漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 013

2023-04-29 06:08:26 | 貫之集

たなばた

あきかぜに よのふけゆけば あまのがは かはせになみの たちゐこそまて

秋風に 夜の更けゆけば 天の川 川瀬に波の 立ちゐこそ待て

 

たなばた

秋風が吹き、七夕の夜が更けて行くと、天の川の川瀬には波が立ち、織姫が立ったり座ったりして逢瀬を待っている。

 

 第五句の「立ち」には、「波が立つ」と「立ちゐ(立ったり座ったり)」の両方の意味が掛かっています。現代人の感覚だと七夕は夏の行事なので初句の「秋風に」に一瞬違和感を感じますが、旧暦では1~3月が春、4~6月が夏で7月はもう秋。今で言えば9月くらいの季節感なのでしょうね。
 この歌は拾遺和歌集(巻第三「秋」 第143番)採録です。



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