あきちかう のはなりにけり しらつゆの おけるくさばも いろかはりゆく
秋近う 野はなりにけり 白露の 置ける草場も 色変はりゆく
紀友則

野では秋が近くなってきた。白露の置く草場も色が変わってゆく。
「近う」は形容詞「近し」のう音便ですが、和歌で音便形が使われるのは珍しいことのようです。そうすることで「あきちかう のはなりにけり」と「きちかうのはな(桔梗の花)」を詠み込んでいますので、物名歌ならではというところでしょうか。(物名歌以外では音便形は使われないという意味ではありません。念のため。)