英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

藤井五冠、強し!

2023-02-18 23:13:44 | 将棋
 棋王戦第2局は、藤井五冠が勝利しタイトル奪取に王手をかけた。タイトルを奪取すれば六冠達成となる。
 熱戦で面白い将棋だったが、藤井五冠が徐々に盤面というか将棋を制圧していった感じである。(藤井-渡辺戦のパターン)


 それにしても強い。
 2年ぐらい前は、4強(渡辺、豊島、藤井、永瀬)と言われていたが、昨年度(2021年度)、藤井にとって最強の難敵と思われた渡辺、豊島の二人を、棋聖戦(対渡辺)、王位戦(対豊島)、叡王戦(対豊島)、竜王戦(対豊島)、王将戦(対渡辺)で撃破し続け、五冠となり、“一強”体制をあっという間に築いてしまった(王位戦は豊島が藤井に挑戦)。
 それぞれの対戦成績も棋聖戦3-0,王位戦4-1,叡王戦3-2、竜王戦4-0、王将戦4-0と、両者を叩き伏せてしまった感が強い。

 これまでの渡辺、豊島、さらに羽生、永瀬との対戦成績は
渡辺名人・棋聖●●●○●●●●●●●●●●
豊島九段○○○○○○●○●●●○●●○●●●●●○●●●●●●●
羽生九段●●●●○●●●●○●○
永瀬王座●●●○●●●●○○○●●●●○
 (青色はタイトル戦)
 藤井五冠ではなく、4者から見た勝敗(白星黒星)にしたのは、「性格が悪い」と思われそうだが(実際、そう)、その方が、“やられ感”が出そうに思えたからだ。
 渡辺名人は通算2勝14敗、勝率.125、6連敗中。タイトル戦に限ると、1勝12敗で10連敗中。
 豊島九段は通算11勝20敗、勝率.355、7連敗中。最初の6連勝を除くと、5勝20敗、勝率.200。タイトル戦に於いては4勝15敗、勝率.211、4連敗中。
 羽生九段は通算3勝9敗、勝率.250。タイトル戦に於いては2勝2敗。
 永瀬王座は通算5勝11敗、勝率.313。タイトル戦に於いては1勝3敗。


 藤井五冠に対して、3局以上対局して5割以上なのは、大橋七段4勝2敗(4連勝中)、深浦九段3勝1敗(2連勝中)、佐々木大七段2勝2敗だけ。あと、久保九段が3勝4敗と互角に近いが、現在藤井五冠が3連勝中。
 NHK杯戦で目立つ敗戦を食らった今泉五段にも、その後連勝して藤井五冠の2勝1敗。この2勝、NHK杯戦後2年の間で借りを返している。この辺り、藤井五冠の天運を感じる。(今泉五段に対しては失礼な言及になってしまい申し訳ないが)棋聖戦一次予選決勝、棋王戦予選2回戦での対局。藤井五冠……つまり5つの棋戦では、予選を戦うことが稀になっている。予選に出たとしても、シードの高い位置からなので、普通の棋士は、なかなか対戦できない。

 渡辺棋王としても、このままやられっ放しでは済ませられないであろう。羽生九段も、死力を尽くして挑んでくる。順位戦もがぜん盛り上がってきた。目が離せない2月、3月だ。
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相棒 season21 第17話「定点写真」

2023-02-17 00:59:07 | ドラマ・映画
私が苦手な芸術家の話。よく分からなかったなあ……

よく分からない大塚あゆみ(大野いと)
1.師匠・澤田洸平の共生創作活動
・大塚あゆみはデビューこそ煌めいていたが、その後、行き詰ってしまい、澤田のタイトル、テーマ、アイデアなどに頼っていた
・あゆみに言わせると「評価されないだけで師匠の方が才能がある。表現の機会に恵まれない師匠の代わりに、自分が師匠のモチーフなどを再現している」と

《疑問》
・モチーフは師匠のモノだったとしても、モデルを生かす対話、彩光のセンスやピントなどの技量に依るものもあるので、100%師匠の作品の再現とは言えない。それが、《単なる“模倣”の域を出ていない》か、《彼女の作品として昇華していたのか》はよく分からない。(世間の評価には、彼女が“若い女性”という要素も加味されていたかもしれないので、余計ややこしい)
・あゆみが評価されているのが、《澤田のモチーフによるもの》なのか《彼女の技量に依るもの》なのかは分からない。澤田も《自分には才能がない》と思っていたようだ。
・「美写紋賞」に何度もノミネートされていたので、才能もあり、評価もされていたのではないだろうか?
・右京は、二人の作風に共通点を見出していたが、模倣・模写と評価していたのかは不明

2.あゆみがリスペクトする奥山幹太(寺田心)
・ずっと同じ建物を撮り続け、SNSにアップしていた
・あゆみは、幹太の写真に才能を感じ、《撮りたいものを撮る》という素直な心をリスペクトしていた

《疑問》
・幹太の写真は“作品”と言うよりは、ずっと変わらないように見える被写体を撮り続け、その中での変化などを感じたいという“観察”
・《撮りたいものを撮る》というのは、創作の原点・動機・原動力そのもので、芸術活動をする者にとっては普通の事。(尤も、生活の糧を得るために、自分の目指す創作活動ができていない芸術家は多いだろうが)
 その初心を幹太によって思い出すことができたのなら、審査員を買収しようとは思わないはず
写真家というよりは詩人?
・上述したように写真家というよりは観察者っぽいが、「これが恋愛って言うなら、どれだけ汚いものかって思うよ」と幼馴染みの杏子に吐露。
・「ただひたすらに、シャッターに指が押されるのを待つ感じ」とあゆみに語る
・(写真を見せてくれない訳をあゆみに問われて)「写っちゃいけないものが、写っていたから」と。あゆみの返しも面白い「何それ?怖いモノ?」
・「その気がなくても、シャッターはあゆみさんの指に押されるのを待っています」と特命係に託したあゆみへ伝言

3.独りよがりのあゆみの行為
・師匠は注目されれば、その才能が評価されるはずと思い、イベントプランナー・浅野に「美写紋賞」の審査員の買収を依頼した。(あゆみのマネージャー・柴山に浅野を紹介してもらったが、二人は詐欺のコンビ)
・「話が違う」と怒った澤田が、弾みで浅野を殺害してしまう。現場に駆け付けたあゆみが自首しようとした澤田を止める
・あゆみが殺人現場を訪れたのを目撃していて、写真も撮っていた幹太。その画像をあゆみに見せ、事実をを確認しようとたが、「殺していなくても、終わってしまう。私は私だけで成り立っているわけではないから…」と言うだけ

