あさつゆを わけそほちつつ はなみむと いまぞのやまを みなへしりぬる
朝露を わけそほちつつ 花見むと 今ぞ野山を みな経知りぬる
紀友則
朝露をかきわけて濡れそぼちながら花を見る花を見ようとしての山を駆け巡ったので、今やもうすべての野山を知り尽くしてしまったよ。
「露」を歌い、「をみなへし」を詠み込むという点で、0437 と同趣旨の詠歌ですね。同時点に二首詠んだものでしょうか。前歌の「糸をみな綜し」ほどではありませんが、「みな経知りぬる」は少し苦しい(無理をしている)気がします。