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「法令に基づき対応」・NOVA外国人講師問題で厚労相
NOVA、4社に支援打診へ
「受講料どうなる」…NOVA更生法申請
「心情察して」と社員 混乱のNOVA本部
拡大優先で信頼損なう NOVA
NOVAが更生法申請 負債439億円、全教室を一時休講 拡大路線行き詰まる
「受講料は」「授業は」NOVA更生法申請に生徒不安
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NOVA、会社更生法適用申請・全教室の運営を一時停止
1カ月以内に支援企業探す NOVA 債務超過は数百億円
NOVAが更生法申請、669教室閉鎖
曲がり角の教育サービス業 少子化で、成長期待できず
「法令に基づき対応」・NOVA外国人講師問題で厚労相
会社更生法適用を申請した英会話学校大手のNOVAに勤める外国人講師の雇用や未払い賃金の問題について、舛添要一厚生労働相は26日、閣議後に記者会見し、「きちんと状況を把握し、法令に基づいてしかるべき対応をとりたい」と話した。
日本語が話せない外国人講師もいることから、厚労省は同日、通訳が常駐した外国人講師向けの特別相談窓口を「新宿外国人雇用支援・指導センター」(東京都新宿区)と「大阪外国人雇用サービスセンター」(大阪市北区)に設置。職業紹介や未払い賃金など、NOVAに絡む相談に一括して応じる。(12:40)
NOVA、4社に支援打診へ
◆イオン・丸井・ヤフー・楽天
英会話学校最大手のNOVA(統括本部・大阪市)が、経営再建に向けた支援企業(スポンサー)候補として、流通大手のイオンと丸井、IT(情報技術)大手のヤフーと楽天の計4社との交渉を検討していることが、26日明らかになった。月内にも4社に打診するとみられるが、当面の運転資金などのめどが立っていないことから交渉期間は限られており、前向きな反応を示した企業から優先的に交渉を進めるとみられる。
関係者によると、4社のうち丸井については、25日深夜に解任された猿橋(さはし)望・前社長が主導して資本・業務提携の交渉を進め、今年5月には最終調印寸前までいった。結局、猿橋氏の反対で破談となったが、クレジット販売で最大手でもある丸井は、NOVAの受講生が借り入れるクレジットローンの取り扱いに強い関心を示していたという。
イオンについては、ショッピングセンターなどの中に、NOVAや、幼児向けのNOVAキッズの教室が数多く出店しており、以前から関係が深い。特にNOVAキッズは、子供を預けている間に親が買い物できるため、「滞在時間を延ばすために有効」という評価もある。イオンとこれまで交渉がなかったのは、同社の岡田元也社長が猿橋氏の経営手法を嫌っていたためとされ、NOVAは猿橋氏解任で交渉を進める環境は整ったとみている。
一方、IT2社は、インターネット上で活用できる情報内容(コンテンツ)の充実に力を入れており、テレビ電話システムを活用してレッスンをするNOVAの「お茶の間留学」に関心があるといわれる。NOVAは、「お茶の間留学」事業を分割して譲渡する場合にも、有力候補になるとみている。
ただ、主力取引銀行などから当面の運転資金融資などの支援を受けられない場合、スポンサーとの交渉を早期にまとめあげなければ、会社の存続が難しくなる。このため、NOVAは、資金提供などの条件面よりも、スピードを重視して交渉に臨むとみられる。
◆800教室が一時休校
NOVAは26日未明、大阪地裁に会社更生法の適用を申請し、保全命令を受けた。全国に800前後ある全教室を一時休校とした。負債総額は7月末時点で439億円で、その後の家賃や給与の未払いを含めると、500億円規模に達するとみられる。保全管理人が同日午後3時から、大阪市内で記者会見する。
また、NOVAは、猿橋氏の社長解任を正式に発表した。
◆ジャスダック来月上場廃止
