たなばた
あきかぜに よのふけゆけば あまのがは かはせになみの たちゐこそまて
秋風に 夜の更けゆけば 天の川 川瀬に波の 立ちゐこそ待て
たなばた
秋風が吹き、七夕の夜が更けて行くと、天の川の川瀬には波が立ち、織姫が立ったり座ったりして逢瀬を待っている。
第五句の「立ち」には、「波が立つ」と「立ちゐ(立ったり座ったり)」の両方の意味が掛かっています。現代人の感覚だと七夕は夏の行事なので初句の「秋風に」に一瞬違和感を感じますが、旧暦では1~3月が春、4~6月が夏で7月はもう秋。今で言えば9月くらいの季節感なのでしょうね。
この歌は拾遺和歌集(巻第三「秋」 第143番)採録です。