われをきみ なにはのうらに ありしかば うきめをみつの あまとなりにき
われを君 なにはの浦に ありしかば うきめをみつの あまとなりにき
よみ人知らず
あなたが私のことを何とも思ってくれないのを恨んで、御津の漁師が浮き布を見るがごとく、私も憂き目を見て、三津寺の尼になってしまいました。
「難波」と「何」、「浦」と「恨(み)」、「浮き布」と「憂き目」、「見つ」と「御津(三津)」、「海人」と「尼」と掛詞が多用され、歌意がわかりづらい歌となっています。そのためか、「このうたは、ある人、昔男ありける女の、男とはずなりにければ、難波なる三津の寺にまかりて、尼になりて、よみて男につかはせりけるとなむいへる」との長い左注がついていて解釈を助けてくれています。この歌を届けられた男からの返しが次の 0974 です。