もみぢばの ながれざりせば たつたがは みづのあきをば たれかしらまし
もみぢ葉の 流れざりせば 竜田川 水の秋をば 誰か知らまし
坂上是則
紅葉の葉が流れなかったならば、竜田川の水に秋が来ていることを一体誰が知ることができるだろうか。
「水の秋」は、水それ自体にも季節の移ろいがあるとみなしての語。紅葉の葉が流れていようがいまいが水に秋は来ているのだけれど、紅葉がなければ一体誰がそれを知ることができようか、というわけですね。ご紹介するのはかなり先になりますが、0459 には「水の春」の歌も登場します。
なみのはな おきからさきて ちりくめり みづのはるとは かぜやなるらむ
波の花 沖から咲きて 散り来めり 水の春とは 風やなるらむ
伊勢