ほととぎす みねのくもにや まじりにし ありとはきけど みるよしもなき
ほととぎす 峰の雲にや まじりにし ありとは聞けど 見るよしもなき
平篤行
ほととぎすは峰の雲にまぎれてしまったのだろうか。声が聞こえるのでそこにいることはわかるが、姿は見るすべもない。
ストレートな表現で歌意はわかりやすいですね。隠し題はわかりづらいですが、「みねのくもにや まじりにし」に詠み込まれた「やまし」。キク科の多年草花菅(ハナスゲ)の古名です。
作者の平篤行(たいら の あつゆき)は平安時代前期の貴族にして歌人。勅撰集には、古今集のこの歌が唯一の入集です。