《疑問》
・審査員を買収しようとしなければ、殺人は起こらなかった。
・授賞式の場で、浅野に食って掛かったのは軽率
・自首する澤田を止めなければ、傷害致死、うまくいけば、過失致死。さらに、情状酌量も付いたはず。
・幹太に謎かけのような「私は私だけで成り立っているわけではないから…」しか言わなかったので、幹太は勘違いして柴山に殺されそうになってしまった。

 ストーリーも平たん
 番組サイトのあらすじの「うたい文句」の
《少年カメラマンがひた隠す秘密 定点写真に刻まれた真実とは!?》
が、割と早めに明かされたのが意外といえば意外。(まあ、想像は容易なので、引っ張るほどのモノではない。オプションの柴山と浅野のツーショットも弱い)
 で、《幹太が庇うあゆみも真犯人ではなく、誰かを庇っている》というのも、刑事ドラマの定番(保身の意味もあったが)。

【面白かったところ】
「至急、携帯電話の位置情報を調べてください」(右京)
「え?誰の携帯のですか?」(伊丹)
「幹太くんです」(右京、真顔で) 
「はっ?かんた君?」(伊丹、声が裏返る)


第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」
第7話「砂の記憶」
第8話「コイノイタミ」
第9話「丑三つのキョウコ」
第10話「黒いコートの女」
元日SP第11話「大金塊」
第12話「他人連れ」
第13話「椿二輪」
第14話「まばたきの叫び」
第15話「薔薇と髭と菫たち」
第16話「女神」

【ストーリー】(番組サイトより)
少年カメラマンがひた隠す秘密
定点写真に刻まれた真実とは!?


 イベント会社経営者の撲殺遺体が、死後3日たって発見された。被害者は、出資金だけ奪うあくどい商売をしていたようで、恨みによる犯行と思われた。
 現場を訪れた右京(水谷豊)は、一人の少年がその建物にカメラを向けていることに気付く。調べると、数年前から毎日欠かさず同じ建物の写真がSNSにアップされていた。興味を引かれた右京は、薫(寺脇康文)と撮影ポイントへ。カメラを手にした奥山幹太(寺田心)という高校生から話を聞く。幹太は何か隠している様子だが、上手くはぐらかされてしまう。その直後、今度は幹太の幼馴染みだという杏子(幸澤沙良)に話し掛けられる。彼女もまた何か知っている素振りを見せるが…!?
  そんな中、捜査一課が出資金の件でもめていた男を連行。犯行は否認したものの、被害者には詐欺仲間がいた可能性が浮上する。いっぽう右京と薫は、写真を通じて幹太と交流がある大塚あゆみ(大野いと)という人気カメラマンからも事情を聞く。と、右京は彼女について、あることが気になって…!?

幹太は何を撮ってしまったのか!?
人気女性カメラマンにも裏の顔が…
定点写真が事件の真実を写し出す!

ゲスト:寺田心 大野いと 幸澤沙良

脚本:櫻井智也
監督:守下敏行
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2月9日時点での《2月15日の予想気温》の検証

2023-02-16 10:54:02 | 気象
2月9日時点での《2月15日の予想気温》の検証です。
(参照:「2023年2月15日の寒気(2月9日時点の予報)【追記あり】」

【2023年2月9日発表の2月15日付近の予想気温】
        気象庁  気象協会  お天気.com

2月13日(月)  10/3   10/7    11/3 
2月14日(火)   6/0    5/2     6/0  
2月15日(水)  4/-1    3/-2    8/-1  

2月16日(木)  6/-1    0/-4    1/-3
    (予想最高気温/予想最低気温) 


 実際の気温
13日 最高気温 8.1℃ 最低気温 4.4℃
14日 最高気温 5.5℃ 最低気温-0.8℃
15日 最高気温 2.5℃ 最低気温-1.5℃


 13日については、低気圧の発達具合や寒気南下のタイミングで、気温が大きく変わる。半日単位のズレで、見かけの最高気温に大きな差が出るので、検証はあまり意味がない。(暖気が残っていて、その日の未明に最高気温を記録することは多い。例えば、昼間の気温が2℃ぐらいでも、午前1時ごろに暖気が残っていて9℃あるとすると、その日の最高気温は9℃となる)
 14日、15日について検証すると、各団体の予想気温は若干高めだが、“外れ”というほどではなかった。最も的中具合が良かったのは、気象協会だった。

 ……記事として、ここで終わるのは面白くないので(私の気持ちとして)、もう少し、前の段階での予報に遡ろう。
 もともとは「(しつこく)週間予報考察(検証)【追記、追記2あり】」(2月7日記事)の予想気温に大きな疑問を感じたのが発端であった。
 この時(7日)の予報が 《14日 最高気温 9℃ 最低気温 1℃  15日 最高気温 8℃ 最低気温 1℃》とあまりにも暖かい予報だった(気象協会の予報は《2月14日(火) 予想最低気温 0℃ 予想最高気温 4℃》)

 これは、“大外れ”と言って良いだろう。
 気象庁の8日発表予報も《14日 最高気温 6℃ 最低気温 0℃  15日 最高気温 4℃ 最低気温 -1℃》だった。


 私は、よく気象庁の「2週間予想気温」を閲覧するのだが、かなりの“おざなり感”を感じている。

 なお、来週、21日(月)から23日(水)にかけて、また寒気が南下してくるようです。
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ロシア人のタイ観光(東南アジア観光)

2023-02-15 16:49:05 | 時事
先日(2月12日)のNHKの『ニュース7』========
 ロシアの軍事進攻に反対する欧米や日本は、ロシアとの直行便を停止し、観光客の行き来が制限されている。
 こうした中、ロシア人観光客が殺到しているのが、東南アジア各地にあるリゾート地である。
 新型コロナで落ち込んだ自国の経済を立て直そうと、ロシアであっても受け入れるという“したたかな姿勢”を見せている。