NOVAの会社更生法の申請を受け、ジャスダック証券取引所は26日、NOVA株を終日売買停止にすると発表した。27日付で監理ポストに割り当て、11月27日付で上場廃止にする。
「受講料どうなる」…NOVA更生法申請
英会話学校最大手「NOVA」が会社更生法適用を大阪地裁に申請した26日、全国約800か所の教室はすべて休校となった。事情を知らずに訪れた受講生らは「前払いした受講料はどうなるのか」と困惑の表情を浮かべ、スタッフと押し問答になる教室もあった。一方、独断で不透明な金策に走って混乱を招いた末に社長を解任された猿橋(さはし)望氏(56)は、この日朝も所在不明が続いた。
NOVA関係者によると、大阪市中央区の統括本部では、26日午前、保全管理人の弁護士が出社した社員を集め、今後の会社更生手続きの見通しなどを説明。「今後、猿橋氏の言うことを聞いてはいけない」と指示があったという。
統括本部の受付はシャッターが閉められたままで、広報担当者が午前8時半ごろ、報道陣の前に姿を見せ、「詳しいことはお答えできません。(猿橋氏の所在は)承知していません」とだけ話した。
同区の心斎橋校では、同市内の主婦(67)が「24日には普通に授業をしていたので大丈夫だと思って予約を取りに来た。びっくりです。再開するのなら続けたいので、現状を説明してほしい」と困惑していた。
京都市下京区の四条烏丸校でも、同市右京区の女子大生(19)が半開きのシャッターを前に、「最近は外国人講師も1人しかいなかった。来年3月までポイントが残っているけど、何の説明もしてくれない」と途方に暮れていた。
神戸市中央区の三宮本校が入るビル前では、午前10時から受講予定だった受講生数人が不安そうな表情でたたずんでいた。同区の主婦(65)は「連絡もなく、教室閉鎖とは。受講生無視の会社だと実感した」とあきれ顔だった。
大阪市阿倍野区の天王寺本校では、スタッフ2人が、訪れた受講生らに、「レッスン料は返してくれるのか」「解約は可能か」などと詰め寄られ、「本社と連絡がとれません」と何度も頭を下げた。
自身の給料も振り込まれていないという男性スタッフ(26)は「会社はどう対応しろというのか。受講生のために何とかしたいが、状況や見通しもわからない」と頭を抱えていた。
給料不払いで、19日に同市内の教室を辞めたオーストラリア人男性の元講師(25)は「説明もなく給料支払いを引き延ばしてきた猿橋氏はもっと早く辞めるべきだった」と怒りを隠さず、「生徒との別れがつらい。日本が好きな気持ちは今も変わらない」と語った。
「心情察して」と社員 混乱のNOVA本部
「社員の心情も察して」。講師への賃金未払いなど問題が相次ぐ英会話学校大手NOVA(大阪市)が、会社更生法申請の事態に追い込まれた。大阪市の統括本部には報道陣が詰め掛け、騒然とした雰囲気に。混乱の中、広報担当者が上ずった声で対応に追われた。
二十六日早朝、大阪市内の統括本部はシャッターが下ろされ、会社更生手続き開始をわびる張り紙が一枚張り出されただけ。広報担当者が顔を引きつらせて「何も分からない。詳細は記者会見で」とだけ説明。
猿橋望社長の行方に関しては「昨日の取締役会を欠席すると連絡があったとは聞いています」と答えるのが精いっぱい。統括本部が入るビル四階フロアには「NOVAうさぎ」などと書かれた段ボール百数十箱が乱雑に積み上げられ、事態の深刻さを感じさせた。
東京・銀座の雑居ビル一階にある銀座本校は、入り口のドアは鍵がかかったままで、講師や受講生の姿はなかった。通り掛かった東京都北区のOL(28)は「業界でも最大手という印象があったので、とても意外な感じ」と驚いた様子だった。
拡大優先で信頼損なう NOVA
【解説】英会話学校最大手のNOVAが経営破たんしたのは、ビジネス拡大を優先するあまり、個々の受講生に十分なサービスを提供するといった「経営の基本」を見失い、信頼を損なったことが原因だ。
