ナスも11キロ漬けた。
枝豆も茹でた。
明日からは忙しい。
偉い人たちが全国からやってくる。
八海山の料理人は板長に頼んでそちらも準備がなからになった。
今日は雲と空が綺麗だ。
学食から眺めながら帰ってきた。
新道島の峰を小さな、赤ん坊の入道雲が移動してる。
カタツムリのようなのろさだ。
傾いた西日はまだ高いけど緑が輝いて川風の赤ん坊が稲の葉先で遊んでる。
くるくるっとじゃれてる、どちらがかな。
誰もいない広い部屋にはクラッシクと心地よい冷気が満ちてる。
稲の穂先はこの音楽に合わせて揺れてるのかもと錯覚するくらい静かで壮言だ。
世界中探してもこんないいところはないと思えた。
惚れてるのだ。
あば田もえくぼ。
ビールを飲みなながら旅の雑誌を広げた。
思えば贅沢な空間。
ここに再び店を造ったのはこの風景に囲まれて終わることだったのだと思い出した。
ちょうどパン屋の長男が隣に座った。
片手には酎ハイ。
親子で昼酒かと言ったら一時に起きるパン屋はもう深夜と言ってお代わりのビールと自分のつまみを石窯で焼いてパンも持ってきた。
固いパンだった。
夏になると固いパンは売れないと言ったけど自分は好きだ。
どんどん変わっていく色彩。
緑が黒に移行。
冬の白から闇に、夏の緑から闇に。
もう緑川の本醸造酒。
妻が作ってくれたおかずは野菜だけ。
若いいとうりの漬物、キュウリの漬物、野菜炒め。
今日は消雪井戸の水を野菜達にあげようと考えたがもう暗くなって月が輝いてきた。
相変わらずの明日やろうのばか野郎になってる。
明日は全国から集まった人々に名人が作ったアンニンゴ酒を見せる。
見せるだけ。
素晴らしい瓶だ。