 タイ南部の人気リゾート地プーケットのビーチを満喫するロシアからの観光客
「アイ フロム ロシア フロム モスコゥ
ハバロフスク

 軍事侵攻直後には、タイでもロシアとの直行便が停止され、観光客の数は減少した。
 しかし、去年10月に直行便が再開され、今では週に90往復も運行されている。
 ロシアからの観光客は飛躍的に回復し、去年12月には約17万8000人がタイを訪れた。
 軍事侵攻前に比べて、富裕層の家族連れなどが長期滞在するケースが増えている
という。

 タイでは観光業がGDPの約2割を占める。
 新型コロナの感染拡大以降、外国人観光客がほぼいなくなり、打撃を受けた観光関係者は歓迎している。
《レストラン経営者》
「観光客の85%ほどがロシア人観光客。(ロシアとの)直行便再開は、宝くじに当たったようなもの」

 タイ政府は《ロシアから今年1年間で、100万人の観光客を呼び込む目標》を掲げている。
《タイ政府観光庁:シリパコーン・チェアオサムット副総裁》
タイは紛争と観光を区別できる。
 特定の国に対し、扉を閉ざしたくない。
 ロシアの観光客は、何も悪いことをしているわけではない



 観光以外でもロシアとの結びつきを強める動きも出ている
 タイとロシアの貿易関係者が出席するセミナーが開かれ、ビジネスチャンスを探っていた。
《タイ側の参加者》
「現在の世界の政治・経済状態は危機であり、新たなチャンスにもなりえる。
 私たちはきわめて実践的でなければならない」

 タイを含む東南アジア諸国は、シンガポールを除いてロシアへの制裁には参加せず、政治的に“中立”の姿勢を保っている。
 軍事侵攻が長期化する中、新型コロナで落ち込んだ自国の経済を立て直すため、ロシアであっても受け入れるという“したたかな姿勢”が浮き彫りとなっている。

===========================================


 NHKは“したたかな姿勢”と表現しているが、“利己主義”と言い換えたい。
 タイ側のセミナー参加者の言葉「私たちはきわめて“実践的”でなければならない」も“利己主義”と置き換えた方がしっくりする。


《タイ政府観光庁:シリパコーン・チェアオサムット副総裁》の言葉も詭弁もいいところだ!
「タイは紛争と観光を区別できる」タイは紛争を棚上げして、観光で儲けている」と言い換えたい。

 そして、聞き捨てならないのが
「ロシアの観光客は、何も悪いことをしているわけではない
という言葉。

《ウクライナ侵攻に対するロシア国民の意識についての(日本の)報道》
・言論統制が厳しく、侵攻反対の声を上げられない(参考記事:『「ウクライナ侵攻はロシアの恥」ロシア人たちの反戦の声』
・プロパガンダによって、国民が侵攻が正義だと思わされている

などの事情があると思っていた。
 そう言えば、昨年3月、ロシア政府系テレビ「第1チャンネル」の生放送中にウクライナ侵攻に反対するメッセージを掲げた番組スタッフの女性はどうなったのだろうか?……ネットで調べると………
『決死の亡命劇で「すべてを失った」 ウクライナ侵攻に反対したロシア政府系テレビの女性がフランスへ』(2023年2月11日: 東京新聞)という記事がヒットした。(【関連記事】『放映中乱入の元ロシア政府系テレビ局職員 再び拘束、釈放 「ウクライナ侵攻は21世紀で最悪の犯罪」と明言』(2022年7月18日:東京新聞))
 この記事の中で、「ロシア政府を信じる母親や息子と疎遠になった」とある。政府のプロパガンダによる情報や思想のコントロールが効いていると見られるが……
リゾート地での長期滞在を満喫して、悪びれる風もなく、
「モスクワから」「ハバロフスクから来た」
「今、ロシアの気温は-30℃よ。ここは私たちにとって夏だし本当に最高!」
『YAHOO!ニュース』より)
と話すロシア人観光客の映像を見ていると、《侵攻なんて他人事だ》と思っているように感じてしまう。
 《侵攻は一日も早く終了してほしい。ロシア国内、ロシア国民の声で、愚かな侵攻を止めてほしい》と願う。
 《ウクライナの惨状を報じる映像》とその一方で《リゾート地でバカンスを満喫するロシア人観光客》を観ていると、怒りの感情が湧き上がってしまう。

「ロシアの観光客は、何も悪いことをしているわけではない」と言い切れるのだろうか?
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羽生九段の順位戦の対局がある日は……

2023-02-14 23:44:50 | 将棋
 今日は、順位戦B級1組、▲横山七段-△羽生九段戦がある。
 他のB級1組の12回戦は、王将戦第4局の日(2月9日)に行われていて、この一局だけ日を遅らせて行われている。
 ここまで羽生九段は4勝6敗と、残念ながら残留争いから抜け出せていない。

現在の状況は
【B級1組成績一覧】 ( )内はB級1組ランキング
 9勝2敗 中村太(12)
 8勝3敗 佐々勇(5)、澤田(11)
 8勝4敗 近藤誠(9)
 6勝5敗 山崎(2)、三浦(6)
 5勝6敗 千田(3)
 4勝6敗 羽生(1)、横山泰(8)
 4勝7敗 屋敷(4)、久保(10)
 3勝8敗 丸山(13)……降級が確定
 2勝9敗 郷田(7)……降級が確定


 実は、2月9日に行われたB級1組の対局が気になって仕方がなかった。忙しかったが、中継棋譜をちらちら覗いき見ていた。
▲中村 太地七段(8勝2敗)-△屋敷 伸之九段(4勝6敗)
△千田 翔太七段(5勝5敗)-▲三浦 弘行九段(5勝5敗)
▲佐々木 勇気七段(7勝3敗)-△山崎 隆之八段(6勝4敗)
△近藤 誠也七段(7勝4敗)-▲久保 利明九段(4勝6敗)
 注目していたのは中村-屋敷戦と近藤-久保戦。
 白状すると、屋敷九段と久保九段の敗局を望んでいた。
 二人がともに勝つと、5勝6敗となり、羽生九段は今日行われている対局に勝たないと、最終局を前にして降級圏内に沈んでしまう
(横山七段も羽生九段から勝ち星を挙げることになり5勝6敗で、横山戦に敗れた場合の羽生九段の4勝7敗より上位となる)
 その場合、5勝6敗の千田(3)、屋敷(4)、横山泰(8)、久保(10)と、4勝7敗の羽生(1)の5人の残留争いとなり、羽生九段が一番危うい状況になる(←仮定です)。まあ、野球で言うと1ゲーム差であるが、同成績の場合、ランキングがモノを言うので、最終局に勝てば、ほぼ残留できる。でも、負けたら即降級なので、最終日は気が気でない状態になってしまう。

