ありとみて たのむぞかたき うつせみの よをばなしやと おもひなしてむ
ありと見て たのむぞかたき 空蝉の 世をばなしやと 思ひなしてむ
よみ人知らず
あると思ってもそれを頼りにすることは難しい。この儚い世自体をないものと思ってしまおうか。
「うつせみの」は「世」に掛かる枕言葉ですが、儚いという意味も含んで使われています。全体として何とも悲観的・厭世的な歌ですね。仏教の無常観の現れでしょうか。
隠し題は「よをばなしやと」に詠み込まれた「をばな」。なかなか見つけにくい隠し題ですね。