アベノミクス失速の後、何を行うべきか
アベノミクスで賃金が上昇してきたと言われるが、物価も上がっており、物価の上昇率のほうが、ずっと速い。
その結果実質賃金は昨年の6月以降、ずっと下がり続けており、今年の5,6月はマイナス3.8%となっている。
実質賃金の下落に伴って当然消費は落ち込んでいる。
消費増税の後の今年5月には、前年同期比で5.7%減となり、
1997年の消費増税と比べても遥かに深刻な落ち込みとなっている。
鉱工業生産指数や機械受注の予想外の落ち込みを受けて、民間エコノミストは4~6月のGDPを次々と下方修正した。
10名の民間エコノミストに聞いた推計値の平均では7.1%減となった。
事の重大さに気付いたのだろう。
安倍総理は20年近く続くデフレから脱却しようとしていたのだが、消費増税がすべてをぶち壊した感がある。
アベノミクスは3本の矢と言われる。
①金融、②財政、③成長戦略 の3本というが、本当にデフレ脱却に有効なのは2本目の矢の財政出動だ。
1年目は10.3兆円の景気対策で確実に景気を上向かせた。これは大きなアベノミクスの成果だと言える。
しかし、2年目の景気対策は5兆円に縮小し、逆に消費増税によりマイナスの景気対策を行った。
これでは景気が悪化するのは当然だ。
1年目のアベノミクスの華々しい成功を踏まえ、2年目も消費増税を中止し、景気対策を1年目以上行っていたら、
間違いなく日本経済は再び繁栄への道を歩み始めていただろう。
安倍総理、是非もう一度初心に返って頂きたい。
2013年1月11日、安倍総理は緊急経済対策を発表した。
http://wwwlnk.net/cc/gKnIDJZc/
これにより日本人は大変勇気づけられたし、これで経済停滞から抜け出ることができるのではないかと希望を持った。
この発表の中で、最も効果が認められるのは財政出動の10.3兆円であり、これで実質GDP2%の成長を見込んでいた。
実際、発表通り実質成長率は2012年度の0.8%から2013年度には2.8%に上昇した。
残念ながら、2014年度は景気対策を5兆円に減額し、逆に消費増税を行ったために財政による後押しはほぼゼロになった。
その結果2014年度の実質GDPはほぼ2012年度のレベルに逆戻りする見込みである。
具体的には、2014年度の実質GDP成長率は政府見通しで1.1%、日銀の見通しは1.0%、民間エコノミストの平均では0.85%である。
OECDの予測では、2015年度の日本の実質成長率は世界最低レベルの1.1%に留まるという。
折角成長の兆しが見えた日本経済をなぜ再度奈落の底に突き落とさねばならないのか。
例えば、2014年度も2013年度と同様に10.3兆円の景気対策を行い、消費増税をやらなかったらどうなっていただろう。
当然、GDPは2%程度拡大したものになっただろう。GDPの2%拡大は政府債務のGDP比を2%縮小する。
これは1000兆円と言われる政府債務を2%減らすことと同じ効果がある。
1000兆円の2%だから20兆円減らしたことと同じ効果だ。
10.3兆円の景気対策により政府債務が10.3兆円増えたとしても、20兆円減らした分とで差し引き10兆円国の債務を減らしたと同じ効果で、
結局債務のGDP比は確実に減っていく。つまりこれは持続可能なのだ。
景気対策はやればやるほど国の借金は実質的に(GDP比で)減っていく。
何か問題なのか。国債の暴落か、制御できないインフレか。
いや、政府債務のGDP比が減っていくのだから、むしろ国債の暴落や制御できないインフレの危険は少なくなっていく。
今こそ決断の時だ。再度の消費増税を中止し、再度景気対策を行い日本経済の復活を目指すべきだ。
そうすれば名目成長率は世界最低レベルから最高レベルへと飛躍し、国の借金の問題も解決に向かう。
日本経済復活の会Hp: http://wwwlnk.net/cc/onaVDJZc/
日本経済復活の会Blog: http://wwwlnk.net/cc/sXaJDJZc/
小野会長 E-Mail:sono@tec.co.jp