こめやとは おもふものから ひぐらしの なくゆふぐれは たちまたれつつ
来めやとは 思ふものから ひぐらしの 鳴く夕暮れは 立ち待たれつつ
よみ人知らず
来てくれやしないとは思うものの、蜩が鳴く夕暮れになると、つい立ち上がってあの人を待ってしまうことよ。
「来めや」の「や」は反語。「来るだろうか。いや、来はしない。」ということですね。掛詞とまで言えるかどうかわかりませんが、「ひぐらし」には「日暮し」の意味も含まれているのでしょう。来てくれないとは思いながら、やはり日がな一日愛しい人を待ってしまって、夕暮れにはもう座ってもいられない、ということのように思えます。