 実際は、願いが通じたのか、屋敷九段と久保九段が敗れたので、今日の一局に敗れても二人より上位の状況となり、勝ち負けが50%と考えた場合、降級確率は12.5%と低くなる。……本当に弱気だなあ。《大ファンなら、羽生九段を信じろよ》と思う。

 少し安心できる状況となっていたが、今日勝って、残留を決めてほしい。

 難解な将棋だったが、中盤からはリードしていた。ただし、すんなり勝ち切れる将棋ではなく、優位を確立できる手を逃し、一気に切り合わねばならなくなってしまった(厳密にいえば、羽生九段がまだ優利)
 ただ、切り合いに踏み込んだ強い気持ちがよかったのだろう。緩急織り交ぜた手順で、勝ち切ることができた。

 この記事を書き始めたのが、羽生九段が勝勢に近くなった時点。
 それまでは、固唾を飲んで中継を観ていた。つまり、勝勢になって、ようやく記事を書く気になったのである。
 横山九段も観念したのか、割とあっさり投了した。(午後10時57分終了。白状すると……”と言う部分を書いていた)
 「順位戦は持ち時間が長い。夜になってからが長いので、他に何もできない」などと書く予定だったが、予定と違う早めの勝利となり、嬉しい。

 降級は久保九段、横山七段、屋敷九段の順に危うい。
 昇級は、9勝2敗の中村太七段(12位)、8勝3敗の佐々勇七段(5位)、澤田七段(11位)の3棋士で、2つのイスを争う。
出だし4連敗から8連勝と猛追した近藤誠七段(8勝4敗で終了)は、一歩及ばなかった。
B級1組13回戦(最終局)は3月9日(木)に行われる。
 △三浦 弘行九段(6勝5敗)-▲澤田 真吾七段(8勝3敗)
 ▲山崎 隆之八段(6勝5敗)-△横山 泰明七段(4勝7敗)
 ▲羽生 善治九段(5勝6敗)-△中村 太地七段(9勝2敗)
 ▲千田 翔太七段(5勝6敗)-△久保 利明九段(4勝7敗)
 ▲屋敷 伸之九段(4勝7敗)-△佐々木 勇気七段(8勝3敗)
 ▲丸山 忠久九段(3勝8敗)-△郷田 真隆九段(2勝9敗)

 昇級争いは、皆、活きのよい七段で、対戦相手は長年A級に在位した猛者。羽生九段が昇級争いに加われなかったのは残念だが、安定した精神状態で観戦できるのは良かった。
 羽生九段も是非勝利して、6勝6敗の五分の成績で終えてほしい。
コメント (4)
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2023年全日本卓球選手権大会 その3「イエローカード」

2023-02-13 21:35:29 | スポーツ

(既に、大会終了から2週間経ってしまいました……)
 今大会、目についたのは、イエローカード。
 そう言えば、卓球にもイエローカードがあったなあ……そんな感じで、あまり目にすることがなかったが、今大会は黄色いカードが目についた。と言っても、NHK中継が減り、観戦した試合数が少ないので、偶々、目にしただけなのかもしれない。カーリングは予選リーグから8日間連続で中継していたというのに……

 ええと、どういう場合、行為に対してイエローカードが出されるんだったっけ?
 確か、遅延行為とか判定に対してあからさまに不平の意を表す態度、その他、マナー違反とみられる行為に対して出されていたと思うけれど……
 これまで、中継でもほとんど見られなかったイエローカードなので、(私は)よくわかっていない……昭和だったら、卓球協会に問い合わせるか(そんな度胸はありません)、書店(多分、立ち読み…ごめんなさい)や図書館に行って卓球のルールブックを読むとかするしかなかったが、今は、インターネットと言う便利なものがある。いろいろページ(サイトやブログ)を拝見すると……
 『異質な卓球ブログ』「その行為!イエローカードです!今すぐやめなさい!」というページに到達した。
 「その行為!イエローカードです!今すぐやめなさい!」と強い語調で、《動画などの、違法アップロード》のコマーシャルを思い出し、ちょっと怖く感じてしまったが、非常に分かりやすく丁寧に説明されていた。
 そのブログの主催者に、ご紹介とリンクを張る承諾を頂きました。快く承諾していただき、ありがとうございました。

 イエローカード対象行為として、《バッドマナー》や《プレー中のアドバイス》(アドバイスが許されるのは、「タイム」の時およびゲームとゲームの間の休憩時間のみ)がある。
 (バッドマナーについては、後述)

“レッドカード”もある
・2度目のイエローカード(監督・コーチの場合)
・登録されている監督やコーチ以外の選手やコーチがアドバイスした時
  観客のアドバイスに対しては、おとがめなし(カードなし)……少し矛盾を感じる規定。《単なる観客の場合、アドバイスにはならない。的確な助言ではない》ということなのだろが、これを悪用して、《大会に参加している選手やコーチ以外の関係者にアドバイスをさせる》ことは、可能かも。

 イエローカードやレッドカードの罰則は、選手の場合と監督・コーチの場合で異なる
【選手の場合】
イエローカード(違反行為)1回目……口頭注意のみで何もなし
イエローカード(違反行為)2回目……相手に1ポイント
イエローカード(違反行為)3回目……相手に2ポイント
イエローカード(違反行為)4回目……審判長に報告

【監督・コーチの場合】
イエローカード2回目でレッドカードとなり、退場となります。
(この場合の退場は試合会場からの退場ではなく、プレーしている場所(競技領域)から離れなければならないということ)

 実は、石川佳純選手もレッドカードを受けて退場したことがあるそうだ。(単に声援(日本語)を送っただけなのに、アドバイスをしたと受け取られた)
 詳しくは、「その行為!イエローカードです!今すぐやめなさい!」をご参照


 さて、今回、このイエローカードを記事で取り上げたのは、今大会のイエローカードの判断に疑問を感じたからだ。
 《えっ?なんで、イエローカードなんだ?》と思うことがほとんどだった(カードを出された選手には注意をしていたが、場内にはアナウンスされないし、集音マイクも拾えない)。
 おそらく遅延行為だとは思うけれど……

