やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり
山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり
春道列樹
谷川に風がかけた柵(しがらみ)とは、流れていくこともできない紅葉の葉なのだった。
「しがらみ」は流れをせき止めるために川の中に杭を打って竹などで作られるもの。流れて行かずに滞っている紅葉の葉を、流れをせき止めるしがらみと見立てた。それほどまでにたくさんの葉が川を覆っている情景ですね。
作者の春道列樹(はるみちのつらき)は平安時代前期の官人。古今和歌集には、本歌を含めて三首が入集しています。中でもこの歌は百人一首(第32番)にも採られた名歌ですね。