日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は、トランプ次期米大統領が阻止する考えを表明したUSスチール買収について、現政権で承認されればトランプ氏でも覆せないなどとして年内の実現について改めて意欲を示した。
トランプ氏が今週、USスチール買収に反対の意向を示したことに対し、買収実現の自信に揺らぎはないと話した。バイデン政権の間に正式な手続きにのっとって買収が承認されれば、トランプ氏がホワイトハウスに返り咲いてもひっくり返すことはできないとの考えを示した。
USスチール買収は米大統領選と重なったことでバイデン・トランプ両氏とも反対意向を表明するなど政治問題化。日鉄の森副会長は大統領選の終了後は冷静な議論ができると期待感を示していたが、全米鉄鋼労働組合(USW)は依然反対姿勢を崩しておらず、必ずしももくろみ通りには進んでいない。
森氏はUSWとの交渉状況についてはコメントを控えるとした上で、直近の訪米でUSスチールの拠点があるコミュニティのリーダーなどからUSスチール買収は「自分たちにとって必要で、ぜひ実行してくださいという感じの強い要請があった」と語った。そういった後押しがあれば「必ずこれは年末までにできると気持ちを新たにした」という。
また、森氏は中国製鋼材の輸出増加に対し、反ダンピング(不当廉売)調査は時間がかかるとし、「即効性のある関税」を課す必要があるとの考えも示した。日本に入ってくる中国製鋼材を放っておけば大変なことになるのは「火を見るより明らか」だとして、そうなる前に手を打つべきだと語った。政治的な動きに一喜一憂しない森高弘氏の態度は立派でサムライスピリットですね。