 特に疑問に感じたのは、女子シングルス決勝の早田-木原戦。
 木原のサーブの時に、イエローカードが出されたのだが、特に時間がかかっていたわけではなかった。なので、《なんで?》と思った。VTRで見直しても、遅延行為は勿論、時間もかかっていなかった。
 「ストップ」の声が掛かり、木原はサーブの動作を止め、主審の方を見やる映像。この時に、主審から具体的な注意を受けたのかもしれないが、映像からは分からなかった。木原はイエローカードを受け入れたが、次のサーブに入る時、怪訝な顔をしていた。どのタイミングでイエローカードを出されても、心理的プレッシャーなどマイナス作用を受けるとは思うが、白熱した場面での不可解なイエローカードは、集中力が切断されるし、今後のサーブに気を使わなくてはならなくなってしまう。
 この後(1ゲームあと?)に、早田もイエローカードを出されたが、これも不可解な出され方だった。
 《なんだよ、この審判は?》と思った。木原の時も、早田の時も、カードを出しながら何か言葉を発していたが、聴こえないし、マスクをしているので、口の動きも分からない。

 大会によっては、《今大会は、遅延行為に対して厳しくしよう》とかの方針が立てられることがあるとのこと。今大会も、そういう打ち合わせがあったのかもしれないが、そういう事があったとしても、やはり、疑問を感じるイエローカードだった。


 まあ、卓球に限らず、そして、イエローカードに限らず、審判の判断(主観)が反映される(競技や判定の種類によって、その差異はある)。それは仕方のないことであるし、判定に主観が入ること自体を否定するものではない。ただし、審判の方も、判定の目を磨いて、さらに、冷静な判断を下せる審判の技量を持ってほしい。
 それはともかく、卓球における《イエロー(レッド)カードの基準》が明確ではないと思うが、これを規制すべきだ!と思う行為が放置されている(後述)

【バッドマナーの例】として
・相手に罵詈雑言を浴びせるなど、相手を不快にする行為
・観客を罵倒して、観客を不快にする行為
・プレー中に勝手に場所を離れる
・卓球台やフェンス等に当たり散らす
・審判に対し、長時間抗議する
・明らかな遅延行為

それと、イエローカードの範疇ではないかもしれないが、
・不正サーブ(「球を垂直に上げない」「ラケットで打つ瞬間を見せない」など)
も、注意の対象になっていたように思う(カードは出されないのかも)

 これらの項目は、そのそれぞれの行為については同意・納得できるものである。
 しかし、先述したように、遅延行為については、その基準がはっきりしない。サーブまでの時間の長さなどは、目安の秒数を明示した方が良い(実際に計らなくてもいいとは思う)し、遅延行為(ダブルスでのサーブ前のサインのやり取りの繰り返し行為)などを具体的に上げるべきだろう。
 とにかく、木原が取られたイエローカードは、《明らかな遅延行為》ではないように思えた。

 で、実は、先にもちらりと書いたが、“バッドマナー”と言うならば、“雄叫び”はどうなのか?……“バッドマナー”には該当しないのだろうか?
 確かに、罵詈雑言ではないし、罵倒しているわけではない。
 しかし、《相手を不快にさせないか?》については、どうなのだろう?

 会心のプレーで思わず声を出したり、気持が入り過ぎて気合を発してしまうのは、仕方がない。許容すべきであろう。
 しかし、戦略的に発する声はフェアではない。

 戦略的な声とは、どういうものか?
➀得点を上げるたびに、雄叫びを上げる。一応、相手に向かっての発声ではなく、後ろを向いて発しているが、思わず出た声というより、意識的に叫んでいるという印象を受ける(威嚇の効果もありそう)。一度叫んだあと、ボリュームを下げるが、3,4度繰り返すことが多い。
②得点の度ではないが、ラリーを制した時や、会心のノータッチエースを決めた時に、叫び声や気合の声を発し、自分の優位を確認づけたり、相手のダメージを駄目押しする(ように聞こえる)
③得点を上げた時、何度も奇声を上げる(何度も叫ぶという行為は、明らかに意図的である)

 気合のような大声を上げるというのは、メンタル的にプラスになると考えられる。逆に、得点を取られ、雄叫びを挙げられるのは、精神的ダメージが大きい。
 《スポーツ(勝負)とは、そう言うものも含んでいる》という考えも否定はできないが、私は好きじゃない。
 繰り返し書くが、《相手を不快にする行為》ではないのか?
 目に余る雄叫びには、イエローカードを出すべきだ。
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“色とりどり?”の将棋界だが…その2「珍事件・珍出来事」

2023-02-12 12:43:32 | 将棋
★「初手」反則負け……千田翔太七段
 近藤誠也七段-千田翔太七段戦(順位戦B級1組、2022年12月22日)
 後手番に決まっていた千田が初手に飛先の歩を突いた。
 順位戦は予め先手後手が決まっているが、千田七段は先手と思い込んで、準備(研究)をして対局に臨んでいたとのこと。珍しい反則負けだが、過去にも、2007年7月のC級2組2回戦▲東和男七段(現八段)-△有吉道夫九段戦(有吉九段反則負け)などがあるらしい。
 《対局規定第8条「反則」規定により反則負け》という事らしい(“2手指し”に該当)。

 ところで、マスク事件(佐藤天彦九段、日浦市郎八段)の時も思ったが、連盟は対局規定(全文)を連盟サイトで公開してほしい。(“抄録”らしきものは公開されている)


★対局場を間違え不戦敗……藤本渚四段
 神谷広志八段-藤本渚四段戦(竜王戦6組、2月6日)
 藤本四段が対局会場を勘違いし、不戦敗となった。対局場は東京・千駄ヶ谷の将棋会館だったが、関西将棋会館に姿を現した……
 藤本四段は四段昇段後(プロ入り後)六連勝の負けなし。初の黒星が不戦敗となった。

 健康や事故などではなく、不注意などによる不戦敗は、時々ある。
 私がよく覚えているのは、2016年10月30日の叡王戦準々決勝・久保利明九段-豊島将之七段戦(段位は当時)。東京で14時から対局開始の予定だったが、久保九段は19時からと勘違いしていたとのこと。不戦敗確定までに、勘違いに気づいた久保九段が会場に間に合わない旨を連絡をしたと記憶している。確か、対局場に対戦相手の豊島七段が、不戦勝確定まで座っていた……

 対局通知に気づかなかったり、場所や日時を勘違いの他に、寝坊して間に合わなかったという例も少なくないらしい。
 過去には郷田九段もあり、将棋連盟あてに謝罪文を提出し、罰金として竜王戦関連の収入から50万円を返納するよう勧告、指導対局などのファンへの奉仕活動1日を科されたという。
 その他の令を含めて、詳しくはYAHOO!ニュース(文:将棋ライター・松本博文氏)をご参照ください。

★大頓死……服部慎一郎五段
  服部慎一郎五段-本田奎五段(叡王戦準々決勝、2月6日)

 図では、服部五段が勝勢と言うか、”勝ち目前”。
 ここで、▲7七玉と逃げたのが大失着!