NOVAは、テレビCMに膨大な資金をつぎ込むイメージ戦略で急拡大。受講生らにいつでも授業を受けられるという説明を繰り返したが、実際には授業を受けられないことも多く、一部業務停止命令を出した経済産業省は「虚偽の説明」と認定した。社長を解任された猿橋望さはし・のぞむ氏は、先行したイメージに内容を追いつかせることができないまま受講生に見放され、自ら同社を破たんに追い込んだともいえる。
猿橋氏はNOVAの窮状を目の当たりにしながらも、あくまで独断専行の経営姿勢を変えなかった。取締役三人が社長解任という非常手段を取ったのは、猿橋氏が社長でいる限り再建の障害になりうる、との判断もあった。
今後は経営再建が可能かどうかに焦点が移る。更生手続き開始の決定には、詳細な更生計画や支援企業探しなど課題は多く、行き先は不透明だ。
NOVAが更生法申請 負債439億円、全教室を一時休講 拡大路線行き詰まる
英会話学校最大手のNOVA(大阪市)は二十六日、会社更生法の適用を大阪地裁に申請し、同地裁は財産の保全管理命令を出した。負債総額は七月末現在で約四百三十九億円。全国の教室は一時、休講する。猿橋望さはし・のぞむ社長を除く取締役三人が二十五日深夜、臨時取締役会を開いて社長を解任し、更生法申請を決議した。
NOVAは「駅前留学」などのテレビCMで全国に教室を急拡大したが、受講生へのサービスが追いつかず、経営が行き詰まった。同社には三月末時点で約四十二万人の受講生がいたが、授業の継続などを含め、影響が拡大するのは避けられない。
ジャスダック証券取引所は二十六日、同社株の上場廃止を決定。経済産業省は英会話学校の最大の業界団体である「全国外国語教育振興協会」(東京)に対し、NOVA受講生を加盟各社で引き受けるなどの支援を要請した。保全管理人は同日午後、大阪市内で記者会見する。
NOVAは社長解任について「(経営難に伴う)資金調達や業務提携交渉に関し、猿橋氏から十分な説明がなく、(今後も)業務執行を委ねるのは不適当と判断した」と説明している。
NOVAは積極的なテレビCM戦略を展開したが、受講料返還をめぐって訴訟を起こされるなどトラブルが急増し、イメージが悪化。受講生の減少で二〇〇七年三月期まで二年連続で連結純損失となるなど業績不振に陥っていた。
また誇大広告などで経済産業省から六月中旬に受けた一部業務停止命令も追い打ちをかけ、資金繰りに窮していた。猿橋氏は発行済み株式総数の三倍近い新株予約権発行などで資金調達し、経営難を切り抜けようとしたが、他の取締役は資金調達の方法などが「不透明」と反発した。
日本人社員や外国人講師への給与支払いが再三遅れ、全国各地で教室の賃借料が払えずに閉鎖や休講も相次いでいる。講師らが加入する労働組合「ゼネラルユニオン」(大阪市)は、大阪中央労働基準監督署に改善命令を求める申告書や、猿橋氏を立件するよう求める文書を提出。同労基署は是正勧告を繰り返したほか、労働基準法違反に当たる可能性もあるとみて調べている。
「受講料は」「授業は」NOVA更生法申請に生徒不安
「授業や前払いした受講料はどうなるのか」。経営危機から会社更生法の適用を申請したことが明らかになった英会話最大手「NOVA」(大阪市)。各教室では26日、授業が中止となり、受講生たちは不安そうな表情を浮かべていた。
今年6月に行政処分を受けて以降、資金繰りの悪化や講師への給料の遅配で教室が次々と臨時休校に追い込まれる事態になっており、社員からは社長を解任された猿橋(さはし)望氏(56)に対し「経営者失格」との批判の声も上がった。
社員によると、各教室に対して26日午前9時過ぎ、東京本部から電話や電子メールで「きょうは開校しない」という連絡があり、自宅待機の指示が出された。
福岡市中央区天神・新天町商店街アーケード内にあるNOVA天神校は、ガラスの扉が閉ざされたまま。教室の奥に照明がつき、人影は見えるものの報道陣の問いかけに反応はなく、静まり返っていた。午前10時前、講師らしい外国人男女が訪れたが、閉まっているのを見て立ち去った。
