漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0444

2021-01-16 19:26:22 | 古今和歌集

うちつけに こしやとはなの いろをみむ おくしらつゆの そむるばかりを

うちつけに 濃しやと花の 色を見む 置く白露の 染むるばかりを

矢田部名実

 ちょっと見ると、なるほどその名の通り濃いな、と花の色を見るだろうか。置いた白露が色を染めてみせているだけなのに。

 「うちつけに こしやとはなの」と「けにごし」を詠み込んでいます。「けにごし」とは、漢字では「牽牛子」と書いて朝顔のこと。歌の内容としても朝顔のことを詠んでいて、その名に「濃し」と入っている通りなるほど色が濃い、というわけですね。
 作者の矢田部名実(やたべ の なざね)は平安時代前期の官人。古今和歌集への入集はこの一首のみです。