きみにより わがなははなに はるがすみ のにもやまにも たちみちにけり
君により わが名は花に 春霞 野にも山にも 立ちみちにけり
よみ人知らず
あなたのせいで、まるで花を隠す春霞が野にも山にも広がるかのように、私の噂が広まってしまったよ。
春霞が花を隠すように、噂にもならずに秘めた恋が守られるという歌かと思いきや、野山に霞が広がるかのように噂も一気に広まってしまったという、鑑賞者の予想を裏切る運びの歌です。してやったりとほくそ笑む作者の顔が見えそう、と言ったら想像にすぎるでしょうか。(笑)