古今和歌集 0791 2021-12-29 19:48:48 | 古今和歌集 ふゆがれの のべとわがみを おもひせば もえてもはるを またましものを 冬枯れの 野辺とわが身を 思ひせば 燃えても春を 待たましものを 伊勢 愛しい人が離れて行ってしまったわが身を冬枯れの野辺と思えば、野が野焼きによって春を待つように、私もあの人への思いに身を燃やして春を待ちますのに。 詞書には、もの思いにふけっている頃、ある所へ出かけた折に野焼きの火が燃えているのを見て詠んだ、とあります。愛しい人が離れてしまった後も恋情に燃える自身の心を、野焼きの火に準えた力強い詠歌ですね。