午前11時すぎには受講生も数人訪れたが、いずれも入れなかった。ニュースを見て駆けつけたという福岡市の女性(25)は「解約手続き中で、今日午後に20万円払い戻される予定だった。どうなるんでしょうか」と困惑。「最近は講師にも給料が支払われなかったらしく、一部の講師は『ボランティアで教えている』と話していた」と心配そうに語った。
同市の別の会社員女性(23)は「閉まっているので驚いた。講師もいい人たちで続けたいのに、どうなるのでしょうか」と不安そうに話した。
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NOVA、会社更生法適用申請・全教室の運営を一時停止
経営が悪化していた英会話教室のNOVAは26日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請し、同地裁は財産の保全命令を出した。負債総額は439億円。取締役3人が25日深夜に臨時取締役会を開き、創業者の猿橋望社長を解任し、更正法申請を決議した。3月末時点で40万人以上いた受講生の多くは前払いの形で受講料を支払っており、今後は企業再建の行方とともに被害の救済策が焦点となる。
NOVAは26日朝、全教室の運営を一時停止すると発表。すでに多くの教室が家賃の滞納などで実質的に閉鎖しており、受講生はレッスンを一時的に受けられない状態になっている。同社は午後3時から大阪市内で記者会見を開く。
同社は猿橋社長の解任について「不透明な資金調達や業務提携の条件交渉について再三情報開示を求めたものの十分な説明が得られなかった」と指摘。同氏に業務執行を委ねることは不適当と判断したと説明している。
今後、監督官庁や金融機関などと密接な連絡を取り、事業の継続を前提にスポンサー企業を探す考えだ。ただ、給与の支払い遅延などで外国人講師や社員が辞める例も増えているとみられ、どこまで事業を継続できるか不透明な部分も多い。
NOVAには現在受講料を前払いしている受講生が40万人近くいるとみられ、前払いした受講料は07年3月末時点で約255億円に上る。NOVAが会社更生法を申請したことで、受講料の返還が難しくなる可能性もある。
NOVAは利便性の高い鉄道駅近くに教室を構え、1年を超える長期の契約制度に基づく低価格のレッスン制度が特徴。「駅前留学」と銘打ち、独自のキャラクター「NOVAうさぎ」を使ったテレビCMなどで教室数を急拡大し、売り上げを伸ばしてきた。
しかし事業拡大に優良な講師の確保が追い付かず「予約が取れない」などの苦情が多発。07年6月に経産省による行政処分で、1年を超える新規契約を6カ月間にわたって停止する命令を受けたことで受講生離れが加速した。資金繰りが急速に悪化し、従業員に対する給与の遅配や教室の家賃滞納が発生。10月に入ってからは一部の外国人講師がストを起こすなど、実質的に営業が滞る事態に陥っていた。
1カ月以内に支援企業探す NOVA 債務超過は数百億円
会社更生法の適用を申請した英会話学校最大手NOVA(統括本部・大阪市)の保全管理人は26日、大阪市内で記者会見し、NOVAの資金が枯渇していることから、支援企業を探す期間は長くても1カ月とし、その後は破産手続きに移行せざるを得ないとの認識を示した。
また支援企業の候補としてイオンや丸井、楽天、ヤフーの4社の名前が社内で挙がっていることを認めた。
30万人を超えるとされる受講生らを救済するため、NOVA側は支援企業の選定を急ぎたい考えだが、同社の債務超過額は「数百億円規模」と巨額に上るため、今後の交渉は難航も予想される。
会見した保全管理人は東畠敏明、高橋典明両弁護士。両者はNOVAの破たんについて「戦後最大の数の債権者が出る未曾有の事件」と指摘。この段階で更生法申請に至ったことについて「申し立てが遅れた。もっと早い段階ならより有利な条件で(交渉が)できた」と、猿橋望前社長らの対応を批判した。
NOVAが更生法申請、669教室閉鎖
