えだよりも あだにちりにし はななれば おちてもみづの あわとこそなれ
枝よりも あだに散りにし 花なれば 落ちても水の 泡とこそなれ
菅野高世
枝からもはかなく散ってしまった花だから、落ちてもやはりはかない水の泡となるのだ。
散って遣水に落ちた花びらが、浮かんでは消える泡と見られ、桜が散ることによるはかない気持ちが増幅する。泡ははかないものの象徴。方丈記の冒頭の一節、「よどみに浮かぶうたかた(泡)は、かつ消えかつ結びて、ひさしくとどまりたるためしなし」は有名ですね。
作者の菅野高世(すがののたかよ)は平安時代初期の貴族。古今集へ入集はこの一首のみです。
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