漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 120

2023-08-14 04:14:35 | 貫之集

人の家の池のほとりの松のしたにゐて、風の音聞ける

あめふると ふくまつかぜは きこゆれど いけのみぎはは まさらざりけり

雨降ると 吹く松風は 聞こゆれど 池のみぎはは まさらざりけり

 

人の家の池のほとりにある松の下にいて、風の音を聞く

松籟の音は雨が降っているかのように聞こえるけれども、池の水量は増えてはこない。

 

 耳に聞こえる松籟に、雨が降っているのかと錯覚するけれども、目に見える池の水は増してこない、その視覚と聴覚の矛盾する感覚に面白みを感じての詠歌。屏風歌ですから、松籟も水が増えないのも実像ではなくすべて想像の世界です。歌人の感受性と言うか、創造性の高さを感じさせますね。
 この歌は拾遺和歌集(巻第八「雑上」 第454番)にも入集しています。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。