Fukunosukeです。
”バリのアマン”
これほど甘美な言葉ってないと思います。
クレアやガリバー(あったよねそういう雑誌)でアジアンリゾート特集が組まれるたびに、まるで神話か伝説の様にアマン・リゾーツが紹介される時代がありました。そういえばアマン・ジャンキーなんて言い方もあった。エイドリアンゼッカ氏が離れてからのアマンは、かつての様なキラキラ感は無いように思いますが、当時我々にとっても憧れのホテルでした。
そんな我々、身の程知らずが高じて無謀にもバリのアマンに泊まりました。3つあるアマンはそれぞれ全然違うテイストなのですが、やはり独特の雰囲気というか、色気のある空気感は通底しているように思います。だいぶ前のことなので今は様子が違うかもしれませんが、思い出のアマンを振り返ってみたいと思います。
アマンダリ(2010年宿泊)
アマンダリは中部ウブドにある山のリゾート。渓谷を見下ろす場所にひっそりと建っています。
メインプールのバレでは、夕暮れ時になるとのんびりしたリンディックの演奏が始まります。
バリの村を模したようなヴィラが30室ほどあります。フォーシーズンズ・ジンバランと違って部屋毎に広さや設備、眺めが結構違うので、好みの部屋を見つけるのは大変です。何度も通う人にとってはそれが楽しみかも。俵屋とかあさばとか、高級旅館みたいですね。
ちなみにアマンダリを設計したのは、ジ・オベロイと同じピーター・ミューラーという建築家だそうです。素朴なバリの建物という感じはよく似ています。
我々が泊まったのはNo.15。渓谷ビューとライスフィールドビューの両方が楽しめ、プールもついている部屋です。(当時は)部屋に空きがあると気前よくアップグレードしてくれたので、2つくらい下のカテゴリーの部屋を予約して、思惑通りアップグレードしてもらいました。
プールは渓谷側に面しています。ウブドのホテルには3ケ所泊まりましたが、どこもプールの水が冷たいです。さすが山のリゾート。乾季だと寒くてプールに入るのは難しいと思います。
hiyoko「つべたいのう。あたしはスイカじゃないのよ」
アウトリビングのバレも立派。ダイニングセットがアンバランスなくらい小さく見える。
ヴィラは2階建てになっていて、1階が広大なリビングスペース、2階がベッドルームになっています。
1階には大きなデイベッドが2つ。というかこれがベッドでも誰も文句言わないくらい。
他のヴィラが見えますが、いいですよね。高級ホテルなのに、異質感がなく風景に溶け込んでいます。
およそ壁というものが無くて、1階の3面はこの様にガラス張りになっています。建物の強度は大丈夫なのだろうかと心配になります。けど、素敵。
ウェットスペースも、大人のダブルシンク(いつからそうなった)。バスタブは屋外。夜の入浴がちょっと勇気がいる系のお風呂です。蛇も出たし。
2階のベッドルームはこの様に山小屋風。高級ホテルにしてこれか?と思いますが、実際はこれがまた素敵な感じです。今でいうグランピングのロッジみたいかな。
夜の室内。テーブル上のスダップ・マラムが色っぽく匂いたちます。
アマンダリには華美なところや演出が全くなく、どこまでも控え目。なのでここを訪れるまでは「ちょっと地味すぎてつまらないかな」なんて思っていました。ところが行ってみてびっくり。こんなにロマンチックなホテルは他に知りません。
うーん。やっぱり写真がよくないですね。あの大人っぽい空気が伝わりません。まあ、脳内でこの写真の10倍くらい素敵に変換してください。
アマンキラ(2007年宿泊)
山のダリに対して海のキラ、アマンキラ。空港から車で2時間くらいかかるマンギス(チャンディ・ダサ)というエリアにあります。
何度このプールを夢に見たでしょう。旅行誌(ガリバーですよ)でこのプールを見たときは衝撃だったなー。
ホテルの規模にしてはとても立派なレストラン棟。下はカジュアルなカフェ、上はファインダイニングです。
水の宮殿というのがテーマだそう。なるほど。
ホテルの敷地は海に向かった傾斜地で、ヴィラはこの様な回廊でつながっています。アマンダリとは全然違う雰囲気です。
ヴィラの入り口からはこうして海が眺められます。フォーシーズンズ・ジンバランとは違って外洋の大海原という感じです。
ヴィラの入り口。ここのデイベッドで潮騒の音を聞きながらお酒を飲んだりします。
hiyoko「こんな風にやるのよ。見本を見せてあげるわ」
ベッドはシンプル。
洗面台はこの様な感じ。鏡に映っている様に背中合わせのダブルシンクになっています。
バスタブは室内にあるので安心して入れます。少し浅いので寝そべって浸かる感じになります。
有名な三段プールとは別に、椰子の木に囲まれた秘密のプールがあります。これが素晴らしいんです。当時、”世界一美しいプール”という評がありました。
椰子の木の林に囲まれています。波の音は近く聞こえますが、不思議と静謐な印象でした。
hiyoko「世界一美しいプールで浮き輪は無粋ね。歩くわ(泳げない)」
アマンの夜。
アマンダリとアマンキラは立地も建物のテイストも全然違います。どちらが好きか十人十色でしょう(二色ですけど)。でも、どちらも素敵です。
そうそう、アマンの良さ、ゲストを虜にする魅力はファシリティだけじゃありません。スタッフの対応は有名です。
例えば、チェックイン後、何か飲もうとラウンジに行っても、まだ挨拶もしていないスタッフから「Selamat siang Bapak Fukunosuke!(こんにちはFukunosuke様)」と声をかけられます。サービスを受けても部屋番号を聞かないのです。これは驚きます。もちろんそうでないスタッフもいるので、彼等が超能力者というわけじゃないです。裏に回ればチェックイン時にコピーされたパスポートの写真が”WANTED”よろしく貼りまくられているのかなと想像しますけど、こういう待遇はとても特別感あります。
それから、どんな無理を頼んでもスタッフが「No」と言わないのも有名。でもこれについては、アマンダリのGMと立ち話をしていた時「ウブドでどこかいいイタリアンを教えてくれませんか?」と聞いたら「無いわー。それだけは無いわー」ってNoを言われましたから、さすがに「何でも」ではないです。まあ、最善を尽くそうとしてくれるのは確かです。
アマンの素晴らしさは、こうした諸々が織りなすリゾートの空気感。甘くて優しくて色っぽい空気が体にまとわりついて、自分が素敵な人になったような勘違いをさせてくれます。
ええ、勘違いです。
そこが悲しいところ。日常に返ったときの喪失感といったらもう。。。
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