エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■15■「お寺研修」

2018年01月14日 | エルソル大阪物語

■15■


学校では「お寺研修」といって、
比叡山のあるお寺への1泊研修がありました。

バスの中では「えひめ福嶋」が横に座りました。
福嶋「アカン・・なんか勃ってきた・・やべ~のう」
  「ジャージは特にやべ~のう」
  「おい上田、見てみホラ、ヤバいやろ」

上田「キンキンやんお前・・何考えとんじゃ!?」

福嶋「お前のはどうや!?」

上田「アホかっ!!ヤメロっ!!」

すぐ前に座っていた女子「プッツン富長」「オカッパ中崎」が振り向き、
「アンタら最低ーやな!!ホモかっ!!」

バスは急勾配を上り始めました。
気温が下がり、窓ガラスが曇りました。

到着後、バスを降りると息が白く出ました。
「寒うぅ~」

早速お寺の大部屋に集まり、全員でお経を唱えました。

「摩訶般若波羅蜜多心経ー、かんじーざいぼーさつ・・・・」

少しでも経本から目を離すと、何処を読んでいるのか分からなくなります。

突然指名された理容科「堀江ネエさん」は、見事に般若心経を暗唱しました。
坊さん達が大喜びしました。

次に指名されたのは美容科パンチ君でした。

パンチ「マカッ・・マカッ・・マカマカ・・」

みんなゲラゲラと声を上げて笑いました。
襖が開いて竹刀を持った恐い坊さんが現れました。
突然の「武闘派坊主」の登場で、その場は静かになりました。

次は、道場に案内され「座禅」の精神修行です。

座禅中、背中からトントンと合図された者は、
肩を差し出し「ビシッ!!ビシッ!!」と棒で叩かれます。

邪念だらけの美容科のヤンキー姉ちゃんが予想通りキレました。

「何なんこれ!やってられへん!」

すると武闘派坊主が飛んできました。

「ビシッ!!」(平手でシバかれる音)

「何すんねん!痛いやんか!もう嫌や!帰るワ!!」
(ココ比叡山やで?)

「武闘派坊主」が脅しだけではないことが分かり、大半の連中はおとなしくなりました。

しかし、
理容科の「恐竜辻神」「平尾」(高校中退組)はやはり黙っていませんでした。

食事中(精進料理)は一切の私語禁止だったのですが、
「辻神」「平尾」はお構いなしに談笑していました。

精進料理は山菜・ゴマ豆腐など味の薄いおかずがほとんどで、
お好みで醤油をかけることを許されました。
好き嫌いの激しい「平尾」は醤油をどっぷりとかけていました。

料理の最後に小皿にお茶を注ぎ、箸でつまんだタクアンで小皿をきれいにします。
小皿から中皿、中皿から大皿、
それぞれに少し濁ったお茶を移しながら皿をきれいにしていきます。
最後にタクアンと一緒にそのお茶を飲み干して食事は終了です。

