漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0443

2021-01-15 19:59:29 | 古今和歌集

ありとみて たのむぞかたき うつせみの よをばなしやと おもひなしてむ

ありと見て たのむぞかたき 空蝉の 世をばなしやと 思ひなしてむ

 

よみ人知らず

 

 あると思ってもそれを頼りにすることは難しい。この儚い世自体をないものと思ってしまおうか。

 「うつせみの」は「世」に掛かる枕言葉ですが、儚いという意味も含んで使われています。全体として何とも悲観的・厭世的な歌ですね。仏教の無常観の現れでしょうか。
 隠し題は「よをばなしやと」に詠み込まれた「をばな」。なかなか見つけにくい隠し題ですね。