 この手を見て数秒後、自信満々に(←そのように見えた)身体を前後に揺らしていた服部五段の動きがピタリと止まり、しばらくして、天を仰いだ後、投了。(身体を前後に揺らすのは、読みに没頭している時のクセのようだ)
 ▲7七玉では▲7八玉ならば先手玉は詰まず、勝ちだった。
 服部五段も▲7八玉で勝ちなのは分かっていたが、▲7七玉でも勝ちだと思ったのだろう。もちろん、投了図の△8八銀も見えないはずがない。では、なぜ?……
 想像するに……《△8八銀には▲8六玉で大丈夫》と。
 しかし、全然大丈夫ではなかった。大丈夫どころか、▲8六玉には△8五飛以下の詰み!
 この△8五飛が盲点に入っていて、▲8六玉に△8五歩や△8五銀を考えていたのではないだろうか。
(もちろん、真相は本人に聞かないとわからないが)
 
 痛い、痛い頓死だった。
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封じ手長考の周辺……2023(2022年度)王将戦第4局

2023-02-11 16:22:39 | 将棋
(諸般の事情により、部分図です)

 封じ手の局面。物理的な後手の指し手は3手だが、自陣の急所の5二の成桂を取らずに逃げる△3一玉は有り得ないので、実質、△5二同玉か△5二同銀の2つ。
 一見、△5二同銀だと▲6二歩成と“と金”を作られてしまうので、素人的には△5二同玉としたくなる。しかし、△5二同玉には▲6四角成△5四銀▲2四飛△2三歩▲3四飛とされると後手が困っていそう(以下3二の金取りを防いで△3三歩と打つと、▲4四飛△同歩▲5三桂成がある)。なので、控室はけっこう早い段階で「△5二同銀の一手」と結論付けられていた。
 しかし、藤井王将の手は動かない。30分…1時間経過。《まあ、大事な一局だし、持ち時間もたっぷりなので、慎重に読みを入れているのだろう》とか考えていた。
 1時間30分経っても考えている……2時間経過、封じ手の時刻まであと少し。このまま、封じそうだ。
 そのまま封じ手になり、2時間24分の大長考となった。

 何を考えていたのだろう?
 確かに、封じ手の局面は大きな分岐点である。
 《進めずに深く読んで、勝利への道筋を組み立てて2日目を迎えた方が良い》
 もしかしたら、詰みまで読んでいたのかもしれない。
 そう言えば、『ハチワンダイバー』という漫画があったなあ(ドラマ化されて、私はそれを視聴した)。その中で、主人公は、深く深く読みを入れていていく……その感覚が《盤の中に潜水していく》イメージだった。
 藤井王将は、深く深く読みを入れて、自分の潜水限界を突破しようとしていたのか?

 いや、局面を勧めずにわざと残り時間を減らして(残り2時間45分)、《羽生九段相手なら、3時間弱で充分!》……なんてことは、絶対思わないだろうなあ。
 一番考えられるのは、△5二同銀以下、思わしくない変化を見つけ、その対応策に苦慮していた。そして、うまい対応策が見つけられず、△5二同玉の変化に光明を見つけようとした。
 あるいは、△5二同玉以下の手順にも自信があり、△5二同銀以下の手順と比較検討していた。……苦心惨憺の時間だったかもしれないし、どちらが良いかという至福の時間だったかもしれない。いや、藤井君にしてみれば、苦心惨憺も楽しいのかもしれない。

 私的には、《これだけ時間のハンデをくれれば、△5二同銀と指され、或いは、△5二同玉以下AIや検討陣の思いもよらない妙手順で、羽生九段が不利になっても、そこで、踏みとどまって形勢を引き離されずにいれば、チャンスがあるかもしれない》と考えていた。
 いずれにしても、2日目が楽しみだった。
 封じ手が「△5二同玉」と分かった時は、やはり、嬉しかった。


 封じ手局面より少し前

 先手の羽生九段が▲7三角と打ったところ。次は当然、▲6二歩成。なので、後手はそれを受けなければならないが、普通は△6一歩だ。実際、先手の玉形が少し違うが、昨年の叡王戦予選▲徳田四段-△折田四段戦(段位は当時の段位)では△6一歩と受けていた(2022年7月7日)。この時は、以下▲2四歩△同歩▲同飛△2三銀▲2五飛と進んで先手が勝っている。
 本局の△6一銀(部分図2)はその将棋の修正手か。

 上記の一局の情報を提示した谷川九段も「調べてみたが、△6一銀しかない」という見解。
 谷川九段は「やはり6一歩の形は悪い形なのかも」と。さらに、「8一の飛、7一の金、6一の銀の並びも気持ち悪い」も気持ち悪いと苦笑い。……確かに、下段飛車の横の道を二重に塞いでおり、初形とは逆の金銀の位置だ。
 で、6一へ銀を打つ意義は、先の変化と同様に▲2四歩△同歩▲同飛と来た場合、△2三銀ではなく△2三歩と打てる(銀を打ちたくても、既に銀を6一に打っているので持駒に銀はないが)。徳田-折田戦で△2三銀と打ったのは、▲3四飛(変化図1)と横歩を取らせないため。

 変化図1では▲5二桂成△同玉▲3二飛成という攻めがある。しかし、6一に歩を使っているため、3三に歩が打てず、受けが難しくなっている。
 △6一銀は、《歩の温存》の他に、《先手の6四桂の利きをカバーしている》という利点もあり、ここさえ凌げば、自ずとよくなるという考え方であろう。

 羽生九段は気持ちよく攻めているようだが、最初に桂銀交換の駒損をしているので、受け止められてしまうと不利になりそう。そこで、二の矢が▲5二桂成の成り捨て(部分図3・再掲載)

