漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0779

2021-12-17 19:19:20 | 古今和歌集

すみのえの まつほどひさに なりぬれば あしたづのねに なかぬひはなし

住の江の まつほど久に なりぬれば 葦鶴の音に なかぬ日はなし

 

兼覧王

 

 住の江の待つのように、あの人を待って長い時間が経ってしまったので、鶴が声をあげて鳴くように、私も泣かぬ日はないのです。

 「葦鶴」は葦の生えた水辺にいる鶴の意。鶴は長寿の鳥として、しばしば「松」と一緒に歌に詠まれます。古今集でも、0356 にも登場していますね。「なかぬ」は例によって「鳴かぬ」と「泣かぬ」の掛詞です。
 兼覧王(かねみのおほきみ)は第55代文徳天皇の皇孫で、古今集への登場は五首目。入集している歌が五首ですから、ご紹介はこの歌が最後ですね。