しらつゆを たまにぬくとや ささがにの はなにもはにも いとをみなへし
白露を 玉にぬくとや ささがにの 花にも葉にも 糸をみな綜し
紀友則
白露を玉にして貫こうというのだろうか。蜘蛛が花にも葉にも糸を通しているのは。
「ささがに」は蜘蛛の別名。隠し題は一見してそれとわかる第五句の「をみなへし」ですが、隠し題が先に来て、それが歌の中ではどういう言葉になっているのかの方が難しいですね ^^;;; 「綜し」は終止形は「綜(ふ)」で、縦糸を引き伸ばして織機にかける意。なかなか解釈が難しい、と言うより、物名歌とするためにかなり無理をして「をみなへし」を詠み込んでいるというところでしょうか。