醤油をかけすぎた「平尾」の大皿のお茶はドドメ色になっていました。

辻神「ウヒャヒャヒャッ、いてまえー平尾!イッキや!!」

平尾「んぐっ、んぐっ、おえーーーっ!絶対無理や!」
  「ワハハハハー!」

見るに見かねた「武闘派坊主」が、「平尾」を後ろからの「ヘッドロック」で
引きずりながら部屋の外に行きました。

「ビシッ!!ボコッ!!ダンッ!!バン!!バキッ!!」

聞こえてくる音だけでかなり殴られているのが分かりました。

障子が「スーッ」と静かに開きました。

顔がボッコボコに腫れ上がった「平尾」がうなだれて座りました。

・・・「辻神」が静かになりました。

翌日は「写経」がありました。
正座で長い間書かされます。
かなりしんどい作業ですが、もう反発するものはいません。

しかし「武闘派坊主」が恐くて静かになったのではなくて、
「平尾」に対する暴力が明らかに「やりすぎ」だったことでした。

「運動」の時間では、
武闘派坊主に追いかけられながら坂道ダッシュをし、
武闘派坊主に睨まれながら腕立て伏せをしました。

昼前にすべての行程が終了しました。

今まで厳しく接していた武闘派坊主達が「やさしい顔」になり、お寺の前で見送ってくれます。

しかし、
「理容科」の皆は顔が腫上がった「平野」が気になり、
「ありがとうございました」と言える状況ではありませんでした。

バスまでの遠い山道を帰る途中、誰かが立ち止まりました。
「おい、あの坊主ら、まだこっちに向かって手ェ振ってるで」

「辻神」がついに叫びました、
「おおーい!!カカッテこんかーい!」
「カカッテこんかーーい!」

すると大勢が堰を切ったように叫び始めました。
「クソ坊主ー!!コラー!!」
「クソ坊主ー!!許さへんぞー!!覚えとけよー!!」

「平尾」はうつむいたまま泣いていました。

「平尾」はそれが原因で学校をしばらく休みました。
「研修」はそれ以降無くなったそうです。

それから少し経った頃、
学校を辞める者が徐々に増え始めました。

「マネキン女子水口」が学校を辞めました。
福井のお父さんに連れ帰られたそうです。

「水口」は福井県で有名な水産会社の令嬢なのだそうです。
(婚姻届・・判押したほうがよかったかも・・)

「シンナー深尾」が辞めました。
その他数人も辞めて行き、入学時からすると10人近くいなくなりました。

そんな中、
『サーファー谷田』が学校に来なくなりました。
遅刻が多すぎて出席日数と単位が足りないらしいのです。

長島先生「上田、ちょっと様子を見てきてくれ」

同じ高知県人の僕は、先生に頼まれ「谷田」を説得することになりました。

「谷田」はお兄さんのアパートに2人暮しでした。
アパート代の少しと自分の小遣いを稼ぐ為に夜は水商売でアルバイトしていて、
それが原因で朝起きれず遅刻が多くなるとの事でした。

上田「毎朝俺が起こしてやるから明日からちゃんと来い!」
  「とりあえず学校だけでも卒業しとこうや!」
  「今辞めようが半年後に辞めようが一緒やん、」
  「がんばろうや!」

・・・うつむき加減に聞いていた谷田がやっと喋りました。
谷田「違うんや・・、俺上田みたいにちゃんとしてないねん」
  「・・上田と俺は生きる世界が違うねん!」
  「もう散髪屋なる気無いのにこれ以上学校行って何になるんや!」
  「もうええねん・・」

