トランプ次期政権の主要人事がほぼ固まりつつある。とりわけ対中国、習近平国家主席にとって厳しい人事となったが、前国家情報長官のジョン・ラトクリフ氏が中央情報局(CIA)長官に指名されたことだろう。
彼は対中強硬派であり、武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出したことを隠蔽していたと主張していることで知られているからだ。
トランプ氏は7月の共和党の大統領候補指名受諾演説で、新型コロナウイルスのことを「中国ウイルス」と呼び捨てた。「中国発の新型コロナのせいで自身の再選が阻まれた」との思いが去来したのだろう。
バイデン政権は情報機関に新型コロナの起源に関する調査を指示したが、「自然発生説」と「武漢ウイルス研究所」からの流出説を巡って意見が分かれ、結論が出なかった。だが、トランプ次期政権下で結論が下される可能性が高まっている。
米国の保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」は今年7月、新型コロナのパンデミックに対して中国の責任を追及する報告書を発表した。
その作成のために設置された超党派委員会のトップを務めたのが、CIA長官に就任するラトクリフ氏だった。
報告書は「安全管理が杜撰な武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出した」と断定した上で「パンデミックによる米国の経済的損失は昨年の米国のGDPの65%に相当する18兆ドル(約2700兆円)に上る。ドイツ政府がホロコースト被害者に補償したように、中国政府に損害の賠償を求めるべきだ」と結論づけている。
糾弾された側の中国政府は「新型コロナの起源は米国だ」とする従来の主張を変えていない。米国では「中国では新型コロナウイルスを生み出した『機能獲得研究』がさかんに実施されており、次のパンデミック発生の脅威が迫っている」との危機感も強い。
関税はまちがいなく中国を追い詰める…!
18兆ドルの損害を出しても一向に改悛の姿勢を示さない中国に対して、安全保障上の要請から追加関税を10%から60%に引き上げれば、インフレが再発したとしても多くの米国人は拍手喝采を送ることだろう。
ロイターのエコノミストたちは、「トランプ次期政権は来年序盤に中国からの輸入品に40%近い関税を課し、中国の経済成長率は最大1ポイント押し下げられる」と予測しており、デフレ地獄に陥りつつある中国経済にとって致命傷になってしまう。
トランプ氏の関税攻勢に「勝者はない」とうそぶく中国だが、確実な敗者が中国であることは間違いないのではないだろうか。中国にとっては冬の時代だ。
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