 感想戦では、当然、△5二同銀の変化が深く調べられた。以下、▲6二歩成△同金▲同角成(変化図2)までは必然。

 以下、いろいろ調べられたが、羽生九段の手が滞る局面が多かったように感じた。

 実戦は、AIや検討陣が推す△5二同銀ではなく、△5二同玉を着手したわけだが、指したのが藤井五冠、しかも、2時間以上熟考して指したのだから、思いもよらぬ妙手順が披露されるかもしれない(←二度目の言い回し)。羽生九段の勝利を欲してやまないが、けっこうワクワクして観ていた。
 △5二同玉以下、▲6四角成△5四銀▲2四飛までは想定手順。ここで、△2三角!(部分図4)

 先にも書いたように、▲3四飛とされると、3二の金取りと▲4四飛△同歩▲5三桂成の二つの狙いを受けられない。その▲3四飛を防いでの2三へ角打ち。
 しかし、こんなところへ角を打つのでは、苦しい。しかも、先手になっていない。
 とは言え、《ここを受け止めてしまえば、光明が差してくるはず》というのが藤井王将の思惑。

 ところが▲2三飛成!……“こんなところの角”と飛車の交換。先手としては勿体ない取引である。
 「▲3一角(部分図5)が思ったより厳しくダメにしてしまった」と、藤井王将の感想。
 藤井王将としては、《つらい気持ちで打った角を飛車と交換は有難い》という先入観があったのだろう。

 飛車切りから角打ちが決め手となった。

 しかし、藤井王将の次の一手には、びっくり!……△6二銀!(部分図6)……歩頭への銀捨て

 銀を犠牲にして、目障りな先手の6三の歩を解消し、7一で働きの弱かった金を玉に寄せる勝負手だ。しかも、この手順にはもう一つの狙いがあった。

 △6二銀以下、▲同歩成△同金にもらった銀を▲4二銀と後手玉の腹に据え、玉頭である5三の地点に集中攻撃。
 5三に利かす△4一桂に、構わず▲5三桂成(部分図7)。

これに△同桂だと、▲5四馬と銀を取られて困るので、△5三同銀と取るが、▲5三銀不成△同桂(部分図8)と進む。


ここで、先ほどと同じ様に▲5四馬と銀を取ると、△3一飛と角を取られて「あれぇ!」となってしまう。
 流石にそうはならず、▲4二銀が着実の攻め。仕方なしの△3一飛に▲同銀不成で寄せ形。以下、△6三銀打と抵抗するが▲3二飛~▲9一馬(部分図9)で挟撃態勢。

 以後は、藤井王将も先手陣に嫌味をつけるが、自然かつ最強の応手で受け止め、勝ち切った。
 
 藤井王将にしては“不出来の一局”だったと思えるが、羽生九段の“快勝”と言いたい。
 2勝2敗で喜ぶのはどうかと思うが、第五局に勝つと、《もしかしたら》と期待が大きくなる。

 もしかしたら、藤井五冠が不調なのかもしれない(う~ん、羽生九段に失礼だな。羽生九段が復調したと考えたい)。
 棋王戦第二局(2月18日・石川県金沢市)が注目である。
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相棒 season21 第16話「女神」

2023-02-10 11:53:10 | ドラマ・映画
~各々の思惑が交錯し、山荘で繰り広げられる心理戦、財宝の在りかは?~……興味をそそる展開だったが、どこか既視感を伴い、疑問も多いストーリーだった

まず、面白かった点
《悔しがるイタミン》
 “現場百篇”(“篇”と“編”はほぼ同意で、どちらを使用しても良いようです。“篇”は常用漢字ではないので、“編”を使う方が無難ですが、雰囲気を感じさせる“篇”を使いました)
 「“現場百篇”だ」と40年前の強盗犯・竹村彰二の殺害現場を調べまくるなど、『今度こそは特命係に先んじて“ホシを挙げる”』と意気込むイタミンだったが、行く先々で、右京の後追いしていることを知り、結局、右京がお膳立てした犯人を悔しさを滲ませて“連行するだけ”になってしまった。
《右京の洞察力・推理力vs志織の対話力・心情察知能力》
 詩織は“右京夫妻が偽りであること”を見抜き、右京も“志織が独身であること(結婚指輪はフェイク)”であることを見抜く。序盤の会話では志織が押し気味であったが、右京は詩織の事情や心情を見抜き、彼女が復讐を果たそうとするのを制止した。
《ひとり悩む亀山薫》
 ドラマ冒頭で、美和子に飲み物(水?)を顔にぶちまけられてしまう亀山。夫婦カウンセリングに参加させられ、離婚の危機に悩む。
 美和子の真意は、結婚詐欺の取材のためカウンセリングへの潜入取材だった。亀山は嘘が下手なので、腹を立てた芝居をしたのだった(右京も当然見抜いていた)。結婚詐欺や殺人や財宝のことなどについて全く気づかず、ひとり悩む亀山の様子が可笑しかった。対照的に、右京の妻役を楽しそうに演じる小手鞠も面白かった。
《性別のフェイクによるミスリード》
 “鈴木司”という名前や、養護施設の施設長が「鈴木君」と呼んだこと。また、強盗犯の一人についても“大沢”と呼び捨てにし、“一緒に強盗したヤツ”と呼ぶ)による性別をミスリードさせた。
 まあ、キャストの配置具合から、志織(銀粉蝶)が大沢であることは想像易しで、《結婚詐欺に騙されている眼鏡女子も実は…》というパターンぽかった。

 この他、自主返納?された財宝のケースを開ける際、参事官が爆弾処理の装備(顔を覆っていないので、効果薄)で恐る恐る処理ている姿とかも面白かったが、疑問なども多かった。
疑問点など
(最初の疑問以外は“重箱の隅つつき”だと思って書いているので、気にしないでください)

