漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0446

2021-01-18 19:06:40 | 古今和歌集

やまたかみ つねにあらしの ふくさとは にほひもあへず はなぞちりける

山高み つねに嵐の 吹く里は にほひもあへず 花ぞ散りける

 

紀利貞

 

 山が高いので常に嵐が吹いている里では、咲き誇ることもなく花が散ることよ。

 隠し題を詠み込むために文法的に少し無理な表現となるなど、とかく不自然な箇所が出てきがちな物名歌ですが、本歌は非常に自然で、その分隠し題もみつけにくい(=物名歌として優れている)ですね。隠し題は「つねにあらしの ふくさとは」と詠み込まれた「しのぶぐさ」です。