僕は、友達だから説得出来るつもりでいました。
でも友達なのにずっと「話を聞いてやれなかった事」に気付きました。
自己嫌悪に陥りました。

「谷田」はもう学校に来ませんでした。

■15■

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エルソル大阪物語■14■「女子大学園祭」

2018年01月14日 | エルソル大阪物語

■14■


「女子大の学園祭に行こう!」ということになり、
コンパで一番感触が良かった「大阪女子短大」に照準を合わせました。

女子寮に電話しました。
上田「あの~、キミヅカ アンズさんお願いします・・」

「そのような人はいませんが・・」
反応の鈍そうな女性が電話に出ました。

上田「そんなワケありません!放送で呼んでください!」

ちょっと時間があり、館内放送がありました。
「キミヅカ・・アンズさん、」
「キミヅカ・・アンズさん、お電話です」

パタパタパタと急ぎ足の足音が聞こえました。
ハアハア言いながら電話に出たのは岸本さんでした。

岸本「ハハハハッ・・上田君やろ?フフフッ・・」
  「どうしたの!?フフフッ・・何か?」

岸本さんはやたらと笑っていました。
その傍でも笑い声が聞こえてきます。

上田「アンズちゃんは?」

岸本さんの笑い声は大きくなりました。
岸本「ワハハハハ、ア・・アンズ・・アンズは今お風呂!」

上田「???(まあええか・・)」
  「今度の学園祭、行っても迷惑じゃない?」
  「じゃあみんなで行きます!!」


上田「明日学園祭行く者!朝10時ロケット広場に集ー合ーっ!!」
『スケコマシ大王』が号令をかけました。

次の朝、
早速「ロケット広場」に向かいました。
ロケット広場周辺に野郎の集団が見えます。
「え~っと、福嶋に、水落君に、・・ん?あれ誰や?」

近づくにつれて「胸騒ぎ」がしました。

「恐竜辻神」が来ていました。

上下黒づくめの服に金の分厚いネックレスは「月の輪熊」を連想させます。

辻神「おうおうおう、遅かったなあ上田君!」
  「今日は楽しみやなあ~!」
  「ウヒャヒャヒャッ」

・・背筋に悪寒が走りました。
(まあしゃーないか・・)

「よし行くか!」と出発すると、
「お~い、待って~」と細い声が聞こえてきました。
何と!『中卒の丸坊主君』が現れました。

「丸坊主君」はいつも丸坊主でした。
背の低さと赤いほっぺに幼さを感じます。
眉毛が異常に太く、その眉は「北斗の拳」の主人公に似ていました。
辻神に「お前はケンシロウだ!」と言われ、「ケン」とあだ名が付きました。

「ケン」は
大きめのジャケットに羽織られたような格好でした。

こうして「上田モモタロー」は
「恐竜」や「子犬」などのお供を従えて出発するのでした。

近鉄電車で藤井寺を目指します。
電車の中では「辻神」が吊革懸垂をしたり、逆立ちしたりと、動き回っていました。

藤井寺には藤井寺球場があり、もう少し歩くと「短大」に到着です。

短大までもう少しの所で、興奮した「辻神」が「ウォラッ!」と言って
自転車に乗った女子高生をなぎ倒しました。

短大前にはたくさんの自転車がきれいに並んでいました。
興奮した「辻神」が「ソ~~レッ!」と自転車を蹴りました。
自転車はガシャガシャとドミノ倒しで遠くまで倒れました。

短大に着くと「辻神」が一番に走り出しました。
とても広いので、はぐれる事を心配しましたが、
いろんな所で「キャアー!!」と悲鳴が上がるので大体どこに居るか判りました。