「駅前留学」の経営破たん。全国669の教室が閉鎖されました。国から業務の一時停止命令を受け経営危機に陥っていた英会話学校最大手のNOVAが、会社更生法の適用を申請しました。創業者の猿橋望社長を解任しての「クーデター」でした。
大阪のNOVA統括本部。朝から大勢の報道陣が詰めかけましたが、シャッターは下ろされたままで、張り紙がされているだけでした。NOVAは25日夜、東京で臨時の取締役会を開き、自立再建にこだわる猿橋望社長欠席のまま、猿橋社長を解任。会社更生法のもとで再建することを決めました。まさに創業者に対する「クーデター」でした。
負債総額は439億円に上り、全国にある669の教室は26日から閉鎖されています。
「ショックですね。留学したいっていう夢があったので」(受講生)
「解約したいと思っているんですけど、解約してもお金は返ってきそうにないのかなとか思ったり」(受講生)
「非常に残念な結果となりましたが、我々、鋭意努力しまして、教室の再開ということについて全力をあげたい」(NOVA保全管理人の会見)
NOVAは1981年、海外留学から戻った猿橋氏が大阪で立ち上げました。
「僕らは駅前に『異文化コミュニケーション』の環境を整備するという発想で、だから僕らは“インフラ会社”だと思っているんですね」(NOVA 猿橋 望 前社長【1999年取材】)
「駅前留学」をキャッチフレーズに積極的なCM戦略で知名度を上げ、受講生40万人を抱える業界最大手に成長しました。ところが今年6月、契約解除などをめぐるトラブルで国から一部業務の停止命令を受けると、解約が相次ぎ、急激に資金繰りが悪化。講師らに対する給与の支払い遅れが問題化しました。
「労働基準法を守って、ちゃんと仕事をせいと」(労組組合【今月16日】)
アメリカ人のロビン・ジョーンズさんは今年2月に来日。NOVAの講師として働き始めましたが、今や貯金はわずか4000円。家賃の支払いも滞っています。
「もうどうしようもないわ。かと言って引っ越しのお金もない。同じ事が起きない会社をまた見つけるわ」(ロビン・ジョーンズさん)
猿橋氏は資金調達に奔走していたということですが、ほかの役員には電話で連絡してくるだけで十分な説明はなかったといいます。その姿勢に不信感は高まり、今回の解任劇へとつながりました。
「(NOVAは)もっと早く手を打っているべきだったと思います。40万人と言われている受講生に迷惑がかからないように対応してもらいたい」(甘利 明 経済産業相)
NOVAは今後、裁判所が選任した管財人のもとでスポンサーを探すことになります。(26日17:53)
曲がり角の教育サービス業 少子化で、成長期待できず
英会話最大手のNOVAの経営破たんは、少子高齢化が進む中、語学習得など教育サービス産業が大きな曲がり角に来ていることを示している。
主な受講生である若年層の人口が減少傾向にあり「対象顧客が増える見込みはなく、今後の成長はあまり期待できない」(金融関係者)とみられるからだ。
民間シンクタンク矢野経済研究所は、二〇〇六年度の英会話教室の市場規模は約二千七百億円と推定、ここ数年伸び悩んでいるという。
これに対し同様の問題に直面する学習塾や受験教育産業では、ベネッセコーポレーションが東京個別指導学院を子会社化するなど、企業の合併・買収(M&A)で乗り切ろうとしている。
縮む市場で利益をひねり出そうと、NOVAは格安料金を売り物に、自前の店舗数をやみくもに増やす規模拡大路線を推進、顧客へのサービスがないがしろになった。
全国外国語教育振興協会の桜林正巳さくらばやし・まさみ事務局長は「今回はNOVAだけの特殊な問題だ。全体の問題と見られては困る」と強調。ただ、信販会社を通じ分割で受講料を先払いするビジネスモデルは共通しており、イメージ悪化による顧客離れが業界に広がる恐れがある。
業界に詳しい矢野経済研究所の福岡美佳ふくおか・みか研究員は「今後、英会話学校には契約時や解約時に、より明確な説明責任が求められる。講師や教室など学習環境の質が劣るスクールは生き残りが難しくなるだろう」と話している。