《40年前の強盗の動機》
 「皆が幸せになるためにやったことのはずだった。そのせいで離ればなれになってしまった」という志織の言葉。
 強盗の被害者が極悪人で、施設に3000万円寄付するなど義賊的意味合いがあったようだが、強盗までする理由が、今一つよく分からなかった。
 《強盗の罪を犯したら幸せになれない》ということは通常は分かると思うが、《金さえあれば皆が幸せになれる》という若気の至りと解釈はできる。それでも、当時の二人の切迫した事情が語られなかったので、やはり、強盗までするものなのか?
《強盗後の経過》
 “時効”とか“強盗”(強盗殺人ではない)と用語が使用されていたので、殺人は犯していないようだ。被害者は反撃して志織の首を切ったので、顔は視ていなかったのだろうか?相方の女性が首まで斬られたら、男(竹村彰二)は逆上して殺害してしまうと思う。
 それほど用意周到な犯行とは思えないので、被害者の目撃証言他にも証拠が残っていたはずだ。しばらく、二人は山荘に潜んでいたというが、警察は何をしていたのだろうか?
《志織のその後》
 《強盗をしたので、二人は離れ離れになってしまった》《愛し合うふたりが別れないように、夫婦カウンセリングを開いている》と言っていたが、《強盗をしたから別れなければならなかった》というのは、少し違うだろう。カウンセリングをすると言う結論もおかしい。
 《約束の場に竹村が来てくれなかったことを恨んでいない》と達観できたのかもしれないが、彼の身を案じることはなかったのだろうか?
 竹村の復讐を果たそうとしたのは理解できるが、竹村の寂しい最後の暮らしを悲しみ悔いる様子がないのはどうなのか?
《山荘夫婦カウンセリング?の採算などは?》
 山荘はかなりの不動産。購入費用は財宝で賄ったとしても、購入の際、財務課や税務署に目を付けられたかどうかは措いておくとしても、管理費や手間はどうしていたのだろう。
 そもそも、宿泊を受け入れる際の食事(料理、食材の仕入れ)やベッドメーキング・清掃などの部屋の世話を志織ひとりでこなしていたのだろうか?
 右京夫妻が飛び入り?参加しなかったら、たった二組の参加者。採算は合うのだろうか?(3組でも採算合わないだろう)

 その他の疑問、感想として、
・眼鏡女子はツーショットを撮る時、なぜ、眼鏡をはずしたのだろうか?
・竹村の最期の言葉「女神が持っている」ではなく、「女神が待っている」だったらしいが、実は「メガネが曇ってる」「何ぃっ?うるせえ、このジジイ」と逆上し殺害した…だったりして

 

第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」
第7話「砂の記憶」
第8話「コイノイタミ」
第9話「丑三つのキョウコ」
第10話「黒いコートの女」
元日SP第11話「大金塊」
第12話「他人連れ」
第13話「椿二輪」
第14話「まばたきの叫び」
第15話「薔薇と髭と菫たち」

【ストーリー】(番組サイトより)
右京が“夫婦”でカウンセリングへ
狙いは山荘に隠された10億の“死を呼ぶ財宝”!?


 美和子(鈴木砂羽)が薫(寺脇康文)の態度に腹を立て、夫婦喧嘩が勃発。美和子の一方的な提案で、自然豊かな山荘に泊まり掛けで夫婦カウンセリングを受けることに。その件に興味を持った右京(水谷豊)は、「プロフィールだけ貸してほしい」と小手鞠(森口瑤子)に頼み、夫婦を装って参加する。
 カウンセラーは、橘志織(銀粉蝶)という女性。ただ、美和子の狙いはカウンセリングではなく、実は別の思惑があった。いっぽう、右京の興味も別にあった。志織がカウンセリングに使っている山荘は、40年前、二人組の強盗が奪った10億の財宝を隠したと噂される曰く付きの物件。
 さらに最近、逃げ続けていた強盗犯の一人が殺害され、その犯人が財宝を探しに山荘に姿を見せるのではないかと推理したのだ。それぞれの思惑の中、志織のカウンセリングが始まるが…!?

40年前に隠された財宝は山荘に眠っている?
鍵を握るのは右京さえ舌を巻くカウンセラー
二転三転の末、明らかになる驚愕の事実とは!?

ゲスト:銀粉蝶

脚本:神森万里江 
監督:内片輝
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2023年2月15日の寒気(2月9日時点の予報)【追記あり】

2023-02-09 09:52:43 | 気象
「(しつこく)週間予報考察(検証)【追記、追記2あり】」(2月7日記事)の続きです。
(明日・10日は関東甲信越で雪が降りそうです(西日本の山沿いでも)。今のところ、都心でも5cmほどの積雪があるかもしれないとの予報。寒気の流入次第で雪の降り方も変わりますし、みぞれ程度で済むかもしれません。最高気温も4℃で寒い一日となりそうです)

今日(2月9日)の予報での、2月15日の天気図と寒気予報図


先月の最強寒波の時の寒気図(1月24日)が下図。

 この時と比べると、若干、寒気の南下程度は軽いが、かなりの寒気南下だ。

 ただ、今度の2月15日の上空5000mの寒気予想は

 で、北陸に限って言うと、大雪にはならない模様(北日本の方々は大変かもしれません)

各団体の予想気温(スマホ用画像は文末にあります)
【2023年2月9日発表の2月15日付近の予想気温(福井市)】
        気象庁  気象協会  お天気.com 2月7日発表の気象庁予報 同気象協会の予報
2月13日(月)  10/3   10/7    11/3       13/5        11/9
2月14日(火)   6/0    5/2     6/0        9/1         4/0
2月15日(水)  4/-1    3/-2    8/-1       8/1        確認できず
2月16日(木)  6/-1    0/-4    1/-3      確認できず     確認できず
       (予想最高気温/予想最低気温)
  気象庁の下方修正が著しい

 今後、気象庁の下方修正が予想されるが、先月ほどの極寒ではなさそう(かなり寒くなりそうだけど)早速、今日(9日)11時発表の予報で15日の予想気温が2/-2に修正されていた。
 今のところ、寒気の予報は15日が南下のピークなので、16日には寒さが緩みそう。(15日夜から16日朝にかけて晴れれば、放射冷却で厳しい冷え込みになるかも)

《スマホ用画像》横画面でご覧ください
【2023年2月9日発表の2月15日付近の予想気温(福井市)】
    気象庁 気象協会 お天気.com 2/7発表の気象庁予報 同気象協会の予報
2月13日 10/3 10/7  11/3   13/5     11/9
2月14日 6/0  5/2   6/0     9/1      4/0
2月15日 4/-1  3/-2  8/-1    8/1     確認できず
2月16日 6/-1  0/-4  1/-3   確認できず  確認できず

   (予想最高気温/予想最低気温)  気象庁の下方修正が著しい

【追記】
2月15日の上空1500mの寒気ですが、昨日の予報より南下が緩めになっていました。

   ↓下図が昨日(2月9日発表)の予想図
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