらだちながらも相手にしない。なおも追いすがる政子は思わず源氏重代の太刀を転がし、直そうとする。そのとき頼朝は太刀にふれるなと叫んだ。頼朝の秘めた武士の魂が目覚め始めていた。
 福原で宋銭を用いた取り引きを目の当たりにして、かつての信西の弟子、後白河法皇の側近・西光(加藤虎ノ介)も珍しく協力的になり、その普及に努めていた。ある日、西光は信西がかつて復興させた相撲節会を行うため、清盛に協力を求める。しかし、宋との取り引きにまい進する清盛は、宮中行事などしている暇はないと一蹴。怒りを募らせた西光は日頃そりが合わない義弟の成親(吉沢悠)とも、「平家憎し」で結託するのだった。
 そんな平家の敵対勢力をとりなすのは、清盛の義妹でもある滋子だった。彼女は西光と成親の自尊心をあおってたくみに平家への協力をあおいだ。また滋子は後白河法皇の心のよりどころでもあった。今様の歌集「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」の編さんに取り組んでいた後白河法皇は、世に役立つものではないが心を慰めてくれる、そんな歌を残したいと滋子に漏らす。滋子はそれこそが後白河法皇の目指す世であり、その世がつづくことが自分の望みだと勇気づけた。
1176年春、後白河法皇の五十歳の宴が盛大に催され、平家一門も祝いの楽や舞などを献上した。後白河法皇は清盛に向かい、お互いが目指す世のためにお互いが必要であることを改めて告げた。平家が押しも押されもせぬ公卿となり、それが後白河法皇の世を支えていることを明確に示した宴となった。その蜜月関係を支えていたのが滋子だった。
 しかし同年7月、滋子は病のため35歳の若さで亡くなった。その死を重く受け止める平家一門。清盛は滋子の死が朝廷のあり方を大きく変えることを予想しつつも、自らの道は変えないと決意を盛国(上川隆也)に告げた。一方、後白河法皇は激しい喪失感にさいなまれて今様を歌い続けた。
 建春門院滋子の死という賽の目が、清盛と後白河法皇の双六遊びの行方を大きく変えることになる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする