漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0765

2021-12-03 19:17:26 | 古今和歌集

わすれぐさ たねとらましを あふことの いとかくかたき ものとしりせば

忘れ草 種とらましを 逢ふことの いとかくかたき ものと知りせば

 

よみ人知らず

 

 相手を忘れられるという忘れ草の種を採っておけばよかった。あの人と逢うことがこれほど難しいと知っていたならば。

 「忘れ草」は萱草(かんぞう)の別名。身に着けると心の憂いを忘れさせるとされ、恋の苦しみを忘れるという文脈でしばしば歌に詠まれており、古今集でもこのあと 076608010802 に登場します。第二句の「まし」は末尾の「せば」と組み合わさって反実仮想を表します。「そうと知っていたら種を採っておいたのに、知らなかったからそうはしなかった」ということですね。