ほんの少し前に細い月だった。
昨晩のような気がする。
余り早くてついていけない。
学食であまり動きが遅く自分たちでやりますからと言われるわけだ。
この月を見るまでまだ夢がいくつもあると思ってたけど、もう夢なんぞ捨てる。
そんな言葉で自分を甘やかせてた。
歳だから無理をするわけではないが夢なんて言わないで計画にしょう。
最優先は自分の健康。
実行のみ、老兵は進む。
そして時間が取れたからキュウリに水をやれることになった。
せっかくここまで来たけど土に戻ってしまう。
ふと俺もそうかな、でも考えるきゅうりである。
西日の隣に彩光。
そして華やかな夕時。
風も止んで車の音だけ。
操作がうまくいかないのでこのまま続ける。
ある町の料理屋さんから頂いた古い木材。
地震で壊れたものをとってあったらしい。
親子二代の思いだったかな、夢だったかなとつぶやいてた。
今は立派な店があるけど思い出の詰まってた店舗なのだろう。
いつかの夢が灰になってピザが焼ける。
明日は市場に行こう。
サンチェとサニーレタスとバジルの苗を植えよう。
キュウリも100ぐらい種を蒔いた。
サニーレタスとバジルも。
ご飯のおかずはめざしと茄子漬。
学食が終わった。
明日から夏休み。
ヤッホーだ。
吟醸会は板長に頼み、自分は店の宴会。
吟醸会用に作った熊の肉の野菜煮。
肉じゃがだ。
2-3回湯でこぼしてから圧力鍋で柔らかく煮た。
あとは肉じゃがと同じ。
店の宴会にも出した。
みんな大喜びで帰った。
手作りソーセージの石窯焼き、ガルシャ栗豚の味噌漬けも石窯で焼いた。
茄子漬がようやく漬かった。
切って出そうかと思って味見した。
スタッフもあ食べると言ったので指で裂いて分けて。
学食のスタッフは町では切って提供する、山のしょとは違うと。
ちょっと気に入らなかったのは切口が口にあたる。
色が悪くなる。
そこで県外や上品の客様たちだったのであえて田舎風に丸ごと出して裂いて食べてもらうことにした。
結構受けていた。
自分のつまみは熊じゃが。
癖はないけどどこかクジラの味に似てた。
和牛ステーキを出すところもあってセルりを炒めて付け合せに作ってた。
ボールに近い大きさのナスは3個も食べれば腹いっぱい。
これに山盛りご飯。
太るよね。
ナスも11キロ漬けた。
枝豆も茹でた。
明日からは忙しい。
偉い人たちが全国からやってくる。
八海山の料理人は板長に頼んでそちらも準備がなからになった。
今日は雲と空が綺麗だ。
学食から眺めながら帰ってきた。
新道島の峰を小さな、赤ん坊の入道雲が移動してる。
カタツムリのようなのろさだ。
傾いた西日はまだ高いけど緑が輝いて川風の赤ん坊が稲の葉先で遊んでる。
くるくるっとじゃれてる、どちらがかな。
誰もいない広い部屋にはクラッシクと心地よい冷気が満ちてる。
稲の穂先はこの音楽に合わせて揺れてるのかもと錯覚するくらい静かで壮言だ。
世界中探してもこんないいところはないと思えた。
惚れてるのだ。
あば田もえくぼ。
ビールを飲みなながら旅の雑誌を広げた。
思えば贅沢な空間。
ここに再び店を造ったのはこの風景に囲まれて終わることだったのだと思い出した。
ちょうどパン屋の長男が隣に座った。
片手には酎ハイ。
親子で昼酒かと言ったら一時に起きるパン屋はもう深夜と言ってお代わりのビールと自分のつまみを石窯で焼いてパンも持ってきた。
固いパンだった。
夏になると固いパンは売れないと言ったけど自分は好きだ。
どんどん変わっていく色彩。
緑が黒に移行。
冬の白から闇に、夏の緑から闇に。
もう緑川の本醸造酒。
妻が作ってくれたおかずは野菜だけ。
若いいとうりの漬物、キュウリの漬物、野菜炒め。
今日は消雪井戸の水を野菜達にあげようと考えたがもう暗くなって月が輝いてきた。
相変わらずの明日やろうのばか野郎になってる。
明日は全国から集まった人々に名人が作ったアンニンゴ酒を見せる。
見せるだけ。
素晴らしい瓶だ。
4本のきゅうりが植えてあるがシバを作らなかった。
とうとうジバイキュウリになって大きくなった。
50本も植えたのもジバイ。
手をかけられないし大きくなったらそれなりの料理方法でと思ってた。
暑くて葉が萎れて隠れてたキュウリが見えた。
初もぎがこの太さ。
採りたてだから柔らかいと思って太く刻んで冷やし中華にした。
食べて手を抜くのではなかったと後悔。
皮が厚いうえ冷やさないから温かいキュウリになってた。
食べる前は河童冷やし中華と名をつけてたのに顎が疲れるぐらいで最後は名前を忘れるぐらい。
でもヘルシーで体を冷やしてくれたと思う。
全粒粉を使ったプリモピアット。
クルミは隣のばあちゃんがむいてくれた地物。
ピザ窯の前はもっと暑い。
大きな茄子漬を一日10個以上食べる。
塩分摂り過ぎ何ぞくそくらえ。
夕日が始まるころ薪切をした。
汗が目に入っていたいぐらい汗をかく。