岸本さん・アンズちゃんにも無事に再会しました。
岸本「上田君、あのスカーフのかわいい娘どう?」
  「あの娘、上田君のことイイって言ってたで~」

上田「えー!?あのかわいい娘が?やったー!」
  「それは嬉しいけど・・・」
  「やっぱ今日もアンズちゃんやろ~?」

各模擬店に招待されて楽しい一日を過ごしました。

帰る頃になり、どこからともなく「辻神」が現れました。

「辻神」は何故か目を充血させていました。

「上田君・・今日はホンマに有り難うナ・・」

「俺ナ、こんな楽しかったん生まれて初めてや・・」

「ホンマに有り難うナ!」と熱~い手で握手されました。

『どんなこと』して楽しかったのかは聞かなかったが、

「良かったな・・」とだけ言いました。

■14■

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エルソル大阪物語■13■「合コン!」

2018年01月14日 | エルソル大阪物語

■13■


男子校(工業高校)出身の『えひめ福嶋』は、
クラスの女子に気軽に喋れる共学校出身の僕を羨ましく思い、
「スケコマシ上田」と呼びます。

男子校出身者は他にも結構いました。
それを不憫に思った僕は、
同級生の女子大生達に声を掛け「合同コンパ」を段取りしました。

「ケツ堀之口」「和歌山水落君」「えひめ福嶋」「高知谷田」は
常時の合コンメンバーでした。

世間も「合同コンブーム」で、
ビールの「一気飲み」を競ったり「カラオケステージ」で歌ったり、
皆「目立つこと」に一生懸命になっていました。

「帝塚山」「梅花女子」などなど、
次々と「女子大生コンパ」を持ってくる僕は、クラスの皆からも尊敬されはじめ、
ついに『スケコマシ大王』に昇格しました。


夏休みに田舎の自動車教習所で知り合った1コ上の先輩岸本さんは
「大阪女子短期大学」の学生寮に住んでいました。

上田「あ、すみません!岸本さんお願い出来ますか?」
寮の電話に出た当番の学生に呼び出してもらいました。

館内放送の乾いた声が響きました。
「岸本さん、岸本さん、お電話です・・」
パタパタというスリッパの足音がして、「もしもし」と言いました。

上田「あの~、こっちは散髪学校やけど、コンパしてくれる?」
岸本「ええよ」

日曜日、難波「ロケット広場」に理容科合コンメンバーを集めました。

岸本さんは4人の女性を引き連れて現れました。
岸本「みんな寮の仲間なんよ~」

早速近場の居酒屋に向かいました。
途中、岸本さんが耳元で囁きました。
岸本「上田君、あの娘今日のオススメで」

上田「あのスカーフの娘?おお!かわいいね~」

岸本「その横っ!!・・どう?」

笑顔で振り向いた顔は色白で可愛く、
白のワンピース姿、ストレートの長い髪は、後ろから見るととても大人びていました。

上田「おお~いいね~」
  「今日はあの娘で頑張りますワ」

地下の居酒屋に着くと、テーブルを挟んで5対5に並びました。
まるでフィーリングカップルです。
「カンパ~イ!」

上田「ヨッシャー!まずはジョッキ3杯いきま~す!!」
場を盛り上げるために頑張ります。

早速僕は白ワンピースの横に付きました
上田「あの~、名前教えてもらえます!?」

  「アンズです」
  「キミヅカ アンズです」
口元に笑みを浮かべて恥ずかしそうに答えました。

上田「アンズ!?変わった名前やけどカワイイね~♪」
上田「アンズちゃん、大阪の人?」

アンズ「兵庫です・・」

上田「もしかして神戸!?オッシャレ~」

酒も入り、テンションがあがります。
上田「アンズちゃん!今度2人でどっかいこうやー!!」

岸本「上田君のぉ~!ちょっといいとこ見てみたい~!・・」
  「それ!イッキ!イッキ!イッキ!・・」

ことあるごとにジョッキで「イッキ飲み」をやらされました。 

楽しい時間はあっという間で、一次会はお開きになりました。

上田「お~い、次いくでー!」

岸本「もう寮の門限があるから帰るワ」
  
上田「コラー!アンズー!次行くぞー!!」
  (かなりな酔っ払い)

岸本「ちょっとこの人何とかして~!」

すぐに後ろから水落君に羽交い絞めにされました。
上田「コラー!アンズ!コラー!逃げる気かー・・」

男達だけで終電まで飲みました。
水落君は僕と同じ南海電車でも「高野線方面」だったので、駅改札で別れました。
水落「オモロかったね~」
上田「じゃあバイバ~イ♪」

終電の各駅停車に乗り込みました。
さすがに車内はガラガラでした。

一人になったとたんに頭の中がグルグルと回り始めました。
「うう・・気分悪い・・」

各駅停車だと「羽衣駅」まで約20個の駅に止まります。
「長いな・・ヤバいぞ・・ヤバいぞ・・」

「堺駅」に着いたとき、ついに吐き気に襲われました。
「うぐッ!」
吐き出す直前、口の中で止めました。
ほっぺたが膨らんだままです。

前の乗客の女性と目が合いました。
女性の顔はこれから起こるおぞましい光景に脅えているようでした。

立ち上がり、頬を膨らませたまま扉の前に向かいました。
電車はようやく次の駅に到着しました。

「湊ぉ~湊でございます、降り口左側になります・・」
扉が開くと同時に、無人の駅ホームに向かって吐き出しました。
「オエーーッ!」

扉が何事もなかったかのように閉まりました。

「終電」なんで降りるわけにはいけません!!

「次の吐き気」に備え、扉の前に立ち続けました。

「諏訪の森ぃ~諏訪の森でございます~・・・」
「オエーーッ!」

「浜寺公園ッ~浜寺公園でございます~・・・」
「オエーーッ!」

何とか「羽衣」まで辿り着きました。

翌朝、
「難波」に向かう電車の中から、
まだ片付けられていない自分の「モノ」を各駅で確認しました。

■13■

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