われはけさ うひにぞみつる はなのいろを あだなるものと いふべかりけり
われは今朝 初にぞ見つる 花の色を あだなるものと いふべかりけり
紀貫之
私は今朝、初めてバラの花を見た。その色ははかなく移ろいやすいと言うべきものであった。
「あだ」を「婀娜(=なまめかしく艶っぽい)」と採るか、「徒(=はかなくうつろいやすい)」と採るかで、二通りの解釈が成り立ちます。初めて見たバラの色から受ける感慨と考えると、前者の方がフィットするようにも思います。
隠し題は「われはけさ うひにぞみつる」と詠み込まれた「そうび(薔薇)」で、歌の内容もバラを詠んだ歌となっています。