漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0430

2021-01-02 19:11:34 | 古今和歌集

あしひきの やまたちはなれ ゆくくもの やどりさだめぬ よにこそありけれ

あしひきの 山立ち離れ 行く雲の やどりさだめぬ 世にこそありけれ

 

小野滋蔭

 

 山を発って離れて行く雲のように、とどまる場所を定めることもない世であることよ。

 風に流れてひとところに留まることのない雲に準えて、世の無常を詠んでいますね。隠し題は「やまたちはなれ」と詠み込まれた橘です。
 作者の小野滋蔭(おの の しげかげ)は平安時代前期の貴族にして歌人。古今集へはこの歌が唯一の入集で、勅撰和歌集全体で見てもこの一首のみのようです。