漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0777

2021-12-15 19:32:26 | 古今和歌集

こぬひとを まつゆふぐれの あきかぜは いかにふけばか わびしかるらむ

来ぬ人を 待つ夕暮れの 秋風は いかに吹けばか わびしかるらむ

 

よみ人知らず

 

 やって来ない人を待つ夕暮れの秋風は、どのように吹けばこんなにつらいものになるのでしょう。

 「秋」には「飽き」のニュアンスも含まれているのかもしれません。また、冒頭、同じフレーズで始まる藤原定家の歌も思い出されますね。百人一首(第97番)にも採られた「新勅撰集」採録の名歌ですが、百人一首も新勅撰集も定家自身が撰者ですから言わば「自薦」。定家自らが自認する自信作といったところでしょうか。

 

こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに やくやもしほの みもこがれつつ

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 見もこがれつつ

 

藤原定家

(新勅撰集 巻第十三「恋歌三」 第849番)