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読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

『日本株回復のシナリオ』追加緩和・補正予算に期待 

2016-07-05 06:37:18 | 日記

日本株の戻りが世界でも群を抜いて遅いです。国内で参議院選挙、都知事選挙のゴタゴタや日銀による追加緩和・補正予算がなかなか決まらないからです。ブレグジットによる米利上げが遠のいた影響は新興国経済に利益をもたらしました。今のところ、ブレグジットによる恩恵を受けているのは新興国、被害を被っているのは円高に苦しむ日本です。相変わらず、日本の対応は遅い。しかしそれも対策が出るあと1か月。現在の政権が民進党政権でなくて良かった。
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英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は、世界の株式相場に大きな打撃を与えた。中でも日本株は当日の下げ幅が7.9%と歴史的な暴落となった。急激な円高が下げの要因となったが今後、円高に歯止めがかかれば、ブレグジット・ショックによる下げは、早ければ1カ月程度で回復できるかもしれない。
 ブレグジットが決まってから、世界の金融当局の対応は早かった。主要7カ国の財務相・中央銀行総裁が緊急電話会議を開き、ドル資金の流動性確保などで万全の体制をとると確認した。これでリーマン・ショックのような金融危機の懸念はひとまず払拭された。
 日本でも財務省、日銀が相次いで緊急会合を開き、投機的な円高に断固たる措置を取る姿勢を示した。1~3月の円高局面で封印された円売り介入のオプションを手中にした効果は大きい。投機筋は円売り介入などできないと高をくくっていただけに、目先は投機的な円買い・ドル売りに歯止めがかかる可能性が高い。
 
■米利上げ難しく

 その場合、次の市場の関心は日米の中央銀行の金融政策に移る。口先介入で時間を稼ぎ、日銀は追加の金融緩和に踏み切ると市場はみる。7月1日に発表された日銀短観では大企業製造業の業況判断DIが横ばいにとどまったが、中堅・中小の製造業や非製造業では軒並み悪化した。5月の消費者物価指数も3カ月連続のマイナスになり、下げ幅は2013年4月以来の大きさだった。追加緩和は待ったなしの状況になってきた。
 日銀は6月の金融政策決定会合で追加緩和を見送った。投機筋の一部から「日銀は手詰まりで、打つ手がない」と見透かされてきた。日銀限界説を払拭するためにも今後、緩和カードを切ることになるだろう。
 想定される追加緩和策はマイナス金利の拡大だけではない。上場投資信託(ETF)の買い入れを大幅に増額する、資産買い入れの対象を地方債まで広げるといった思い切ったものにすれば、市場に与えるインパクトも大きくなる。
 一方、米国はブレグジット・ショックで当面、利上げが難しくなったとの見方が増えている。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は21日の米上院での議会証言で「労働市場に減速感があり、(利上げには)慎重姿勢が適切」と述べていた。もともと7月利上げの可能性は低かった。
 イエレン議長が指摘した減速感とは、5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が3万8千人増と5年8カ月ぶりの低水準だったことを指す。増加数が10万人を下回ったのは2011年以降10回ある。だが、そのうち9回は翌月以降に雇用者数が上方修正され、平均修正幅は6万4000人だ。
 今年5月分はもともと大手通信会社のストの影響で3万5000人分、雇用者数が下押しされていた。これに平均修正幅の6万4000人を加えると増加数は14万人程度。4.7%と低い失業率を考えると、そう悪い数字ではなくなる。
 6月の雇用統計は7月8日に発表される。仮に6月分が持ち直し、5月分が上方修正されれば、イエレン議長の指摘する労働市場の減速感にも見直しの余地が生まれるだろう。今後の議長の発言が注目されるが、雇用統計の数字次第で、9月利上げの選択肢が浮上する可能性はある。
 国内市場では今後、財政政策への期待感も高まりそうだ。ブレグジット・ショックを受けて、補正予算の規模が10兆円程度まで上積みされるとの期待感が出ている。7月10日の参院選投開票日までに政府は規模感を打ち出し、選挙後の早い時期に臨時国会を召集、補正予算案の審議に入る可能性がある。
 臨時国会では環太平洋経済連携協定(TPP)法案のほか、消費増税の再延期法案も審議される。安倍首相が決断した消費増税の再延期は、ブレグジット・ショックを見越していたわけではないだろうが、結果的にタイムリーになった。
 株価に大きな影響を与える企業業績は7月後半から開示が本格化する。4~6月期の業績は前年同期と比べると減益が確実だが、1~3月期に比べれば大幅に改善しそう。今後の注目はやはり円相場の行方だ。
 野村証券の海津政信シニア・リサーチ・フェローは「企業の本音としては1ドル=102円程度が増益維持の境界線」とみる。足元でその近辺まで円高が進むが、日銀が追加緩和に動けばブレグジット・ショック直前の1ドル=106円あたりまでの戻りはありうる。

■目先は割安感

 コモンズ投信の伊井哲朗社長は「日本の輸出入における英国のシェアは1%台。直接投資も多くない」と指摘する。「金融市場の混乱が収束すれば、割安感の出た優良銘柄を仕込むチャンス」とみている。
 日経平均ベースのPBR(株価純資産倍率)が、企業の解散価値を示す1倍となる水準は1万4500円前後だ。1万5000円割れは、PER(株価収益率)でみても12倍台半ばと、アベノミクス相場の始まる前の水準だ。投資指標の面からも割安感が出ている。
 日本株はもともと米欧株に比べて出遅れ感が強かった。日銀が動くのが早ければ7月下旬、遅くとも9月と考えれば、ブレグジット・ショックからの株価回復は、1~3カ月程度を見込めばいいのではないか。リーマン・ショックほど長期の日本株低迷を心配する必要はないともみる。(編集委員 鈴木亮)

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