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中国を待ち構える金融危機の深刻さ!このままでは共産党の統治体制も危うい…

2024-05-26 05:05:46 | 日記
中国は2022年時点での1人当たりGDPが1万2000ドル程度、世界ランキングで68位であるにも関わらず、不動産価格は世界トップレベルになっている。中所得国の中国人はなぜ世界一高いマンションやアパートを買うことができるのだろうか。まことに尋常なことではない。 
中国の銀行はほとんどが国有銀行である。国有銀行は個人はもとより、民営企業にもほとんど融資をしようとしない。それゆえ、中国ではいまだにクレジットカードが普及していないのだ。広く使われているのはデビットカードである。
クレジットカードはカード保有者が事前に設定した限度額まで利用でき、使ったお金は事後的にカード会社に払う仕組みである。設定される上限額は、いわばその人の信用度である。だからクレジットカードと呼ばれているのであろう。アメリカなどではクレジットカードを持っていなければ、信用がないということを意味する。それに対してデビットカードは、リンクする銀行口座にあるだけの金額を利用できるカードだ。口座に1000円しかなければ、1000円までしか使えない。1億円があれば、1億円まで使える。
クレジットカードや住宅ローンはいまだに普及せず
銀行から借金して消費するというのは、中国ではまだ一般的ではない。ある意味、中国の国有銀行が個人に住宅ローンを組むようになったのは、大きな進歩だったといえる。1995年には「担保法」が制定・施行され、銀行は国有企業以外の法人や個人への融資について基本的に有担保原則となった。中国の銀行は個人に融資を行う際、家や車などの固定資産を担保に設定している。
それでも中国ではいまだに、高齢者ほど節約を美徳として消費を控える傾向がある。基本的にお金があれば、できるだけ貯蓄しておこうとする。この点については日本人とほとんど同じだが、違うのはここから先の行動である。中国は貯蓄に対してリターンを求めるが、日本人はリスクをとってまでリターンを求めない。だからこそ日本では、銀行の預金金利がゼロになっていても、ほかの運用方法を考えないでせっせと預金する人が多い。
一方、中国人はお金を貯めたら、できるだけリターンを最大化しようとする。中国の銀行の定期預金の金利は世界的にみて高い水準にあり、物価は大きく高騰していないにも関わらず、なんとか利益を最大化させようとするのだ。
中国では株式市場の設立後、何回かブームは起きたが、そのあと大暴落した。とくに個人投資家の多くは大損してしまい、株式投資のリスクが周知徹底された。 
不動産投資は証券投資と違って紙くずになるリスクが低く、個人投資家たちに選好されているのだと思われる。しかし、個人にとってマンションを購入するのはかなりの高額投資であり、家族や親戚からお金を借り入れてまで購入するケースが多い。親友同士でお金を出し合ってマンションに投資する「群」(クラブ)まで現れている。
むろん、実際に不動産投資ができるのは一握りの富裕層である。多くの人は投資信託の一種である理財商品に投資しているが、管理がずさんなうえ、詐欺も横行しているため、大損した人も少なくない。中国人にとって、手持ちの資金をどのように運用するかは悩みの種である。
不動産バブル崩壊で、銀行には不良債権が発生するだろう
今後、不動産バブル崩壊の影響はどのように広がっていくだろうか。
不動産バブルの原因とプロセスをみてみよう。富裕層は投資目的で不動産を購入し、不動産バブルに拍車をかけた。だが、習主席の呼びかけと3年間のコロナ禍によって、不動産の需給バランスは大きく崩れてしまった。不動産バブルが終息する条件は、供給が需要に見合うレベルにまで下がって需給がリバランスすることである。中国不動産市場の需給関係をみると、今のところ、サプライサイドの調整より需要の萎縮が速いため、リバランスするのに予想以上に時間がかかると推測される。
不動産バブル崩壊がマクロ経済に与える影響としては、中国の経済成長率を一段と押し下げる恐れがある。中国の不動産業は、建設業のほか、広く捉えれば建材や家具などを含めて、GDPの3割を占めるといわれている。要するに、不動産バブルの崩壊は、経済成長を牽引けんいんするエンジンが弱まることを意味する。
また、不動産バブルの崩壊は間違いなく、市中銀行(そのほとんどは国有銀行だが)に飛び火する。デベロッパーはすでに債務返済を延滞している。マンションを購入した個人の一部も住宅ローンの返済を延滞している。結果的に市中銀行のバランスシートに巨額の不良債権が現れると予想される。
このまま放置すれば、共産党の統治体制も危うい
地方政府も影響を免れることはできない。中国の地方政府は地方債などを起債して、巨額の債務を抱えている。とくに地方政府は銀行から融資を受けやすいように、「融資平台」と呼ばれる投資会社をたくさん設立している。これらの投資会社は政府保証あるいはサポーティングレターを手に、国有銀行から巨額の融資を受けている。この融資を最終的に返済する義務があるのは間違いなく地方政府である。
土地財政が崩壊していない局面においては、地方政府はなんとか切り盛りができていた。経済が順調に成長している局面においては、地方政府に対するガバナンスが機能せず、彼らは貴重な財源を好き勝手に無駄遣いしていた。中国の市役所や区役所はアメリカの議会議事堂と同じぐらい大規模なものが多い。これらの役所の建設費と修繕維持費はいずれも地方財政にとって重い負担になっている。土地財政が崩壊してしまえばあっという間に危機に陥る。
中国の年金などの社会保障基金は各々の市政府が所管している。地方財政が破綻状態に陥れば、年金ファンドも資金が枯渇してしまう恐れがある。
こうして全体を俯瞰ふかんすると、中国政府は不動産バブル崩壊に迅速に対処しなければならないことが分かる。問題は、どのように対処するかである。このまま状況を放置すれば、不動産バブルの崩壊は不動産業に限らず、金融、行政、さらに共産党の統治体制を脅かす心配がある。
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