漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0772

2021-12-10 19:23:03 | 古今和歌集

こめやとは おもふものから ひぐらしの なくゆふぐれは たちまたれつつ

来めやとは 思ふものから ひぐらしの 鳴く夕暮れは 立ち待たれつつ

 

よみ人知らず

 

 来てくれやしないとは思うものの、蜩が鳴く夕暮れになると、つい立ち上がってあの人を待ってしまうことよ。

 「来めや」の「や」は反語。「来るだろうか。いや、来はしない。」ということですね。掛詞とまで言えるかどうかわかりませんが、「ひぐらし」には「日暮し」の意味も含まれているのでしょう。来てくれないとは思いながら、やはり日がな一日愛しい人を待ってしまって、夕暮れにはもう座ってもいられない、ということのように思えます。